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ダンジョンマスターは眠れない  作者: えるだー
第9章 氷炎の魔女編
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ワンドリンク無料は罠

投稿が大変遅くなりました。申し訳ございません。

 「それで、アエンさんは今後どうするつもりですか?」

 「そうですね・・できれば逸れた仲間と合流して、今後を決めたいと思っています・・ウィック」

 

 真面目な会話をしているように見えるが、テーブルに乗り切らないほどの瓶を飲み干して、流石に酔っ払ったドワーフ娘の吐く息は、お酒臭かった・・


 「できれば少しの期間でもいいですから、うちにゲストとして滞在していただいて、鍛冶について教えていただけると、嬉しいのですが・・」

 せっかくドワーフというスペシャリストが舞い込んで来たんだから、ここは勧誘すべきだと思う。


 「そうですね・・ここはお酒も飲み放題ですし・・考慮しても・・」

 「いやいや、流石にこれ以上は対価をいただきますよ?」

 「では、今の話はなかったことに・・・ウィック」


 なるほど、条件交渉というわけですか・・ならば受けて立ちましょう・・ニヤリ

 「それでは、こちらを」

 「これは・・木簡ですか?・・裏に何か書いてあり・・ヒック!?」


 『請求書:飲食費として236DP そのうちサービス税10%、消費税8%を含む』


 「ボッたくり!」

 「おやおや、お客様、人聞きの悪い噂を立てるのは、お止めください。風評被害で賠償請求も上乗せしなくてはならなくなりますので・・」


 「・・うわぁ、大頭が悪い顔してるぜ、ジャジャ・・」

 「・・さすがマスター様、悪徳業者風の取り立ても、お見事です、ジャー・・」


 「こんな・・だって、ゲスト認定で、お茶が不味くて、口直しにって出されたエールを飲んだだけなのに・・・」

 いやいや、10ℓ入りの瓶をエールと蜂蜜酒合わせて10杯は飲んだよね。マジで200DPかかったんだけど・・


 「最初の1杯は店のおごりでも、その後のサービスは御代をいただきます」

 「ぶ、分割で・・」

 「当店では一括払いのみになっております」

 「つ、ツケで・・」

 「初回来店のお客様には出来かねます」

 「さ、皿洗いで・・」


 はい、労働によるお支払いの確約いただきましたー。

 「まいどありー」


 「しくしく、ただ酒呑み放題の夢が・・・」

 ドワーフの眷属化は考え物だね・・維持費だけでDPが枯渇するかも・・・




  クラン「不凍湖の龍」にて


 「ガハハハハ、お主が話のわかる族長で助かったわい」

 「何、困ったときはお互い様さ。それでお仲間は他に誰がいたのかな?」

 「それよそれ、可能なら逸れた仲間を集めたいのだが、手を貸してもらえんかのう・・もちろん謝礼はするぞい」

 「行方を捜すにも、まずは人数と特徴を教えてくれ。謝礼の話は無事に見つかってからだな」


 「ガハハハハ、それはすまんかった。ワシと一緒に脱出したのは、『チタン』『アエン』『ニッケル』『マンガン』の4人じゃったが、『マンガン』の奴は途中で捕獲されてしもうたわい」

 「すると、残りは3人か・・」

 「それが『チタン』の脱出艇も、途中で反応が消えてしもうた。ただし、あれは単なる故障の可能性もあるのう」

 「そっちは、後回しだな。北へ延びるルートを初見で下るのはリスクが高すぎる・・」

 「まあ、自力で修復して合流してくるかも知れんし、動けなくても3週間は中で暮らせるからのう。大丈夫じゃろ」

 「なら、あとの二人か・・特徴は?」

 

 「『アエン』は唯一の娘っ子じゃな。研究馬鹿の干物女じゃわい。見た目は美人の部類なのに残念じゃのう」

 「そ、そうなのか・・」

 「『ニッケル』は若造じゃな。育ちが良いのを自慢にしよるが、ドワーフにとって誇るべきは血筋ではなく、技じゃ。それがまだまだわかっとらん」


 「ふむ、わかった・・ちなみに爺さんの名前をまだ聞いてないんだが」

 「ガハハハハ、ワシとしたことがうっかりしとったわい。改めて名乗ろう、元クラン『鍛冶場の番人』の特級鍛冶師『タングステン』じゃ、よろしく頼む」


 

  クラン「凍結湖の鮫」にて


 「で、お坊ちゃん、あの酒樽みたいなのは何なんですかい?」

 「知らないよ、母上がこれに乗って逃げなさいって」

 「そしたら他の人たちはどうしたかわかりますかい?」

 「それも知らない。それより蜥蜴人のおばさん、食事まだ?」


 「お、おばさん?!」

 「・・姐さん、抑えて、抑えて、ジャー」

 額に青筋を浮かべたトロンジャを、手下が必死に宥めすかしていた。


 「・・なんでアタシがこんな生意気なガキの相手をしなきゃいけないんだい?」

 「・・それは、鮫のお頭が、強面こわもての幹部連中より、子供が懐きやすいだろうからって、ジャー・・」

 「・・結局、女子供で一緒くたにされてるんだよ・・・まったく逆鱗にくることばかりだよ・・」


 「おばさん、お腹減ったんだけど、早くしてくれないかな?それとももう耳が遠くなってるの?」


 「・・ふふふふ、一度ならず二度までも、おばさん呼ばわりとは・・・アタシも舐められたものだねえ・・・ねえ、捕虜の尋問中に不幸な事故が起きるってのは、良くあることだよね、お前達・・・」

 「やべえ、姐さんが暴走寸前だぜ、押さえ込め、ジャジャー」


 「お放し、あの礼儀知らずなガキに世の中の道理ってやつを教え込んでやるだけさ、すぐに済むから、お放しってば」

 「すぐに済んじまったら、まずいんですよ。お坊ちゃんも隣の部屋に逃げてくだせえ!」


 「なんだよ?いい年した大人がヒステリー?やだやだ」


 「キシャーーーー」

 「火に油注いでどうするんですか!うわっ!抑えきれねえ、どんだけ怒ってるんだよ、ジャー」


 「キシャーー、キシャーー」






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