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ダンジョンマスターは眠れない  作者: えるだー
第8章 暗黒邪神教団編
237/478

空色の天使

 僕の顔の高さまで浮き上がってきたコアをじっと眺める。


 髪はナチュラルなショートボブで、耳は隠れている。髪の色は空色で、瞳と同じだった。

 顔は、図書委員の中で一番だけど、人を寄せ付けない影がある感じ。

 でも今は満面の笑顔である。

 オフホワイトのセーラーシャツ(襟に2本の水色のライン)に、スカイブルーのキュロットスカートを穿いていて、足は素足だった。


 僕が見惚れていると、小首を傾げて聞いてきた。


 「ますたー?」


 そうだった、今はまだ邪神教徒との戦闘中だ。コアを愛でるのは奴を排除してからにしよう・・・


 「コア、領域の再支配を」

 「どみねーと!」


 コアの声とともに、澱んでいたダンジョン内の空気が、爽やかなものに代わっていった。


 「コア、皆とのリンクをつなげ直して!」

 「りこねくと!」


 コアからの再接続の要請に、眷属の皆が一斉に答えてくる。


 「ギャギャギャ(よかった、無事だったんですね)」

 「バウバウ」

 「キュキュ」

 「え?リンク切れてたのかよ・・ジャー」

 「こちら親衛隊、至急応援を・・」

 「おそいぞ!主殿。すぐに転送してくれ!」


 押されている所もあるけど、まだ皆、頑張ってくれていたみたいだ。


 「よし、皆、これから反撃開始だ!」

 

 「「「 魔女の婆さんに懸けて!! 」」」




 「愚かな・・愚かな・愚かな蛆虫どもめが!調子に乗っているようだが、この私と邪神のしもべ達に勝てるとでも思っているのか!」

 存在を無視されていた神官が、激怒していた。


 「もういい・・もういい・もういい!貴様達は一人残らず皆殺しにしてやる!」

 神官は、懐から薬瓶のようなものを取り出すと、ワタリの足元に投げつけた。

 「まずは、貴様からだ!」


 「当たらなければ、どうと言う事もないっす」

 軽くバックステップして避けたワタリの目の前で、薬瓶は床に当たって砕けた。

 すると中の液体が飛び散って、刺激臭を放つ毒の霧に代わった。


 「ギャーース」

 その霧を吸い込んだワタリは、あっという間に顔が紫色になり、呼吸困難を起こして床でのた打ち回り始めた。


 「ワタリ!」

 詠唱を阻害する邪魔者を排除した神官は、次の一手として、すでに高位呪文を唱え始めていた。

 「・・地獄の王にして万の軍勢を率いる我が神よ、今こそ汝の御力をここに示し、我等が信徒に仇なす者共を焼き尽くし給え、インフェルノ・ストライク!(地獄の裁き)」


 その力ある言葉により、フレイム・ストライクを黒い炎にかえた暗黒呪文が、コアルームに炸裂した


 「はははは、やったぞ、ダンジョンマスター諸共、全てを消し炭にかえてやった、はははは」


 コアルームには神官の他に誰も、何も残されていなかった・・・


 全ては、黒い地獄の業火で焼きつくされてしまったのだ・・

 床にぽっかり開いた、2つの縦穴以外には・・


 「はは・・ん?・・穴だと・・」


 慌てて神官が床に開いた穴に近づくと、それは下の階層まで掘り抜かれた巨大なモグラの穴であった。



 「「キュキュキュ」」  「ぐっじょぶ」

 コアの念話で、突貫工事で縦穴を掘り抜いたハリモグラチームが、誇らしげに並んでいた。

 落下の衝撃を受け止める為に、寝床から藁を運んで積んでいた、穴熊チームも、コアの帰還を喜んでいる。 

 そこに救急班のヘラがユニコーンのニコを引き連れて駆けつけてきた。


 「ワタリしゃんは窒しょく毒でしゅ。マスターは、あちこち打撲と骨しぇつでしゅね」

 ヘラが手早く診断してニコにお願いした。


 「ニコ、二人にユニキュアでしゅ」

 「ヒヒン」


 ニコが角をかざして力を解き放つと、ワタリの顔色が元に戻っていった。ついでに僕の身体もだいぶ楽になった。

 「これだけ距離をとれば、奴の結界から抜け出せたはずだ。コア、ロザリオを転送してみて」

 「ん・・・できた♪」

 よし、これで戦況をひっくり返せる。


 ブラック・プディング(黒スライム)とモノアイ・サラマンデール(一つ目山椒魚)は、コアの戦闘支援と戦法の伝授でなんとかできると思う。問題はデスナイトだね。やっかいなものを召喚してくれた・・・


 「アップルチーム・エルフ『モフモフ』親衛隊は、癒しの泉まで後退して。殿しんがりはロザリオ、頼んだよ」

 「承知!」


 「コア、戦場に、順次物資を投下して。タイミングは任せるよ」

 「ん」

 「あと、神官と3つのしもべ以外に、敵性ユニットが侵入していないかをチェックして」

 「あ・・びみょー」

 「え?いるの?」


 コアがダンジョン内の風景を投影してくれた。

 そこにはトラップルームで、狼チームとともに黒スライムと戦う、仮面の戦士が3人いた・・・


 「誰、あれ?」

 「なぞー」

 「キュキュ」  「キュ」

 「ほむほむ」

 親方達は知っているらしい。


 まあ、この様子だと敵対はしなさそうだから、ほっといてもいいかな。

 「ん?」

 「そうだね、ゲスト認証を送ってみようか。受諾してくれればこちらに危害は加えられなくなるからね」

 「ん」



 「リーダー、なんか頭の中にきたよ?」

 「ダンジョンからの認証要請だな・・」

 「まじで?やったねこれでうちらも眷属デビュー?」

 「いやいや、眷属化したらダメだろう。できないし」

 「しょぼーん」

 「ゲストに認定してくれるようだな・・よし、受けよう」

 「しゃきーん、モフモフ助け隊もメジャーデビューだね」

 「だから違うって」x2

 DPの推移

現在値:2711 DP (3013DC)

転送:ロザリオ(R6) -180

残り 2531 DP (3013DC)

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― 新着の感想 ―
[良い点] コアの成長ぶりに感動します。 四音節、話すようになった時もちょっと感動していたんですけど、最近はちゃんとした言葉もよく話すようになって……。 そして、朱に交われば赤くなる、とは言うけれど、…
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