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ダンジョンマスターは眠れない  作者: えるだー
第9章 氷炎の魔女編
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狂えるサラマンドラ

  モフモフ防衛部隊(残機8/補給???)


 「こちらタコ壺っす。さらにサラマンダーのソルジャーと杖持ちの落下を確認したっす。杖持ちは息があったので、止めを刺したっす・・」

 『こちら司令部、了解。2つ目の退避通路の落とし穴が発動したので、もう1体仕留めた模様・・』


 これで侵入部隊の残りはドレイク1、サラマンダー1、DPの残りは1/3ってところかな・・

 このままシャフトの攻略に拘ってくれていると、助かるんだけどね・・


 するとそこへ、侵入部隊のすぐそばまでトンネルを掘って接近していた、盗聴役の親方から連絡が入った。

 「キュキュ!」

 『さもんx2、x2、x11?』

 「大型召喚2、中型召喚2、小型召喚11? ほぼ残り全部つぎ込んだ感じだね。小型は偵察用か罠作動用だと思うけど、他は何を呼んだか特定できる?」

 「キュキュ、キュキュキュ」

 『どれいく、まーがす』

 残った2体と同じ組み合わせを2つ・・・ドレイクにマーガスをそれぞれ乗せたとしても、シャフトは通過するには高さが足りないはず・・


 「キュキュ!」

 『びーとるず』

 小型はファイアー・ビートルか!


 「ワタリ、アズサ、敵の攻勢が始まった。ファイアー・ビートルの集団が大量にそっちに行くよ!」

 『タコ壷、了解っす』

 『ギャギャ(イカ壷、了解です)』


 偵察部隊を大量に送って、状況把握と攪乱をする・・それから主力がどう動く気なのか・・

 ドレイクにマーガスなら2体は乗せられるのに、わざわざセットで呼んだ理由がわからない・・


 『主殿、ドレイクにキャスターが1体乗っているなら、転移する気なのではないか?』

 それだ!

 ディメンジョン・ドアなら術者と一緒に、中型2体か、大型1体を転移できるはず。だからマーガスとドレイクの数を同じにしたんだ。

 「ワタリ!!・・」

 『しふと!x3』

 僕の警告と敵の主力部隊の転移は同時に起こった・・・



 その時、最下層では・・


 「きりがないっす、うざいっすね」

 「ギャギャ(これで3つ目・・ボルトがもたないかも・・)」

 シャフトから湧き出すように飛び出してくるファイアー・ビートルを次々と射落としていた・・


 体長1mは、昆虫としては破格の大きさではあるが、所詮はランク1の小型モンスターである。クロスボウを1発当てれば、オーバーキルできるのだが、なにせ数が多い。

 二人で合計6匹は打ち落としたが、撃ち洩らした5匹が、狙いにくい場所にもぐりこんでしまった。


 そこへ・・


 『ワタリ!!』

 『シフト!x3』

 マスターの警告とほぼ同時に、眼前に3騎のファイアー・ドレイク部隊が空間転移をしてきた。


 「無茶苦茶っす!」

 いくら索敵用のビートルを飛ばしたとはいえ、未確認の場所にいきなり転移するのは危険が高すぎる。

 その証拠に、1騎は、空中に出現して、そのまま3mほど墜落した。

 「「「フシャーーー」」」

 だが、怒りに燃えるファイアー・ドレイクは、その背中にサラマンダー・マーガスを乗せながら、周囲に炎のブレスを撒き散らした。

 

