狂えるサラマンドラ
モフモフ防衛部隊(残機8/補給???)
「こちらタコ壺っす。さらにサラマンダーのソルジャーと杖持ちの落下を確認したっす。杖持ちは息があったので、止めを刺したっす・・」
『こちら司令部、了解。2つ目の退避通路の落とし穴が発動したので、もう1体仕留めた模様・・』
これで侵入部隊の残りはドレイク1、サラマンダー1、DPの残りは1/3ってところかな・・
このままシャフトの攻略に拘ってくれていると、助かるんだけどね・・
するとそこへ、侵入部隊のすぐそばまでトンネルを掘って接近していた、盗聴役の親方から連絡が入った。
「キュキュ!」
『さもんx2、x2、x11?』
「大型召喚2、中型召喚2、小型召喚11? ほぼ残り全部つぎ込んだ感じだね。小型は偵察用か罠作動用だと思うけど、他は何を呼んだか特定できる?」
「キュキュ、キュキュキュ」
『どれいく、まーがす』
残った2体と同じ組み合わせを2つ・・・ドレイクにマーガスをそれぞれ乗せたとしても、シャフトは通過するには高さが足りないはず・・
「キュキュ!」
『びーとるず』
小型はファイアー・ビートルか!
「ワタリ、アズサ、敵の攻勢が始まった。ファイアー・ビートルの集団が大量にそっちに行くよ!」
『タコ壷、了解っす』
『ギャギャ(イカ壷、了解です)』
偵察部隊を大量に送って、状況把握と攪乱をする・・それから主力がどう動く気なのか・・
ドレイクにマーガスなら2体は乗せられるのに、わざわざセットで呼んだ理由がわからない・・
『主殿、ドレイクにキャスターが1体乗っているなら、転移する気なのではないか?』
それだ!
ディメンジョン・ドアなら術者と一緒に、中型2体か、大型1体を転移できるはず。だからマーガスとドレイクの数を同じにしたんだ。
「ワタリ!!・・」
『しふと!x3』
僕の警告と敵の主力部隊の転移は同時に起こった・・・
その時、最下層では・・
「きりがないっす、うざいっすね」
「ギャギャ(これで3つ目・・ボルトがもたないかも・・)」
シャフトから湧き出すように飛び出してくるファイアー・ビートルを次々と射落としていた・・
体長1mは、昆虫としては破格の大きさではあるが、所詮はランク1の小型モンスターである。クロスボウを1発当てれば、オーバーキルできるのだが、なにせ数が多い。
二人で合計6匹は打ち落としたが、撃ち洩らした5匹が、狙いにくい場所にもぐりこんでしまった。
そこへ・・
『ワタリ!!』
『シフト!x3』
マスターの警告とほぼ同時に、眼前に3騎のファイアー・ドレイク部隊が空間転移をしてきた。
「無茶苦茶っす!」
いくら索敵用のビートルを飛ばしたとはいえ、未確認の場所にいきなり転移するのは危険が高すぎる。
その証拠に、1騎は、空中に出現して、そのまま3mほど墜落した。
「「「フシャーーー」」」
だが、怒りに燃えるファイアー・ドレイクは、その背中にサラマンダー・マーガスを乗せながら、周囲に炎のブレスを撒き散らした。
「そんな闇雲に吐いても、届かないっすよ・・あちゃちゃちゃーー」
「ギャギャ(とんでもない範囲に炎が舞っています!防ぎきれません!)」
通常のファイアー・ドレイクのブレスの2倍の範囲で広がり、火炎耐性の呪文が掛けてあったにもかかわらず、ほとんどダメージを軽減することができなかった。
「これが『炎舞』の能力っすか・・」
そこへサラマンダー・マーガスの詠唱が聞えてきた。
「「「我が身に流れる魔力の奔流よ、火弾となりて・・・」」」
「・・あれは避けられないっすね・・アズにゃん!」
「ギャ(こくり)」
マーガスのファイアー・ボールにも「炎舞」の効果が及ぶのだとしたら、この地下の大広間全てを炎が埋め尽くすはずだ。
覚悟を決めたワタリとアズサは、最後の一矢を同時に放った。
「「「ファイアー・ボール!」」」
紅蓮の炎が全てを焼き尽くした・・・
その炎を貫くように、岩石砲弾が落下してくる。
「射線上から避けろ!」
背中に乗ったマーガスの指示で、ファイアー・ドレイクが一斉に飛び退いた・・・
一頭を除いては・・
「なんだ、なぜ逃げない!」
逃げ遅れたマーガスがファイアードレイクを叱りつけるが、彼の乗っているドレイクは既に死んでいた・・
2本のボルトで両足を打ち抜かれて、その場に縫い付けられるように・・・
「馬鹿な!いつの間に!」
慌てて飛び降りようとしたときには、既に視界の全てを、死の速度で回転する巨岩が覆い尽くしていた・・・
フレア侵攻部隊(残機4/補給0)
『敵スナイパー2体の撃破を確認しました』
「やったです、やってやったですよ!」
『同時にドレイク1体、マーガス1体がロストしました』
「最後に相打ちとは、敵ながら天晴れです」
『さらに、3連火炎弾により、ファイアー・ビートル5匹が全焼しました』
「なぜ?!」
『「炎舞」で範囲拡大、耐性貫通の強化ファイアーボールにビートル如きでは耐えうるはずもありません』
「そしたら赤字じゃないですか!」
『敵スナイパーのランクが不明ですが、数から言えば大赤字ですね』
「ぐぬぬ、でもでもシャフトの罠も突破したし、主力が2騎残っていれば、あとは『炎舞』で焼き尽くすのみです」
『だと良いですね、マスター』
「もうお財布は空っぽなのです、このまま最後まで押し切るしかないのです!」
『そんなマスターにマーガスから連絡です・・』
『・・マスター、最下層と思われる大部屋には、正面奥に特殊な石の両扉があるのみです。さらに、落下してきた岩石が、あちこち飛び跳ねてとても危険です・・』
「かまわないから、呪文であけちゃっていいですよ。ただし罠には気をつけるです」
『それが、既に試したのですが、ノックでは開かないようなのです・・・うわっ、ドレイクの尻尾が・・』
「どういうことですか?」
『扉に、獣の足跡のような窪みがあることから、特別な鍵が必要かと思われます・・・次が来るぞ、伏せろ!・・』
「・・鍵がないと開きそうにないですか?」
『その可能性が高いです・・できれば元の位置まで戻る許可を・・ゴスッ・・・』
「マーガス?マーガスーーー!」
『サラマンダー・マーガスのロストを確認』
「・・残りの部隊の撤退を許可するです・・」
『1騎は転移に成功・・ただし騎乗していたマーガスを失ったドレイクは回収不能です』
「戻ったマーガスが往復すれば!」
『転移先で岩石に巻き込まれる可能性が高いです。それとMPの問題もあります』
「けど、見殺しには出来ないです!」
『マスター、行かせてください!部屋の隅に転移すれば大丈夫です!』
『無駄です』
「イスカ!」
『既にファイアードレイクのバイタルサインはロストしました・・』
「そんな・・・」
『どうやら認証鍵が必要な扉のようですね。古典的ではありますが、マスターのような力押しのタイプには有効であると認めざるをえません』
「・・・・」
『シャフトの退避通路のどこかに隠されたら、見つけ出すのは困難でしょう。インターバルまで時間もないことですし、今日はあきらめて帰りましょう・・?』
「・・・・」
『マスター? どうしましたか、マスター?』
「やってられっかあああ!!」
フレア侵攻部隊(残機2/補給0、ただしフリージアと共通の為、増える可能性あり)




