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ダンジョンマスターは眠れない  作者: えるだー
第9章 氷炎の魔女編
294/478

本来なら5分ほどお時間をいただきますが

  モフモフ防衛隊(残機2/補給21)


 『くうかんしんどー』

 白熊に獣変化していたノーミンがファイアー・ドレイクを削りきるかと思ったとき、敵がもう1体、空間転移で奇襲してきた。

 そして床に並べてあるトラッププレートの内の1枚を踏んだ・・


 『あくしでんと!』

 「ノーミン、3番砲塔が誤作動した。着弾まで30秒!」

 『モフー!』


 しかし、罠を踏んだと焦った、サラマンダーが横にずれて、さらにトラッププレートを踏み抜いた。


 『いち・ごー・ろく』

 「1番・五番・六番も?10秒・23秒・50秒・60秒で来るよ、これは無理だ、撤退!」

 『モフモフー』


 即座に床の中央に開いた縦穴に飛び込むと、手近の退避通路に体当たりして飛び込んだ。この通路の扉には、鍵も罠もかかっていない。本来の非常用退避通路として作ってある。


 安全な場所に逃げ込んで、ほっとしたのも束の間、シャフトにサラマンダー・マーガスが姿を現した。


 「・・なるほど、そこは安全地帯なのか・・ならば、炙り出してやるまでだ・・」

 そう言い放ってサラマンダー・マーガスが詠唱を始めた。


 「モフ!」

 反射的に、詠唱を阻害する為にノーミン白熊はマーガスに踊りかかる・・

 その突進を、マーガスは宙に浮かび上がることで、回避した。

 「モフ?!」

 一瞬、敵を見失ったノーミン白熊であったが、すぐにマーガスが飛行か浮遊の呪文をを使っているのだと認識した。

 シャフトの少し上に逃れたマーガスは、再び、呪文の詠唱を始めたが、ノーミン白熊も「登攀」の技能を使って斜面を駆け上がり、追撃を仕掛けた。

 マーガスは火炎属性が防がれることを知っているらしく、詠唱時間の短い、無属性のマジック・ミサイルを連射してくる。ノーミン白熊は直撃を覚悟で、体力にモノを言わせての相打ち作戦にでた・・



 「それにしても、もうとっくに10秒過ぎているのに、砲弾がこないのは故障?」

 シャフトで攻防を繰り広げる2体を監視しながら、気になったことをコアに尋ねた。


 『どれいくー』

 なんと、ファイアー・ドレイクが落下してきた岩石砲弾を押し止めているらしい。

 「確かに初速は遅いから、タイミングが合えば、止められるだろうけど・・・それ、2発も3発もできるのかな?・・・」


 僕の素朴な疑問は、すぐに答えが出た。


 『むりー』

 「フシャーーー」 ゴロゴロゴロゴロゴロゴロ


 どんどん追加される岩石の重量に耐えかねて、ファイアー・ドレイクが転倒した。あとは連鎖的にシャフトの底まで一直線である・・


 「ドレイクとの戦いで傷ついていなければ、お主の勝ちだったろうがな・・・」

 止めの一撃を放とうとしたマーガスの斜め上から、ファイアー・ドレイクの巨体を転がしながら、続々と岩石砲弾が落下してきた。


 「なにいぃ!」

 「モフウゥ!」


 慌てて退避通路に避難しようとする2体だったが、お互いが邪魔になって、砲弾に追いつかれてしまった・・


 「なんの、浮遊があれば押し下げられたとしても、下に叩きつけられることはない!」

 そう叫んだマーガスの尾っぽを、ノーミン白熊の爪がしっかりと握り締めていた。

 「モッフ!!」


 「やめろ、放せ、俺を巻き込むなあああ」


 3体は、もつれあいながら、シャフトの底へと転がり落ちていった・・・




  マリア侵攻部隊(残機6+14留守番/補給1097)


