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ダンジョンマスターは眠れない  作者: えるだー
第8章 暗黒邪神教団編
232/478

その時かれらはいかにして

 投稿が遅くなりました。申し訳ございません。

 コアがラプラスの魔法陣に封じられたとき、全ての眷属とのリンクが切れた。


 「ギャギャ(えっ、嘘でしょ!)」

 「ギャギャ(念話が途絶えた)」

 「ギャギャ(戦闘補正も消えたみたいだな)」

 狼チームと共同で、見えない障壁を突破しようと画策していた、スノーゴブリン狙撃班は、お互いの顔を見合わせた。


 「ギャギャギャ(マスター!コアさん!ワタリさん!)」

 「ギャギャ(もしかすると全滅した・・)」

 「ギャギャギャ(そんなわけありません!)」

 「ギャギャ(しかし、実際にダンジョンコアの機能は停止しているようだぞ)」

 「ギャギャ(ワタリさんは、ゴキブリよりしぶといんです!そしてワタリさんが生きてる限り、マスターもコアさんも無事なんです!そうなんです!!)」

 喚きたてるアズサに、アサマもシナノも困惑していた。



 狼チームも動揺が激しかった。

 元来、狼は群を統率するリーダーに高い忠誠心を持つ習性がある。その頂点にいたダンジョンマスターとのリンクが切れたことにより、一時的に命令系統に混乱が生じたのだ。

 個々に対処しようとするシャドウウルフ達に向かって、冬狼のケンが威嚇するような鋭さで吼えた。

 その瞬間、序列を思い出した狼チームが、ケンをリーダーに纏まりを取り戻した。


 「バウバウ」

 「バウ」x3

 狼チームはボロボロになった身体に鞭を打って、再び見えない障壁に挑んでいった。



 ロザリオチームはもっと悲惨な状況に置かれた。

 スケルトン・ファイター達が、行動を停止したのだ。


 「なんだと、コア殿とのリンクが切れただと・・」

 コントロールを失った骸骨戦士達は、思い思いの方向に歩き出してしまう。他のメンバーに遭遇したら、最悪、襲い掛かるかもしれなかった。

 ロザリオが襲われないのは、生体反応が薄いのと、見た目がスケルトンだからであった。


 「どうする・・はぐれになった骸骨戦士を処分するべきか否か・・」

 しかし、先ほどまで部下として、隊列を組んで従っていてくれた者たちを、手にかけることは出来なかった・・・

 ロザリオは、彼らを放置して、一人で水牢目指して進むことに決めた。


 「私が行くまで、持ちこたえてくれ・・・頼む・・・」



 三日月湖の地下の地底湖では、応援に向かおうとしていたハクジャ率いるフロストリザードマンの部隊が、突然のリンクの消失にざわめいていた。

 「静まれ!コア様とのリンクは切れたが、まだマスター様がお亡くなりになったわけではない!ジャー」

 「しかし頭、このままじゃあ、ジャジャ」

 「確かに非常事態だ。ゆえに戦士は全て武器を取れ、マスター様を危難からお救いするのだ!ジャジャー」

 「「へいっ!ジャー」」


 次々に地下水路に飛び込む手下達を見届けるハクジャの元に、女と子供が、予備の武器を持って走ってきた。

 「ボクらも戦います、シャー」

 「連れて行ってください、シャー」

 「「お頭!シャー」」


 しかしハクジャは首を縦には振らなかった。

 「槍働きは我らにまかせておきなさい、ジャー」

 「でも、シャシャ」

 「お前達には、やってもらわなければならない大切な役目があるのだ、ジャー」

 「それは何ですか?シャー」

 「コア様がお力を振るえない以上、我らの住処にも変化が現れるはずだ。端的に言えば室温が上下する可能性が高い・・・」


 「・・あっ!お酒、シャシャ」

 「そうだ、普段はコア様が見守っていてくださったが、今はお前達に託すしかない。我等がマスター様からお預かりした大切なものだ、護ってくれるよな、ジャジャ」

 諭すようなハクジャの言葉に、子供達がしっかりと頷き返した。


 「よしよし、聞き分けの良い子らじゃ。それに比べて家のじゃじゃ馬孫娘は・・・」 

 リザードマンの良い子達は、後半は聞かなかったことにした。



 「えっくしょん!ばっきゃろうめー、ジャー」

 噂のベニジャは、水牢でホワイトドラコのクロコに騎乗しながら、いつまでもこない敵を待ち続けていた。

 すでにダンジョンコアとのリンクは切れていた。しかし本人はそのことにまったく気がついていなかった・・・


 「ううーー、夏だから寒くはねえけど、暇だぜーー、ジャジャ」

 「「ケロケロ」」

 「「シャー」」

 「「ピュイ」」

 そして他の水棲眷属達は、コアとのリンクは切れても、ベニジャを引率者として認識していたので混乱は起きなかった。

 「早くなんか落ちてこねえかなあー、ジャジャ」



 「キュキュ?」

 「ギュギュ?」

 巣穴で待機していたハリモグラチームと、穴熊チームは、流石に異常に気がついた。

 しかしコアとのリンクが切れている以上、ダンジョン内の状況は不明で、何をするべきかもわからなかった。

 彼らは慌てず騒がず、こんな場合にすべきことをした。

 「キュキュ」

 「ギュギュ」

 つまり・・・巣穴で待機である・・




 その頃コアルームでは、神官が、生け贄に止めを刺そうとしていた。

 「・・我が神にこの贄を捧げる。かの者の魂を代償に、我が望みを叶えたまえ!」

 神官が、指を振り下ろそうとしたとき、それが見えない障壁に突き刺さった。


 「馬鹿な!黒い剣だと! すでに操れる者は私一人きりのはずだぞ!」

 しかし実際に、信徒の黒い剣と同じものが、障壁にひびを入れながらコアルームに飛び込もうとしていた。

 「ええい、迎撃せよ!」

 神官が残った4本のうちの1本を、障壁を突き破ろうとする剣にぶつけようとした。


 ところが、それは突如出現した黒い銛に阻まれてしまう。


 「今度は剣でさえなくて銛ですか・・なるほど、13人目以降に死んだ信徒が、己の魂を変質させているのですね・・しかも私の邪魔をしようとしている・・・」

 「はははは・・いいでしょう、受けて立ちましょう。このダンジョンを魔界に変えて、私がその支配者であることを思い知らせてやります・・・出でよ暗黒神に仕えし、3つのしもべよ! 汝らの主の降臨を寿ことほぐ為に、この地を蹂躙せよ!」


 神官が両手を上空にかざすと、最後の3本の黒い剣が溶け落ちて、禍々しい雨となって丘の上に降り注いだ。それは地面に吸い込まれるように消えてなくなり、そして、ダンジョンのあちこちで再び集まって、おぞましい姿を取り戻した・・・・

 

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