パンツァー・フォー
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マリア侵攻部隊(残機6+2/補給2945)
「ボン、ピグミー・ゴブリンを冷気耐性カスタムで10体召喚して!」
『ピグミーって・・あれか、ランク0で戦闘力なんてほぼ無いも同然だけど良いのか?マスター』
「お留守番だからいいのよ、つべこべ言わずにさっさと召喚しなさいよね!」
『了解した・・』
アリアの周囲に10個の召喚魔法陣が出現し、その中から次々と超小型のゴブリンが姿を現してきた。
体長30cmにも満たない、ミニチュアサイズのゴブリンである。
「「キャワキャワ」」
「いいこと、二人一組になって部屋に隠れるの。見つからないのがアンタ達の役目だからね」
「「キャワ!」」
さっそく2体が、氷の柱の影に潜り込んで息を潜めた。
『なるほど・・隠密で外敵から身を守る暮らしをしているピグミー・ゴブリンなら、敵も簡単には排除できないか・・』
「さあ、どんどん支配領域を広げていくわよ!」
「「キャワキャワ!!」」
さらに追加で現在支配下にある他の2つの大部屋にもピグミー・ゴブリン・カスタム(R0SC/7)を2体ずつ配置しておいた。廊下は隠れる場所がないから放置だ。
「どうせこの先の廊下にも、嫌がらせがしてあるんでしょうね・・」
『してない理由がないな・・』
「MPが枯渇したり、回数制限とかあったりしないのかしら?」
『ダンジョンコアの特殊機能だからな・・たぶん、ない・・』
「それ、ずっこくない?」
『マスターも途中で「我家」の機能が停止したら困るだろ?・・』
「それもそうね」
『で、どう対処する気なんだ?』
「もちろん、数の暴力で押し切るわ。ボン、ゴブリン・グレネード(榴弾兵)を冷気耐性カスタムで6体召喚して」
『了解した、マスター・・本気モードだな・・』
「そろそろケリつけないとね!」
「「キャワ!」」
フリージア防衛部隊(残機4/補給???)
『敵侵攻部隊が、北側の扉を開けてL字通路に出ました』
「サハギン・ウォーロックが鏡像Bで待ち伏せしてる方ね・・」
『敵の前衛らしき3体が強行に突入、ウォーロックがアイスストームで迎撃しました・・・しかし、効果ありません!』
「さすがに対処が早いわね・・ウォーロックのアイスシールドが剥がれないうちに撤退させなさい!」
『了解です、ウォーロックに撤退を指示・・・駄目です!敵前衛、ウォーロックに取り付くと自爆しました!』
「まさかゴブリン・グレネード! それでウォーロックは?・・」
『バイタル反応ロスト・・敵味方ともに消滅しました・・』
「ここにきて最悪の戦法をとってきたわね・・マリア・・」
以前にダンジョンバトルで対戦したときも、こちらの防壁や塹壕を破壊する為だけに、平気で眷属を使い潰してきた。いくら仮想空間の擬似召喚とはいえ、良心の呵責はないのだろうか・・・
『敵侵攻部隊、大部屋に侵入してきました!』
「トーチカのスナイパーに、ゴブリン・グレネードを優先して排除するように指示を!」
『了解です』
マリア侵攻部隊(残機9+16留守番/補給2487)
廊下のサハギン・ウォーロックを排除して、次の大部屋への扉を開けたとたん、ゴブリン・グレネードが射殺された。
「扉閉めて!」
「ギャギャ」
「中に射手が居るのね、それも凄腕の・・」
「ギャ」
ちらっと見えた様子だと、氷柱は全部溶かされていて、氷原の中央に氷のイグルーが建っていた。たぶんあの中に射手が潜んでいるのだろう・・
分厚い氷のドーム型住居は、ゴブシロードでも破壊するのに時間がかかりそうだ。中から射撃をしてくるということは、アロースリットが各方向に開いているのだろうけど・・
「2体じゃ突破は無理ね、ボン、グレネードを5体追加で」
『了解した・・これで補給ポイントは半分を切った・・』
「余裕ね、このまま一気に攻略よ!」
扉をゴブシロードが蹴り開けると、7体のゴブリン・グレネードが、一斉に部屋の中に走り込んだ・・
しかし、すぐに止まってしまった。
そこへクロスボウが打ち込まれ、2体が成す術も無く射殺されてしまった。
「どういうこと!」
「どうやら、氷原と見せかけて、鋭利な氷の破片を埋め込んであるようじゃな。ランクの低いゴブリンには、ちとキツイじゃろうな」
扉の影から様子を覗っていたスノーゴブリン・シャーマンが呟いた。
「冷気耐性があるのに?」
「材質は氷でも、攻撃属性は物理じゃろうて・・」
その間にも、そろりそろりとしか身動きのできないグレネードが鴨撃ちの鴨のように殺されていく・・
「ゴブシロード!パンツァー・グレナディア(装甲擲弾兵)!」
「御意!」
将門の具足レプリカに護られたゴブシロードは、氷の槍原を苦もなく走ると、手近のゴブリン・グレネードを抱え上げ、そして・・・投げた。
「ギャギャーー」
狙い通りにトーチカと化したイグルーに着弾すると、そのまま爆発する。
チュドムッ
爆発の威力は、アロースリットを通り抜けて、イグルーの中にも伝播した。
「ギャギャー」 チュドムッ 「ギャギャー」 チュドムッ
残った全てのグレネードを叩き付けたところで、イグルーの様子を覗う・・
「ボン、この部屋、支配できる?」
『・・まだだ・・中のスナイパーはまだ息がある』
「ゴブ雪ザエモン、攻撃呪文は?」
「単体攻撃しかできん、あの中には通らんじゃろう」
「しょうがないわね・・ボン、ゴブリン・グレネード2体追加で」
『おい、無駄な殺生は・・』
「じゃあ、どうするのよ?範囲攻撃できる術者系はランク5以上は必要なのよ?」
『いや、この先に必要になるかもしれないだろ・・』
「ふん、まあいいわ、この後でDPが足りなくなるような事態にならないことを祈ってなさいよ」
『感謝する・・それで召喚はソーサラーでいいのか?』
「火が使えるやつね・・どうせならファイアーウォールが出せるタイプにして」
『了解した・・ゴブリン・ソーサラーLv7を召喚・・』
廊下に出現した、ソーサラーが、ファイアーボールを打ち込んで、止めを刺した・・
「のう、最初からこうすれば被害は少なくて済んだ気がするんじゃが・・」
「馬鹿ね、スナイパーが悠長に術者の詠唱を待ってるわけないでしょ。グレネードの爆発で意識が朦朧としてるから出来たのよ」
「なるほどのう・・」
「支配領域化が済んだら、ピグミー2体置いて、次いくわよ」
「御意」
『あらあら、インターバルまで、残り5分ですよ、うふふ』




