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ダンジョンマスターは眠れない  作者: えるだー
第9章 氷炎の魔女編
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戦場にかかる橋

投稿が大変遅くなりました。申し訳ございません。

 「ここは変わらないねえ・・」

 久しぶりに訪れた三日月湖は、以前とかわりなく、静かに水面を煌かせていた。


 あの抗争から、早、1ヶ月、肩身の狭い思いをしながら間借りしていた「凍結湖の鮫」から追い出されるように、この場所にやってきた。あの幹部連の雰囲気では、戻ることは不可能だろう。

 元の居住区は、荒れてはいたが、住めなくもない。だが、隣に奴等が居る以上、枕を高くして寝ることなど出来様はずもなかった。


 「姐御、準備が整いやした、ジャー」

 中の広さは、覚えている。円月槍を振り回す、うちの兵隊なら、4人で方陣を組むのが正解のはずだ。

 アイスドレイクは、バリケードがあった場合に突破力として使う。もしくは後方に弓兵が待ち構えていたら、そこに突撃させる。

 アタシの呪文も出し惜しみ無しだ。

 ハクジャの爺がいない以上、狙う首は孫娘のベニジャしかいない。もし生け捕りにできたら、身代金として、有り金全部毟ってやろう。


 「よし、い組とろ組は突入して広間を確保しな。は組のうちの二人は、アイスドレイクの1頭と一緒に、前の二組の支援だよ」

 「「へい!ジャー」」



 「れっどまーかーかもん」

 お、来たね。数はわかる?

 「よんよんさん」

 ・・そのフォーメーションだと、キーパーまでフィールドに出てない?

 「アディショナルタイムっすね」

 川口ならやるか・・


 敵は2個分隊と、アイスドレイクに2人の兵隊が随行してるみたいだね。1分隊が4人で構成されていて、随行する2人は、最後尾についている。

 彼らはエントランスホールに侵入してきて、警戒しているけど、そこには何も配置していない。入り口の脅かし用のドクロには触らなかったようだ。


 やがて広間の探索を終えたのか、外の本隊を呼びに伝令が走っていった。

 「今なら先陣の不意をつけるっすよ」

 「ここで、手を出すと、外の本隊が逃げそうだからね。もう少し引き寄せるよ」

 「ういっす」


 暫くして、本隊が侵入してきた。2頭目のアイスドレイクは、流石に外で2人の後詰の兵隊と一緒に待機しているようだ。

 エントランスホールから背骨エリアに続く木の扉を、執拗に調べたあとで、最初の2個分隊が、前後に並んで足を踏み入れてきた。


 「そんなに慎重に進んでいると、混乱の罠の影響が・・」

 そう言っているうちに、何人かが混乱の状態異常にかかって、同士討ちを始めた。

 「ほら、いわんこっちゃない」

 「向こうには聞えてないっすよ」

 「おっと、随行歩兵の片方が、詠唱して呪文を飛ばしたね。あれは精神安定の呪文のようだね・・だとすると神聖魔法かな?」

 「やっかいっすね、消えてもらうっすか?」

 隙ができたら狙撃してもいいかな。今は、敵が多すぎて、機会がなさそうだけど・・


 「動き出したっす・・どうやら目を瞑って手探りで通路を抜ける算段っすね」

 それはご愁傷さま・・


 カチッツ カパツ 「「ジャジャーーー」」


 前列の2体と、止まりきれなかった後列の1体が落とし穴に落ちた。一般兵だと深くて痛いと即死する。すぐにコアが吸収して3体分のDPを得た。

 さてどう対応してくるのかな?



 「姐御、通路の途中に落とし穴があって、3人、落ちやした、ジャー」

 「なにやってんだい、あれほど罠に注意しろと言っておいただろ?」

 「ですが、壁の文様を見ないように目を瞑ると、足元は警戒しようがないです、ジャ」

 「だったら、アイスドレイクで橋をかけるんだよ。とっとと、おし!」

 「へいっ!ジャー」


 しかし、前回の時は、若頭の部隊が平気で突破していたから、途中に落とし穴があるとは思わなかったよ・・この一月でさらに防備を固めてたってことかい・・


 アイスドレイクの巨体は、落とし穴を跨ぐように移動すると、腹を床につけた。その背中を、おっかなびっくりで、目を瞑った兵士達が乗り越えていく。


 そこへ、どう見ても監視していたと思われる絶好のタイミングで、伏兵が襲ってきた。


 「姐御、敵襲ですぜ!」

 「来やがったかい、数は?」

 「わかりやせん!現場の連中は全部、目を瞑っていやすから、ジャー」

 「そんなの、戦闘になったら開ければいいじゃないか・・」

 「そうすると、混乱するんでさ、ジャジャ」


 趣味の悪い罠を仕掛けやがって・・

 とはいえ有効的なのは間違いないね。うちの兵隊が、また2体食われたよ・・

 「援護するから、正面突破するんだよ!」

 「姐御の命令だ、タマとってこいや、ジャー」

 「氷の精霊の流す涙よ、我らの姿を隠したまえ、スノー・ベール(雪の被い)!」


 通路全体に魔法の雪が降りしきり、視界を阻害し始めた。これなら混乱の罠も効果が半減するはずだよ。

 「今なら、目を開いて戦闘も移動もできるはずさ」

 最初からこうしとくべきだったね・・


 しかし、視界の問題が解決したのに、一向に状況は良くならなかった。

 「なぜだい!なぜ押し負けるんだい!」

 「姐御!奴等もアイスドレイクに乗ってやがるんです。こっちも出さないと火力に差が・・グジャーー」

 

 なんだって?いつの間に奴ら、アイスドレイクなんてものをテイムしてたんだい・・・

 「とにかく、後詰の兵隊とアイスドレイクも呼び込みな。こうなったら総力戦だよ!」

 「「へいっ!ジャジャー」」



 

 アイスドレイクを橋にして、兵隊を送り込んできたまではよかったけど、それだと脇が甘すぎだよね。

 「コア、左右の部屋で待機している氷竜騎兵に、タイミング計って攻撃指示を出して」

 「らじゃー」

 

 こちらの部隊はアイスドレイクの背中に、槍使いと弓使いのリザードマンをコンビで乗せている氷竜騎兵だ。後衛が朔矢のスキルで牽制し、前衛が三日月斬りで切り込み、アイスドレイクが追い討ちをかける。

 右側に気をとられた隙に、左からも同じ攻撃を仕掛ける。敵は混乱してこちらの戦力を確認することも出来ずに倒れていった。


 次に女族長が呪文で、視界を阻害してきた。

 本当は、範囲呪文を打ち込みたかったのだろうけど、味方にダメージを与えない冷気系では、こちらにもダメージが入らないことは予想しているみたいだ。

 壁の罠の効果が薄れたので、敵の兵隊も通常の戦闘力を取り戻したようだ。


 しかし、向こうのアイスドレイクは、橋の役目をしたままなので、こちらが有利なのは変わらなかった。

もし、中央の橋役が動いてしまったら、今度は落とし穴で分断されて、前後の戦力が分散されてしまう。

 ジリ貧のあちらは、虎の子のアイスドレイクを突入させてくるみたいだ。


 「コア、左右の氷竜騎兵を一旦、退却させて」

 「はうす」

 「敵のドレイクは1頭はやり過ごして、もう1頭が橋の役目を終えたら後方を封鎖して、殲滅する、いいね」

 「へりぼーん?」

 「そう、狙撃兵を3体転送して」

 「おっと、出番っすね」 

 

 「れっつ、ぱーてぃー」


 「派手にぶちかますっすよ」



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