キングオブパイレーツ
書き上げたはずの原稿が保存されていませんでした。orz
こまめな保存、大切ですね・・・
投稿をチェックされている方々にはご迷惑をおかけいたしました。
その頃、マリア率いる攻略部隊は・・・
「最初の部屋に到着、大きさは15mx15mx6mの大部屋で、三方向に石の両開きの扉があるわ・・氷の柱が大量にしかも乱雑に立ち並んでいるから視界が悪いわね」
『いきなり広いが大型の敵がいそうか?』
「いまのとこ姿は見えないわね・・でもまあ、何かいるんでしょうね・・」
見せ掛けの時間稼ぎ部屋にしてはサイズが大きすぎるから、それなりのサイズのガーディアンが待ち伏せしているのだろう・・
「ボン、撒き餌をするから、ゴブリンに登攀をカスタムして3匹召喚して」
『マスター、了解した』
背後の廊下に出現したゴブリン・カスタム(15)を3方向の扉に向けて解き放つ・・
すると、正面に向かった1匹が、部屋の中央で攻撃を受けて即死した。
「ギョギャ!」
「フィッシュ!」
待機していたゴブリン・スカウト達が、一斉に弓矢を放つ。
潜んでいたのは、アイス・ドレイクのようだ。分厚い表皮でゴブリン・スカウトの矢を尽く弾き返すと、氷の柱をバキバキと倒しながら、こちらに突進して来る。
「ゴブシロード、やっちゃって」
「御意」
一歩後ろに控えていた、オーガー侍ロードのゴブシロードが、アイス・ドレイクに向かって疾走していった。
正面から接近する侍ロードに対して、立ち止まってブレスを吐こうとしたアイス・ドレイクであったが、そのとき既にゴブシロードは、足元の氷柱を踏み台にして、その頭上を飛び越えていた。
「奥義、月面宙返り斬り・・」
宙空からの居合い抜きと、背後に着地してからの一撃は、軽々とアイス・ドレイクの硬い装甲を貫く。
侍ロードの動きにつられて、上空に向けてブレスを吐いたものの、空振りに終わったアイス・ドレイクは、怒りも顕に後ろを振り返った。
だがそこに居るはずの敵は見当たらず、声だけが背後から聞えてきた・・
「遅いな・・その巨体では仕方ないとはいえ、それでは戦場では生き残ることはできぬ・・」
鍔鳴りが1つ響き渡ると、アイス・ドレイクは崩れるように倒れた・・
「ボン、他に敵の気配はない?ならこの大部屋を支配領域にして」
『了解した・・マスター、支配完了だ』
「じゃあ、ゴブリン・カスタム2体はここで待機」
「「ギャギャ」」
「次は、どうせ通路だろうから、罠に注意しながら3方向同時に探索すればいいか」
『了解した、スカウトを1体ずつ送り出す』
「他の部屋もこんなものなら楽勝ね」
『マスター、油断は禁物だぞ』
「油断じゃないわ、強者の余裕よ」
マリアの進撃は続く・・・
その頃のツインコアルームでは
『アイス・ドレイク(R5/250)が撃破されました。その結果、ルームナンバー1の支配権が奪われました』
「予想はしていたけど、馬鹿げた能力ね、あのゴブリン侍・・」
『マスター・・あれは既にゴブリンではありません・・』
「どういうこと? マリアは『ゴブリン使い』でしょ?」
『成長してオーガーに進化した模様です・・その結果、女帝からは「ゴブリン使い」の称号は消えていると推察されます・・』
「そう・・それは喜ばしい情報なのだけど、戦略の変更が必要になったわね・・」
『あの個体以外にも、ゴブリン種以外の眷属が召喚される可能性があります・・』
「やっかいね・・」
亜人への対策をメインにしてあったが、その他も考慮しないといけなくなった。しかし最後のガーディアンにポイントを振った為に、予備のDPは心もとなかった・・
「・・これでは妹のことを責められませんね・・」
『そのマスター・フレアですが、苦戦してらっしゃるようです・・』
「珍しいわね・・・無鉄砲で無頓着で無精だけど、イスカと組めば戦闘力だけなら、そこらの相手には負けないはずなのだけれど・・」
予想した通りに攻略はマリアが担当してきたから、防衛は、例のルーキーが担っているはずだ。眷属も装備も格下なのに、フレアとイスカの「炎舞」を耐え切ったとでも言うのだろうか・・
そこへ件の妹から念話が入った・・
120インチ砲だの、大艦巨砲主義だの、あいかわらず理解不能な事を叫んでいたけれど、どうやらトラップのギミックに引っ掛けられているようだ・・・
