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ダンジョンマスターは眠れない  作者: えるだー
第9章 氷炎の魔女編
270/478

新たな管理者

話の後半部分を、書き直していたら徹夜になりましたTT

更新をチェックされていた方にはご迷惑をおかけ致しました。申し訳ございません。

 「ほい、次、焼けたよ」

 「俺は野菜がいいな・・」

 「それ、あたしが狙ってた肉!」

 「弱肉強食が定めだ・・」 

 「あ、リーダー、塩ダレとって」

 「ガツガツガツ」」


 何故か六つ子は絶賛、焼肉パーティー中であった・・・


 ここは、オークの丘と呼ばれた、古代オーク帝国の男爵の墳墓のあった小高い丘の上である。

 以前は、今の倍の標高があったのだが、ある事件がきっかけで、半分ほど削られてしまっている。

 その中腹に、人工的に掘削されて整地されたテラス状の広場が出来ていた。そこにはバーベキュー用の野外竈と、簡素なテーブルや椅子が並んでいる。

 その一角に陣取った、6人の冒険者が、この地の支配者に、晩餐を振舞われているのであった。


 セルフサービスだったけれども・・・



 「いやー、しかしここは気分がいいな」

 「見晴らしは良いし、風は通るし」

 「焼肉の煙が充満しないのもポイント・・」

 「お肉も野菜も食べきれないほどでてくるしね」

 「酒も美味いし、肴も美味い」

 「グビグビグビ」」


 彼らが、まったりしているのには訳があった。

 この地の支配者であるダンジョンマスターとの交渉は順調に推移し、病人というか怪我人というか、やっかいな爆弾を身体に抱え込んだ兄弟を、ユニコーンの力で治療してもらうことに成功した・・・

 ただし、完治はしなかった・・


 ニコのユニキュアで、心の臓付近に蔓延っていた宿木やどりぎの根は縮小することはできたらしい。ただし、大本の、エルフが打ち込んだ鏃を体内から抜き去ることができなかった。

 現状でも命に別状はなくなったらしい。激しい運動をしても、血管を突き破って吐血死という恐れはなくなった。

 ただ、もう一度、同じ場所に深手を負って、同じように治癒呪文をかけると、再びヤドリギの鏃が活性化する可能性があった。


 「まあ、冒険が出来るようになっただけでも、御の字なんだけどな」

 「やっぱり6人揃ってないとね」

 「あの輿、重いしね」

 「しかもかなり目立って、村の近辺だと恥ずかしい・・」

 「そうかな?私的には、ありだったよ?」

 「モグモグモグ」」


 「・・・・」x5

 「ハウハグハグ」」


 六つ子の5人の目は、つい、数時間前まで、青白い顔でうめいていた弟に向けられていた。

 今は、5人前はあろうかという焼肉の山を、一人で攻略中であった・・・


 「元気に成り過ぎだろう!」x5


 「ムシャムシャ・・お替り・・」



 そこへノーミンが追加の肉と野菜、それに枝豆ともやし炒めにエールを運んできた。

 もちろん一人では持ちきれないので、穴熊ファミリーがお手伝いしていた。


 「追加持ってきただよ。しかし人族も見かけによらず食べるだなあ・・・」

 「あ、度々すいません。お忙しいときに」


 「いやいや、侵入者は、お前さんたちの通報で大事無く撃退できただ。マスターはちょっと他に用事があって、顔出しできないだども、オラは暇だで、気にしなくていいだよ」

 

 「あ、まーぼー君、焼いたお肉食べる?」

 「ギュギュ!」

 「はい、あ~~ん」

 「ギュ」

 「う~ん、可愛いね、よしよしよし」


 「治療をしていただいたうえに、こんな食事まで用意していただいて、感謝しております」


 「ふむ、やんぼーも欲しいか、なら縦回転だ」

 「ギュギュー」

 「見事だ、これは報酬だぞ」

 「ギュ」

 「よし、ワシャワシャ」


 「治療はそもそも、邪神教団戦の報酬だで。肉も野菜も御裾分けに近いだ、まだまだ有るだで、遠慮することねえだよ」

 「ありがとうございます」


 「え?リンゴが食べたいの?」

 「ギュギュ」

 「しかもウサギさんカット?どういうこと?」

 「ギュ」

 「うわっ、可愛いねー、これはある意味、芸術だよね」


 

 「おい!いい加減にしろよ・・・」

 ノーミンと会話していたリーダーが、自由過ぎる妹弟の行動を叱責した。

 「俺だってモフりたいのに、我慢してるんだぞ!」

 「・・そっちだっただか・・」


 焼肉パーティーは混迷の度合いを深めていくのであった・・・


 「ギュギュ?」




  その頃、地底湖では。


 「とぅっとぅるー」

 あ、繋がった?


