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ダンジョンマスターは眠れない  作者: えるだー
第1章 サバイバル編
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恐怖を越えて

 「これから、おいら達の見せ場っすね!」

 しーーーん

 「しょぼ~ん」

 どこかでお調子者がうな垂れている気がするけど、これはいつものシステム無音だ。

 「ついに来た?コア!」 「うん!」

 うわ、コアが二言目をしゃべったよ!コアがしゃべった、コアがしゃべった。

 「むう」

 戦闘中なのに、おふざけしていたら怒られました。


 召喚リストに4種類目の種族、「爬虫類」が追加されたことにより、コアの機能が開放されたらしい。

でもいまは、この戦いを無事に終わらせよう。まだ敵は戦意を失っていない。


 コアルームに侵入してきた別働隊は、すでに制圧目前だね。狩人は3方向からの攻撃にあっさり倒れた。ただその間に敵の戦士長が特殊技能を発動して防御を固めたので、HPを削りきれないらしい。それでもアップルリーダーは3体の配下を指揮しているので、それぞれに指揮効果が載って、敵を追い詰めている。

 あ、最後はアズサの投槍が脳天に刺さって即死したみたい。これアズサも進化するのかな?


 「きたっす、きたっす」

 一息つく暇もなく、ワタリからの情報が転送されてきた。

 「族長?」  「戦士っすね、族長は3番目みたいっす」

 「OK,予定通り先頭に奇襲攻撃かけて、コアルームに撤退。途中の罠を踏まないように気をつけてね」

 「了解っす」 「ん」「ギャギャ」

 アサマが共通語しゃべれないのは不便だね。召喚時にカスタムしとくべきだったかな。そうか、ワタリの前の雇用者がカスタムしたのは、この手間を無くす為だったのかも。眷属が増えると、それぞれに指示が必要になった場合には、ダンジョンコアの通訳を介さなくていいから便利だよね。

 でもランク3とか召喚するのに1・5倍だと135DPもかかるのかー。今のうちには贅沢な話だ。


 そうこうしているうちに、トンネルを侵入してきた戦士が十字路に差し掛かったみたいだ。

 両側に通路がある以上、必ず順番に中を振り向いて見るはず。正面を向いているときの視界の端では、冷気への同化を発動して隠れているワタリ達は見えないからね。


 戦士は右の通路を覗いた。そこには小さな部屋があるようだが、何もいない・・・本当か?その角に立っているのは敵の戦士じゃないのか?それとも自分の臆病な心が見せている幻か?