たぶんガーディアンよりトラップで対処するタイプのマスターなのだろうが、それならそれでやり様はある・・妹との相性は最悪だけれども・・・
「テスラ、合間を見てイスカの観測データを分析して・・」
『はい、マスター・・ただ、防衛用の演算が手薄になりますが・・』
「こちらは極力、戦闘回避の方針で行きます。幾つかのエリアを支配させたところで、奪回します。あのオーガーとまともにやりあうのは割りに合いませんから・・」
『確かに・・・では各部屋に待機しているガーディアンを遭遇頻度の低いエリアに移動させます・・』
「マリアが4つ目の部屋を抑えたところからが、勝負です・・」
そしてフレア率いる侵攻部隊は・・
「鍵開けの上手な眷族を召喚するですよ!」
『指示があいまいで対処できません。種族、ランク、特性問わずでいいですか?』
「かまわないです、ちゃっちゃと呼んじゃってくださいです」
『該当するリストは・・・テスラ側から・・・ありました、サハギン・キングパイレーツ(R15/2250)を召喚・・・』
「ちょっ、いくらなんでも大物すぎるですよ!」
『委細問わずって言いましたよね・・』
「・・ごめんなさい・・・R5以下でお願いするです・・」
『よろしい・・・サハギン・パイレーツ(R4/160)で良いですか?』
「それそれ、それでぴったりですです」
召喚されたサハギン・パイレーツは、ミッション・インポッシブルも真っ青の指令を下された。
「この岩石砲弾が通過したらすぐに下の扉に走っていって、鍵を開けたら、中に飛び込むですよ」
「シャハ?」
『タイムリミットは、9秒5です、健闘を祈ります』
「シャハシャハ?」
そして世紀の鍵開け大脱出が試みられた。
転落しながら通過する巨大な岩石、走り込んで扉に張り付くサハギン・パイレーツ、それを見守る観客達・・・プレッシャーに耐えながら、手製の七つ道具で鍵開けに挑戦した結果・・・
パキョッ 「シャハーーーー」 ゴロゴロゴロ
「パイレーツーー」
『やはり間に合いませんでしたか』
鍵開けの技能を使うには、最低でも10秒はかかる。走り込んで、不安定な足場で作業をする以上、成功する可能性はほぼゼロだ。
「だったら、どうするですか?」
『開錠の呪文を使える眷族を呼び出せばよいのでは?』
「なんと!それです!」
『サラマンダー・マーガス(R7/490)でよろしいですか?』
「もうちょっと、コストが安いのはいないですか?お財布がピンチなのです」
『開錠の呪文は所有している眷族が少ないですからね。あと連発するならMPもそれなりにないと・・』
「うう、わかったです」
サラマンダー・マーガスを召喚したあとで、打ち合わせに入る。
「マーガスがここから開錠の呪文を打つです。そしたらソルジャーが走っていって、中を確かめるです」
『戻ってくる余裕はないと思いますから、開いた扉の中に退避してください』
「キシャー」
「承知しました」
そして再び、シャフトの攻略が開始された・・・
「閉ざされし扉よ、我が前に道を開け、ノック!(開錠)」
マーガスの力ある言葉に反応して、9m下の石の扉がゆっくりと奥へ開いていった。
「よし、開いたですよ、ソルジャー逝くです!」
「キ、キシャー(え?行くの間違いですよね・・)」
不安に思いながらも開いた扉へと走っていくサラマンダー・ソルジャーであった・・
「キシャー!(マスター、開いた扉の奥にも、すぐに扉が!)」
そうこうするうちにも、岩石が転落してくる轟音が響いてきた。
「急いで中に入って扉を押すです!鍵がかかっていたらそのまま、そこで待機です」
「キシャ!(了解です!)」
第二の扉は5フィート奥にあるので、ソルジャーなら2体は、この空間に退避できるだろう。しかしファイアー・ドレイクなどの大型種族ははみ出してしまう。全員が退避通路をつかうには、2枚目の扉も開く必要があった。
「キシャー(うらっ)」
全身の力をこめて、扉を押したが、やはり鍵がかかっているのか、ビクともしなかった。
そして罠が発動した・・
触れたら扉が閉まる罠・・第二の扉に触れると、第一の扉が自動的に閉まる・・
「キシャー、キシャー(なんだ、これは、よせ、止まれ、止まるんだー)」
無情にもサラマンダー・ソルジャーはシャフトに押し戻されてしまった。
ベキョッ 「キシャーー」 ゴロゴロゴロ
後には何事も無かったかのように、閉ざされた扉があるだけであった・・・




