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ダンジョンマスターは眠れない  作者: えるだー
第8章 暗黒邪神教団編
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仁義なき焼肉

またもや投稿が日を跨いでしまいました。申し訳ございませんでした。

 取れたてのヘラジカ15頭は、キャッチャーの中で失神しているのにも止めを刺してから、一斉に解体した。

 鹿肉自体はDPから変換したほうが効率が良いし、少し熟成させた方が美味しい。なので主に新鮮な方が美味しいホルモンや、細工に使う角を切り落として、残りをコアがその場で吸収してしまう。

 ヘラジカ15頭を撃退・吸収で、1350DPの収入になった。

 「うまー」


 鹿角は作業場(4階層の左部屋)に運び込んで、ホルモンはすぐに処理をして、焼肉パーティーが始まった。会場は、ホルモンを焼く煙がすごいので、屋上に特設テラスを設置した(主に穴熊チームが)。

 「変換だと焼く手間はいらないけど、焼き加減が一律になるから、そこがね」

 木の枝から削りだした、菜箸を使いながら、金盥を裏返した鉄板で、ホルモンを焼いていく。


 「この盥、中心に向かって窪んでいるっすけど、なにか意味あるっすか?」

 ワタリが器用に菜箸を操りながら尋ねてきた。

 「本当は金網で焼いて余分な脂を落としたいんだけど、仕方なく金盥鉄板で代用してるから、すこしでも脂が流れ落ちるようにね」

 ジンギスカン風に角度をつけてみた。


 「ギャギャ(それなら中央を高くした方が効率が良いのでは?)」

 アズサは、肉だけでなくじゃが芋やサヤエンドウを焼きながら、他のメンバーの取り皿に投げ込んでいた。

 「貯まった脂で、じゃが芋の細切りを揚げて塩を振ると美味しいんだよ」

 「ギャギャ(なるほど・・はい、ワタリさん)」

 「あ、いらないっすよ」

 「ギャギャ(ダメです、肉ばっかりだと病気になるそうですよ)」

 「ギャギャ(アズサはお母さんみたいだなー)」

 「ギャギャ(皿に入れられたら文句をいわずに喰うのがルールだ)」

 肉を食いたいメンバーが、皿を隠そうとするが、アズサの絶妙なショットが、ことごとく決まる。


 徐々に緊迫していく影の軍団。やがてスキルまで使った焼肉バトルに発展した。

 「ギャギャ(スナイプ!)」

 「なんの、スィッチっす!」

 「ギャギャ(ぎゃー、俺の皿にサヤエンドウの山が!)」

 「ギャ(・・ハイド・イン・コールド・・)」


 僕はそっと席を立って、隣の鉄板に移動した。 

 

 

 隣ではノーミン、ヘラ、グドンがホルモンを焼いていた。

 「はい、これが焼けたでしゅ」

 「悪いだな、オイラの分は自分で焼くからヘラも食べるだよ・・」

 「大丈夫でしゅ、ちゃんと食べてましゅから」

 「そ、そうだか・・」


 「はい、グドンもこれが焼けたでしゅよ」

 「オレ、もっと、焼いたのが・・」

 「お肉はこれぐらいの焼き加減がおいしぃのでしゅ!」

 「・・わかった、オレ、喰う・・」


 「あ、勝手にやしゃいを並べたらダメでしゅ!」

 「だども、オイラはサヤエンドウが・・」

 「まずはお肉を一通り食べ比べてから、はしぃやしゅめにおやしゃいでしゅ!!」

 「「・・・うす・・・」」


 ・・ヘラ、まさかの焼肉奉行・・しかもかなりの暴れん坊・・


 僕はそっと隣の席に移動した・・



 「おら!早い者勝ちだぜ、ちんたらしてると全部アタイが食っちまうぜ、ジャー」

 「お嬢、それ今、置いたばっかりですぜ、ジャー」

 「鹿肉なんざ、生でも食えるぜ、ジャー」

 「そりゃあ、俺らは生肉でも食えますが、焼肉パーティーの意味ないですぜ、ジャジャ」

 

 「頭もなんとか言ってください・・・ああ、お頭一人で鮭焼いてますぜ、ジャジャー」

 「この歳になると脂っこいものは胃にもたれるのジャー」

 「おらおら!鮭の切り身もいただきだぜ、ジャジャ」

 ベニジャが突き出した三つ又矛をハクジャの円月槍がくい止めた。


 「うぎぎ、やるな祖父さん、ジャジャー」

 「ぬぬぬ、この鮭は誰にもやらんぞ、ジャジャジャ」

 鮭を挟んで力比べをする二人を尻目に、部下たちはここぞとばかりに肉を焼いて食い始めた・・・


 ここもダメそうだな・・

 僕はそっと席を立って、隣に移動した・・



 そこには、軽く火を通したホルモンを、ふーふー吹いて冷まし、穴熊ファミリーや狼チームに食べさせている、モフモフ親衛隊とロザリオ少尉の姿があった・・・


 「そら、これが良い感じに焼けたぞ」

 「こちらも食べごろに冷めてます」

 「レバーはさっと表面を撫でるだけでいけます」

 「ギュギュ」

 「バウバウ」

 「美味しいか、そうか、(ナデナデ)」

 「はい、あーん、(モフモフ)」


 「「焼肉パーティー最高だな!」」



 僕は見なかったことにして、そっと通り過ぎた・・・



 最後の円卓には、今回一番働いた独立機動部隊の面々が、相棒と一緒に火を囲んでいた。

 「アップル、お疲れ様」

 「ギャギャ(どうも・・・)」

 「五郎〇達も焼肉を食べるんだね」

 「グヒィ・・」

 「えっと・・・」

 「・・・モグモグ」

 「・・グヒィ」

 ここは『黙って肉を焼いて食え』の集団だった・・・


 なので僕も大人しく、沈黙の焼肉隊に混ざって肉を焼いて食べる・・


 「・・・モグモグ」

 「バクバク・・」

 「・・・はむはむ」

 いつの間にかコアが側で焼肉を頬張っていた。


 ちゃんと焼肉用の簡易エプロンまでつけての完全装備だ。しかしあの身体だと、肉を焼くほど近づいたら熱いんじゃないかな?

 見ていると、焼けた小さなホルモンに魔法陣が浮き上がった。


 「転移かよ!」

 「てへっ」

 「DP使うのはダメ!」

 「む~」


 しょうがないから、僕が肉を焼いて、小さくちぎってコアに渡してあげた。

 「えへへへ」


 自分の頭と同じぐらいの焼肉片に、パクついているコアが幸せそうだった・・・



 しかし、そんな穏やかな時間も長くは続かない・・


 「んがっ、んぐっつ!」

 突然コアが喉を詰まらせた。

 「コアどうした?!」

 「けほっ・・」

 「敵襲か?」

 「・・どんぶらこ」


 ・・・大きな桃でも流れてきたの?







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