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ダンジョンマスターは眠れない  作者: えるだー
第9章 氷炎の魔女編
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以前、犬を飼っていました

 『それでは参加したダンジョンマスターとダンジョンコアは、一度こちらに集合してくださいね、うふふふ』

 「管理人さん」のアナウンスと共に、仮想空間に会議用ホールが出現した。

 僕らは、未だに妹に説教をしているマリアとロザリオを、引き剥がすようにして会議ホールへと向かった。


 「ごめんなさいです、ごめんなさいです・・」

 「・・どこがいけなかったのだ・・戦術に間違いはなかったはずなのに・・なぜ・・」

 後ろを振り向くと、双子姉妹はまだ再起動に時間が掛かりそうだった・・


 「マリア、ちょっとやり過ぎてないか?」

 「なに言ってるのよ、えぐい罠で心を折ったのはアンタじゃない、アタシは最後に少しだけ止めを刺しただけよ・・」

 『ああ、どっちもどっちだな・・』

 『うんうん』


 僕らは先に会議ホールで、反省会を始めていた。


 『あらあら、今回はバトルの勝利おめでとうございます』

 「ありがとうございます」

 「まあ、当然よね」

 『お二人には委託金の5000ポイントの返還と、報奨金5000ポイントが授与されますよ、うふふふ』


 合計1万ポイントの加算となると、殆どがダンジョン・クレジットへの預金になるね。

 『ぷひゅっ』

 あ、コアがまた何か噴出して倒れたよ・・


 「ねえ、アンタのダンジョンコア、大丈夫なの?・・」

 「いつものことなので、あお向けにして涼しいところで休んでいれば、平気です」

 『彼女の唯一の弱点かもな・・』

 ただし、ここだと付き添っていてくれるメンバーがいないから、早くダンジョンに戻りたいのは確かだった。


 『あらあら、仮想ダンジョンからの眷属の引き上げは大丈夫かしら?』

 「うちは、全員、リアルからの転送なんで、自動でもどってくるはずですけど?」

 「アタシのとこも、最後に残ったのはエンペラーだけだから、自動帰還ね」

 途中で倒れた眷族は、すでに各自の本拠地に転送されているはずだ。

 

 「へえ、激戦だったんですね・・」

 留守番に使っていたゴブリン達も、戦いに狩り出したみたいだ。

 『いや、なんというか、うちのマスターが張り込みすぎた・・』

 「なによ、どうせいつも仮想召喚した眷属はそのままじゃない。だったら捧げても一緒でしょ」

 全部、サクったのか・・・


 『だが、こういう機会に経験を積んだ眷属を増やしておくと、彼らのように自力で特殊進化するかもしれないぞ・・』

 「確かにそうね・・・ちょっとボン、なんで全部サクリファイスしちゃったのよ!」

 『俺か・・俺のせいなのか?・・』

 「当たり前でしょ、ダンジョンマスターのフォローをするのが、ダンジョンコアの仕事よね?」

 『それは、そうなんだが・・・』


 ボンさん、そこで納得しちゃダメです・・


 そしてそこの二人、親方をどちらが撫でるかでもめない様に・・

 「ちょっと、少しは遠慮しないさいよ、アンタはいつも一緒にいるでしょ」

 「それとこれとは別だ、戦友と語り合う時間はなにより大切なものなのだからな」

 「戦友とかいって、今回、アンタ、見てただけらしいじゃない!」

 「くっ、そ、それは・・」

 「キュキュー@@」


 まずいな、親方だけに負担が掛かりすぎる・・

 『すまない、うちのマスターがいつも迷惑かけて・・』

 「いえ、覚悟はしていたから、それは良いんですけど、できればうちのダンジョンでやってもらえると、他のメンバーにも分担できるので・・」


 『あらあら、では、ここと貴方のダンジョンを繋げましょうか?双子姉妹はまだこないみたいですし』

 「あ、ならそうしてください」

 『はい、できました、うふふ』


 すると、会議ホールの奥に扉が現れて、それが開くと、そこは懐かしいオークの丘の中腹だった。


 そこには何故かテントが二つ設営されていて、中から見た目はそっくりな6人の冒険者が驚いたように顔を出していた。

 「リーダー、リーダー、なんか来たよ!」

 「敵襲か?」

 「空間系だな・・ディメンジョン・ドアか?」

 「どちらかというと、マジック・シェルター系だな・・扉が固定されている・・」

 「あ、扉が開くよ・・」

 「警戒を解くな・・何がでてくるかわからんぞ」

 

 ああ、彼らも焼肉パーティー以降、ほったらかしだったね・・


 「驚かして、すいません・・ただいま、戻りました・・」

 「キュキュ!」

 

 「あああ、お帰り!」x6


 その声を聞きつけたのか、下層からメンバーの皆が駆けつけてきた。


 「おかえりっす、バトルは勝ったっすよね?」

 「ギャギャ(ロザリオさんが、死に戻りしなかったので、大丈夫だろうって話はしてたんですよ)」

 「ギュギュ」x3

 「オイラはまだ、目が回ってるだよ・・」


 「皆、ご苦労様、バトルは無事に勝てたよ」

 「キュキュ」


 歓声が上がる中、事情がわからない冒険者達が、ひそひそ話をしていた。

 「リーダー、バトルって何?」

 「カヌーの櫂だっけ?」

 「それはパドル」

 「障害のことだな・・」

 「それはハードル」 

 「・・模擬戦か何かかな?」

 「それはバトル・・・って、それそれ」


 さすがにダンジョンバトルのことまでは、冒険者には知られていないらしい・・・僕から教えるわけにもいかないから、彼らには勝手な想像をしておいてもらおう・・


 「・・ノーミン、冒険者さん達は、何か待ってるの?・・」

 「・・ヘラの情報をどこまで渡すか、勝手に決められなかっただよ・・」

 ああ、そうか、ナーガ族の隠れ里の話をしないといけなかったんだ・・バトルですっかり忘れてた・・


 「・・ヘラと相談しないと拙そうだから、もう少し待ってもらえるかな?・・」

 「・・ここが気にいってるようだで、問題ないと思うだ・・」

 居つかれても困るんだけどね・・


 「・・じゃあ明日の朝にでもアポイントとっておいて・・今晩は宴会だけど、さすがにそこに招待はできないし・・」

 「・・あちらのマスターも来るだでな・・人族も眷属化できれば良いだが・・」

 「・・眷属化できたら承諾しそうなの?彼ら・・」

 「・・まず間違いないだ・・」

 それって冒険者としてどうなんだろう・・


 とにかく、彼らには明日、会うことにしてテントで待機してもらった。

 そして仮想ルームの扉は、地下墓地の階段入り口に再接続してもらって、メンバーを移動させた。

 最初は、うちのダンジョンで宴会という話もあったのだけど、ボンさんが直接参加できないので、仮想ルームを拡大してもらって、そこにうちの接待用メンバーが参加する形になった・・


 『あらあら、モフモフでいっぱいね、うふふ』

 「管理人さん」も心なしか嬉しそうだ・・


 『もちろん、私は犬派ですよ、うふふふ』




 


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