 『はい、こちらハクジャです。感度良好です、ジャ』

 「あ、ハクジャ、そちらはどう?」

 『マスター様、無事に会議の会場に着けました、ジャー。昔馴染みにも会えました、ジャジャ』

 「それは良かった。こちらは女族長の襲撃を撃退したよ。被害は軽微で、ベニジャがちゃんと仇を討ったからね」

 『さようですか・・ご助力に感謝いたします、ジャー』

 「僕は何もしていないけどね」

 『そんなことはありませんです、ジャー』

 ハクジャにとって、部族の存亡の危機を救ってくれた恩は、返しきれないほど大きいものらしい。


 「それはさておき、実力行使で妨害をしてきた勢力が居たわけで、そっちも荒れると思うから十分に気をつけてね」

 『了解しました、ジャー』

 「一応、こちらの戦闘記録もコアにまとめてもらって送るから、交渉の足しにして」

 「ぴーががー」

 『正面から問い詰めても、しらを切るでしょうから、仄めかして譲歩を引き出す様にしますです、ジャー』

 「その匙加減は任せるよ。ではまた定時に連絡するね」

 『了解しました、ジャジャー』



 次は地下水路探索隊か・・


 「とぅっとぅるー」


 『主殿か!』

 ロザリオの返事に余裕がないね。何かあったかな?

 「ロザリオ、状況は?」

 『最悪だ、脱出艇は発見できたが、すでに敵性勢力に確保された後だった』

 「敵性勢力って、どこの?」

 『わからん、ただし向こうの目標もあきらかに脱出艇だ。裏で回収を指示している奴がいるはずだ』

 「彼らは脱出艇をどうする気なのかな?」

 『北に運ぼうとしているのは間違いない。牽制して妨害はしているが、脱出艇が向こうに押えられているので、思い切った攻撃が出来ないのだ』

 「脱出艇の中の人は無事そう?」

 『見た感じでは外部に大きな破損箇所はない。ただしこれからも無いとは保証できん』


 こちらのメンバーは無事みたいだけど、脱出艇のドワーフの身が危険だね・・・いろんな意味で・・


 「戦わずに、脱出艇だけ掠め取れないかな?」

 『主殿、無茶を言うな・・』

 やっぱり無理かな・・

 『相手はギガント・グレイシャル・タートル1体にサハギン(半魚人)が1小隊付き従っているのだぞ。共通語を喋らないから術者はいないのだろうが、小隊長はかなりの使い手に見える』

 

 言葉が通じないから交渉もできないか・・・


 「わかった、アエンに脱出艇の機能について詳しく聞いてみるから、もう少し粘っていて」

 『了解した・・ただ急いで欲しい・・向こうもかなり焦れていて、いつ強行突破してきてもおかしくない状況なのだ』

 「こちらも了解」



 「コア、アエンに遠話・・・は眷属じゃないから無理だね・・エルフのテオに遠話して」

 「とぅっとぅるー」


 『はい、こちらダンジョン管理センターです。ご用件を承ります』

 「ほえ?」

 あれ?なんで管理センターに繋がったの?


 『あらあら、その声は「コア」さんですね、お噂はかねがね』

 「わりこみ?」

 『うふふ、秘密です♪』


 どうやらこちらの遠話システムに強制割り込みをかけてきたらしい。管理センターなら可能なんだろうけど、はっきり言って迷惑だよね。

 「どんなご用件ですか?」


 『あらあら、怒らせてしまったかしら?』

 「怒ってはいません。けど急いでるんです」

 『うふふ、大丈夫です。その件についての連絡ですからね』

 

 ん?どういうことだ?


 『ダンジョンバトル委員会に正式に要請がありました。ドワーフの身柄引き渡しについて裁定を願うとのことです』

 「いったい誰が・・・」

 『あらあら、もちろん、貴方が現在、紛争を抱えてるダンジョンマスターからですよ』


 「それって、もしかして・・」


 『「アイスドール」と「ファイアーダンサー」からの連名です。そうですね、貴方には「氷炎の魔女」と言った方がわかりやすいでしょうか、うふふ』




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