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ダンジョンマスターは眠れない  作者: えるだー
第9章 氷炎の魔女編
284/478

キングオブパイレーツ

書き上げたはずの原稿が保存されていませんでした。orz

こまめな保存、大切ですね・・・

投稿をチェックされている方々にはご迷惑をおかけいたしました。

 その頃、マリア率いる攻略部隊は・・・


 「最初の部屋に到着、大きさは15mx15mx6mの大部屋で、三方向に石の両開きの扉があるわ・・氷の柱が大量にしかも乱雑に立ち並んでいるから視界が悪いわね」

 『いきなり広いが大型の敵がいそうか?』

 「いまのとこ姿は見えないわね・・でもまあ、何かいるんでしょうね・・」


 見せ掛けの時間稼ぎ部屋にしてはサイズが大きすぎるから、それなりのサイズのガーディアンが待ち伏せしているのだろう・・

 「ボン、撒き餌をするから、ゴブリンに登攀をカスタムして3匹召喚して」

 『マスター、了解した』


 背後の廊下に出現したゴブリン・カスタム(15)を3方向の扉に向けて解き放つ・・

 すると、正面に向かった1匹が、部屋の中央で攻撃を受けて即死した。

 「ギョギャ!」

 「フィッシュ!」

 待機していたゴブリン・スカウト達が、一斉に弓矢を放つ。


 潜んでいたのは、アイス・ドレイクのようだ。分厚い表皮でゴブリン・スカウトの矢を尽く弾き返すと、氷の柱をバキバキと倒しながら、こちらに突進して来る。

 「ゴブシロード、やっちゃって」

 「御意」

 一歩後ろに控えていた、オーガー侍ロードのゴブシロードが、アイス・ドレイクに向かって疾走していった。


 正面から接近する侍ロードに対して、立ち止まってブレスを吐こうとしたアイス・ドレイクであったが、そのとき既にゴブシロードは、足元の氷柱を踏み台にして、その頭上を飛び越えていた。

 「奥義、月面宙返ムーンサルトザンり・・」


 宙空からの居合い抜きと、背後に着地してからの一撃は、軽々とアイス・ドレイクの硬い装甲を貫く。

 侍ロードの動きにつられて、上空に向けてブレスを吐いたものの、空振りに終わったアイス・ドレイクは、怒りも顕に後ろを振り返った。

 だがそこに居るはずの敵は見当たらず、声だけが背後から聞えてきた・・


 「遅いな・・その巨体では仕方ないとはいえ、それでは戦場では生き残ることはできぬ・・」


 鍔鳴りが1つ響き渡ると、アイス・ドレイクは崩れるように倒れた・・


 「ボン、他に敵の気配はない?ならこの大部屋を支配領域にして」

 『了解した・・マスター、支配完了だ』


 「じゃあ、ゴブリン・カスタム2体はここで待機」

 「「ギャギャ」」

 「次は、どうせ通路だろうから、罠に注意しながら3方向同時に探索すればいいか」

 『了解した、スカウトを1体ずつ送り出す』


 「他の部屋もこんなものなら楽勝ね」

 『マスター、油断は禁物だぞ』

 「油断じゃないわ、強者の余裕よ」


 マリアの進撃は続く・・・ 



  その頃のツインコアルームでは


 『アイス・ドレイク(R5/250)が撃破されました。その結果、ルームナンバー1の支配権が奪われました』

 「予想はしていたけど、馬鹿げた能力ね、あのゴブリン侍・・」

 『マスター・・あれは既にゴブリンではありません・・』

 「どういうこと? マリアは『ゴブリン使い』でしょ?」

 『成長してオーガーに進化した模様です・・その結果、女帝からは「ゴブリン使い」の称号は消えていると推察されます・・』


 「そう・・それは喜ばしい情報なのだけど、戦略の変更が必要になったわね・・」

 『あの個体以外にも、ゴブリン種以外の眷属が召喚される可能性があります・・』

 「やっかいね・・」


 亜人への対策をメインにしてあったが、その他も考慮しないといけなくなった。しかし最後のガーディアンにポイントを振った為に、予備のDPは心もとなかった・・

 「・・これでは妹のことを責められませんね・・」

 『そのマスター・フレアですが、苦戦してらっしゃるようです・・』

 「珍しいわね・・・無鉄砲で無頓着で無精だけど、イスカと組めば戦闘力だけなら、そこらの相手には負けないはずなのだけれど・・」


 予想した通りに攻略はマリアが担当してきたから、防衛は、例のルーキーが担っているはずだ。眷属も装備も格下なのに、フレアとイスカの「炎舞」を耐え切ったとでも言うのだろうか・・