 「そんな闇雲に吐いても、届かないっすよ・・あちゃちゃちゃーー」

 「ギャギャ(とんでもない範囲に炎が舞っています!防ぎきれません!)」


 通常のファイアー・ドレイクのブレスの2倍の範囲で広がり、火炎耐性の呪文が掛けてあったにもかかわらず、ほとんどダメージを軽減することができなかった。

 「これが『炎舞』の能力っすか・・」


 そこへサラマンダー・マーガスの詠唱が聞えてきた。

 「「「我が身に流れる魔力の奔流よ、火弾となりて・・・」」」


 「・・あれは避けられないっすね・・アズにゃん!」

 「ギャ(こくり)」


 マーガスのファイアー・ボールにも「炎舞」の効果が及ぶのだとしたら、この地下の大広間全てを炎が埋め尽くすはずだ。

 覚悟を決めたワタリとアズサは、最後の一矢を同時に放った。


 「「「ファイアー・ボール!」」」


 紅蓮の炎が全てを焼き尽くした・・・


 その炎を貫くように、岩石砲弾が落下してくる。

 「射線上から避けろ!」

 背中に乗ったマーガスの指示で、ファイアー・ドレイクが一斉に飛び退いた・・・

 一頭を除いては・・

 「なんだ、なぜ逃げない!」

 逃げ遅れたマーガスがファイアードレイクを叱りつけるが、彼の乗っているドレイクは既に死んでいた・・

 2本のボルトで両足を打ち抜かれて、その場に縫い付けられるように・・・


 「馬鹿な!いつの間に!」

 慌てて飛び降りようとしたときには、既に視界の全てを、死の速度で回転する巨岩が覆い尽くしていた・・・



  フレア侵攻部隊(残機4/補給0)


 『敵スナイパー2体の撃破を確認しました』

 「やったです、やってやったですよ!」

 『同時にドレイク1体、マーガス1体がロストしました』

 「最後に相打ちとは、敵ながら天晴れです」

 『さらに、3連火炎弾により、ファイアー・ビートル5匹が全焼しました』

 「なぜ?!」

 『「炎舞」で範囲拡大、耐性貫通の強化ファイアーボールにビートル如きでは耐えうるはずもありません』

 「そしたら赤字じゃないですか!」

 『敵スナイパーのランクが不明ですが、数から言えば大赤字ですね』


 「ぐぬぬ、でもでもシャフトの罠も突破したし、主力が2騎残っていれば、あとは『炎舞』で焼き尽くすのみです」

 『だと良いですね、マスター』


 「もうお財布は空っぽなのです、このまま最後まで押し切るしかないのです!」

 『そんなマスターにマーガスから連絡です・・』


 『・・マスター、最下層と思われる大部屋には、正面奥に特殊な石の両扉があるのみです。さらに、落下してきた岩石が、あちこち飛び跳ねてとても危険です・・』

 「かまわないから、呪文であけちゃっていいですよ。ただし罠には気をつけるです」

 『それが、既に試したのですが、ノックでは開かないようなのです・・・うわっ、ドレイクの尻尾が・・』

 「どういうことですか?」

 『扉に、獣の足跡のような窪みがあることから、特別な鍵が必要かと思われます・・・次が来るぞ、伏せろ!・・』

 「・・鍵がないと開きそうにないですか?」

 『その可能性が高いです・・できれば元の位置まで戻る許可を・・ゴスッ・・・』

 「マーガス?マーガスーーー!」

 『サラマンダー・マーガスのロストを確認』


 「・・残りの部隊の撤退を許可するです・・」

 『1騎は転移に成功・・ただし騎乗していたマーガスを失ったドレイクは回収不能です』

 「戻ったマーガスが往復すれば!」

 『転移先で岩石に巻き込まれる可能性が高いです。それとMPの問題もあります』

 「けど、見殺しには出来ないです!」


 『マスター、行かせてください!部屋の隅に転移すれば大丈夫です!』

 『無駄です』

 「イスカ!」

 『既にファイアードレイクのバイタルサインはロストしました・・』

 「そんな・・・」



 『どうやら認証鍵が必要な扉のようですね。古典的ではありますが、マスターのような力押しのタイプには有効であると認めざるをえません』

 「・・・・」

 『シャフトの退避通路のどこかに隠されたら、見つけ出すのは困難でしょう。インターバルまで時間もないことですし、今日はあきらめて帰りましょう・・?』

 「・・・・」

 『マスター? どうしましたか、マスター?』


 「やってられっかあああ!!」


  

フレア侵攻部隊(残機2/補給0、ただしフリージアと共通の為、増える可能性あり)

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