 マリアの部隊はボス部屋の隣の大部屋に集結していた。

 「これで全員ね?」

 『ああ、ピグミー・ゴブリンを含めて、全て集まった・・』


 各部屋に留守番として散らばっていた眷属を集めるのに、思ったよりも時間がかかってしまった。すでに約束の5分は過ぎようとしていた・・

 移動途中にゴブリンが落とし穴に落ちたり、ピグミー・ゴブリンが迷子になったりしたが、なんとか準備は整った。


 「さあ、竜退治に出発するわよ!」

 「ギャギャ」 「キャワ」 「ゴブリンがすることじゃないがのう・・」 「・・任せろ」


 T字路の通路の左右に分散して待機し、隠し扉とその奥の豪華な扉を、ゴブリン・アサシンが慎重に押し開く・・・

 ボス部屋の中が見えたと思った瞬間、炎の奔流が、通路を縦に埋め尽くし、ゴブリン・アサシンを瞬時に焼き尽くした。


 「ちょっと!いきなりな挨拶ね!」

 マリアが大声で中に呼びかけた。

 すると、ボス部屋に反響するように、双子姉妹の妹の声が響き渡った。


 「あんまり来るのが遅すぎて、寝ちゃったですよ。今のはフレアを待たせた罰ですー」

 『居眠りを怒られた、腹いせというやつですね』


 『・・どうやら、妹の方で間違いないらしいな・・担当しているダンジョンコアもイスカだろう・・あの遠慮の無さ加減は・・』

 「・・あれはダンジョンコアとしてどうなのよ・・」

 『・・・まあ、あれだ、個性というか、スパイスというか・・・』

 「・・もう片方は至極まともなのに、きっとあれね、抱き合わせ商法って奴ね・・」

 『・・絶対に違うとは言い切れないな・・』


 「何をこそこそ話してるです!ビビッてこないなら、こちらから行くですよ!」

 『マスター、サイズ的にパイロ・ヒュドラはこの部屋からは出れませんが』

 「・・・とっとと掛かってきやがれです!」


 「はっ、言われなくても倒してやるわよ!そっちこそ、アタシの新しい力に腰を抜かさないようにしなさいよ! ボン、ゴブリン・エンペラーを召喚しなさい!」

 『了解した、マスター』


 T字路の中央に巨大な召喚魔法陣が出現した。


 「ゴブリン図鑑が完成して、アタシは新たに『ゴブリン使い』と『ゴブリン博士』の称号を手に入れたわ!その能力によって、ゴブリン種の召喚コストが2割引き、さらにカスタム召喚のコストが2割引きのうえに2つの技能が付与できる!どう?最強でしょ?」


 「ぐぬぬぬ、ずっこです、フレアもカッコいい称号が欲しいです!」

 『ゴブリン博士はカッコいいですかね?』


 「最強のゴブリン・エンペラーに『火炎無効』と『2刀流』をカスタムした無敵のゴブリンが今、ここに誕生するのよ!!」

 召喚魔法陣から巨大なゴブリンが姿を現そうとしていた・・


 「わざわざ出てくるのを待ってるギリはないです、パイドラちゃん、焼いちゃってください!」

 「ギシャーーー」x12


 12本の首から放たれた業火は、通路を突き進んで、正面の大部屋の扉さえも破壊してしまった。

 その途中にあった召喚魔法陣も、召喚途中だった眷属も、ことごとく消滅してしまった・・・



 「ちょっと!召喚途中に攻撃するとか、マナー違反でしょ!」

 「えっへん、フレアは良く褒められるですよ、マナーが出来てないねって」

 『マスター、それは褒め言葉ではありませんが』


 「どっちにしろ、これでもう大物は呼べないはずですです。ファイアーシスターズの勝利なのです」



 「あ、大丈夫、ここに事前に召喚しておいた、ゴブリン・エンペラー・カスタムがいるから」

 「なんですと?!」


 マリアの声と共に、通路の左側から、両手に剣を持った堂々とした体格のゴブリンが姿を見せた。


 「我輩が、皇帝である!」

  


 

 

 


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