 そこへ件の妹から念話が入った・・


 120インチ砲だの、大艦巨砲主義だの、あいかわらず理解不能な事を叫んでいたけれど、どうやらトラップのギミックに引っ掛けられているようだ・・・

 たぶんガーディアンよりトラップで対処するタイプのマスターなのだろうが、それならそれでやり様はある・・妹との相性は最悪だけれども・・・


 「テスラ、合間を見てイスカの観測データを分析して・・」

 『はい、マスター・・ただ、防衛用の演算が手薄になりますが・・』

 「こちらは極力、戦闘回避の方針で行きます。幾つかのエリアを支配させたところで、奪回します。あのオーガーとまともにやりあうのは割りに合いませんから・・」

 『確かに・・・では各部屋に待機しているガーディアンを遭遇頻度の低いエリアに移動させます・・』

 「マリアが4つ目の部屋を抑えたところからが、勝負です・・」



  そしてフレア率いる侵攻部隊は・・


 「鍵開けの上手な眷族を召喚するですよ!」

 『指示があいまいで対処できません。種族、ランク、特性問わずでいいですか?』

 「かまわないです、ちゃっちゃと呼んじゃってくださいです」

 『該当するリストは・・・テスラ側から・・・ありました、サハギン・キングパイレーツ(R15/2250)を召喚・・・』

 「ちょっ、いくらなんでも大物すぎるですよ!」

 『委細問わずって言いましたよね・・』

 「・・ごめんなさい・・・R5以下でお願いするです・・」

 『よろしい・・・サハギン・パイレーツ(R4/160)で良いですか?』

 「それそれ、それでぴったりですです」


 召喚されたサハギン・パイレーツは、ミッション・インポッシブルも真っ青の指令を下された。

 「この岩石砲弾が通過したらすぐに下の扉に走っていって、鍵を開けたら、中に飛び込むですよ」

 「シャハ?」

 『タイムリミットは、9秒5です、健闘を祈ります』

 「シャハシャハ?」


 そして世紀の鍵開け大脱出が試みられた。


 転落しながら通過する巨大な岩石、走り込んで扉に張り付くサハギン・パイレーツ、それを見守る観客達・・・プレッシャーに耐えながら、手製の七つ道具で鍵開けに挑戦した結果・・・


 パキョッ  「シャハーーーー」  ゴロゴロゴロ


 「パイレーツーー」

 『やはり間に合いませんでしたか』

 鍵開けの技能を使うには、最低でも10秒はかかる。走り込んで、不安定な足場で作業をする以上、成功する可能性はほぼゼロだ。


 「だったら、どうするですか?」

 『開錠の呪文を使える眷族を呼び出せばよいのでは?』

 「なんと!それです!」


 『サラマンダー・マーガス(R7/490)でよろしいですか?』

 「もうちょっと、コストが安いのはいないですか?お財布がピンチなのです」

 『開錠の呪文は所有している眷族が少ないですからね。あと連発するならMPもそれなりにないと・・』

 「うう、わかったです」


 サラマンダー・マーガスを召喚したあとで、打ち合わせに入る。

 「マーガスがここから開錠の呪文を打つです。そしたらソルジャーが走っていって、中を確かめるです」

 『戻ってくる余裕はないと思いますから、開いた扉の中に退避してください』

 「キシャー」

 「承知しました」


 そして再び、シャフトの攻略が開始された・・・

 「閉ざされし扉よ、我が前に道を開け、ノック!(開錠)」

 マーガスの力ある言葉に反応して、9m下の石の扉がゆっくりと奥へ開いていった。

 「よし、開いたですよ、ソルジャー逝くです!」

 「キ、キシャー(え?行くの間違いですよね・・)」

 不安に思いながらも開いた扉へと走っていくサラマンダー・ソルジャーであった・・


 「キシャー!(マスター、開いた扉の奥にも、すぐに扉が!)」

 そうこうするうちにも、岩石が転落してくる轟音が響いてきた。


 「急いで中に入って扉を押すです!鍵がかかっていたらそのまま、そこで待機です」

 「キシャ!(了解です!)」

 第二の扉は5フィート奥にあるので、ソルジャーなら2体は、この空間に退避できるだろう。しかしファイアー・ドレイクなどの大型種族ははみ出してしまう。全員が退避通路をつかうには、2枚目の扉も開く必要があった。


 「キシャー(うらっ)」

 全身の力をこめて、扉を押したが、やはり鍵がかかっているのか、ビクともしなかった。

 そして罠が発動した・・


 触れたら扉が閉まる罠・・第二の扉に触れると、第一の扉が自動的に閉まる・・

 「キシャー、キシャー(なんだ、これは、よせ、止まれ、止まるんだー)」


 無情にもサラマンダー・ソルジャーはシャフトに押し戻されてしまった。


 ベキョッ  「キシャーー」 ゴロゴロゴロ


 後には何事も無かったかのように、閉ざされた扉があるだけであった・・・



 



 


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