 一瞬の迷いが、隙をつくった。

 ザクッ 「ギャッ」 無警戒の左の通路から槍が突き出してきた。痛みに耐えながら左を向くと、

 ザクッ 「ギョフッ」 右に見えていたのはやはり敵の戦士だったのだ。急所に刺さった槍を握り締めながら、戦士は息絶えた。


 「撤退っす」

 仕留めた敵戦士の亡骸を盾にして、ワタリとアサマはコアルームへと走りだす。一拍遅れて次列の戦士が

二人を追いかけてくる。ワタリが境にある木の扉を開けるのと、追いついた戦士が罠を踏むのは、ほぼ同時だった。

 カチッ 「ギャギャーーー」 ドスッグサグサグサッ

 「2体やったっす。族長くるっす」

 コアルームに飛び込んできたワタリが報告してきた。


 「アップルリーダーが前衛、ワタリ、アサマが中衛、アップルチームは柵の内側から投槍で支援を」

 「ん」 「ギャギャ」「了解っす」

 「五郎〇とケンはコアルームで待機、負傷してる皆は巣穴通路に退避して」

 「ん」 「グヒィ」「バウ・・」

 「あ、チョビは一人じゃ無理か、アグー運んであげて」 「ん」 「グヒグヒ」


 その時、トンネル側の扉が勢いよく開かれ、何か大きなものが投げ込まれてきた。

 「うぇ?スノーゴブリンの死体?」

 それは十字路でワタリ達が仕留めた戦士の死体だった。死体の重みで罠が作動した。

 カチッ 「・・・・」 ドス グサグサ

 「味方の死体を重石の代わりにしたのか・・・」

 トンネルの奥から、のそりと族長が姿を現した。その身体は普通のスノーゴブリンより2周りは大きく、

手には朱色に塗られた長い槍を抱えている。両目には憎しみの感情を迸らせて、コアルームの全ての存在を

睨みつけると、  咆哮した。


 「グォギャーーーー!!」

 「うわ!」 「ぴぃ!」 「ギャフ」 土下座 「クヒィ」 「グルルル」

 なんだ、特殊技能か?ケン以外の皆が戦意喪失してる?恐怖系の精神攻撃か!

 「コア、族長をスキャンできる?」 「うぃ」

 まだ本調子じゃないけどコアは気力でスキャンしてくれた。突然足元からせり上がる白い光のラインに、

攻撃をうけたと勘違いした族長が闇雲に朱槍を振り回してきた。バキバキと木の柵の上部が壊されていく。

 「ケンはアップルの援護、時間をかせいで」 「ん」 「バウ!」

 アップルは及び腰になりながらも懸命に族長の攻撃を防いでいた。その足元からケンがヒットアンドウェイを繰り返す。その隙にコアから情報が送られてきた。


 スノー・ゴブリン チーフ:雪原ゴブリン族長

種族:亜人 ランク4

HP 28 MP 8 攻撃力5(長槍+7) 防御力3(革鎧+2)

技能:槍、両手槍、耐寒、支配(同族)

特殊技能:ハウリング(咆哮)

備考:咆哮 使用MP3 自分を敵と認識している相手に状態異常(恐怖)を付与する。

      効果は対象とのランク差により上下する。

  :支配(同族) 自分よりランクの低い同族を支配下に置ける。服従したものに

      士気+2、忠誠心+2のボーナスがつく。


 そういうことか。現状で咆哮の状態異常をうけてもなんとか反撃できるのは、ランクが3の眷属だけ。

ランク2の五郎〇やアップルチームのパイとティーは、じりじりと下がって距離をあけている。

 アップルとアサマは萎縮状態でなんとか反撃体勢をとっているけど、ワタリは・・・土下座したまま後ろに下がっていくよ。ある意味達人だね。

 反対にアズサは萎縮してるけど反撃できそうだし、ケンにいたっては効果を耐え切ったみたいだ。2人ともさっきの戦闘でランクが上がったんだろうね。同じランクでも効果に幅があるのはレジストしたかどうかの違いかな。僕とコアもさっきのタイミングでランクが上がったはずで、そうでなければ全滅の危険もあったのか・・・

 

 「むう」 「ごめん、弱気になってた。ハードなのは、いつものことだよね」  「ん」

 一人で、お腹空かせて、松明かかげてスケルトン殴ってた、あの頃にくらべれば、

 「今はコアがいる!」 「うん!」

 「ケンもいる!」   「バウ!」

 「ワタリ・・・は置いといて、アップル達がいる!」  「「「ギャギャ!」」」 「しくしく」

 貧乏ダンジョンマスターの戦い方、見せてあげるよ!

 





 


召喚リストその9と10

ホワイト・リザード:白色大トカゲ

種族:爬虫類 召喚ランク3 召喚コスト90

HP21 MP5 攻撃力9 防御力4

技能:噛み付き、耐寒、嗅覚

特殊技能:コールドブレス(冷気の吐息)

備考:冷気の吐息 使用MP2 前方1・5mまでの敵に冷気5ダメージ


グレイウルフ パックリーダー:灰色狼 群の長

種族:獣 召喚ランク3 召喚コスト90

HP21 MP7 攻撃力10 防御力3

技能:追跡、嗅覚、噛み付き

特殊技能:スクリューバイト(錐揉み噛み)

備考:錐揉み噛み 使用MP3 追加ダメージ10(防御力無視)


アズサはスノーゴブリン・コマンド(狩猟兵)に進化。

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