表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ダンジョンマスターは眠れない  作者: えるだー
第8章 暗黒邪神教団編
217/478

女神様の言うとおり

 「ぼばーーん」

 ん?外の邪神教徒が自爆した?

 「こそこそ」

 それで残りの一人が隠れながらこっちに来てると・・

 

 外で待ち伏せしていた冒険者が一人仕留めたみたいだね。生死不問とはいえ、爆散されると討伐証明箇所も残らないだろうに、どうするのかな?

 「主殿、雇用主が聖堂騎士団なら、神聖呪文で真偽が区別できるので、報告だけでも討伐が確認できると思うぞ」

 まさに神にお伺いをたてるわけね。それってありなんだ・・

 「まあ、邪神討伐で出張ってくるなら、裁きの女神辺りだろうからな」


 「ギャギャ(ついでに蜜の溜まった蜂の巣を盗み食いした犯人も捜してもらえないですか?)」

 それって女神に神託してもらうまでもないような・・

 「はにーふらっ!」

 コアの掛け声とともに蜜蜂の群体が、蜜の匂いを頼りに泥棒に群がっていった。


 「ぎゃあああ、オイラじゃないっすよ、濡れ衣っすよ」

 蜜蜂に全身をくまなくたかられながら、踊るように逃げまくるワタリであったが、マントの裏から、食べかけの蜂の巣が転がり落ちてきたので言い逃れはできなかった。


 「ぎるてぃ」

 「どうやら周到な準備もせずに、刹那的に犯行に走ったようだね。懲罰房に連行して」

 両脇を抱えられてワタリは牢屋に連れて行かれた。


 「素人の犯行に気を取られたけど、重犯罪者の方はどうなったかな?」

 蜜蜂偵察班の報告では、まだ少し離れているみたいだ。きっと冒険者達の目を気にして遠回りしているのだろう。

 なら、この時間を利用して少し罠を仕掛けておこう。


 「コア、ヘラジカ湖方面の出口に、丈夫な木の両扉を設置して」

 「しゃきーん」

 「そのすぐ内側に、発見し辛い広い落とし穴を設置」

 「かこーん」

 「その落とし穴の底に、深くて痛い落とし穴を設置」

 「がこーん」

 「そのまた底に、触れると毒針の罠を設置して」

 「つぷっ」


 たぶんこっちには来ないだろうけど、念の為にね。

 「ギャギャ(3箇所に分けて仕掛けるんじゃ駄目なんですか?)」

 発見難易度を上げる為のDPは高いからね。最初の落とし穴にだけ掛けておけば、残りは勝手にくらってくれるはずだよ。

 「ギャギャ(なるほどー)」


 「じゃあ、納得ついでにアズサ達には、寝床から藁くずを拾ってきて、地下墓地の通路に目立たないように並べてもらおうかな」

 「ギャギャギャ(了解です・・でもこれ意味あるんですか?)」

 「もちろん、あるよ」

 アズサ達は首を捻りながらも、指示に従ってくれた。


 さて、侵入者が引っ掛かってくれるかどうか・・・



 

 「これが、豚男爵の墳墓かよ・・思ったよりしょぼいな」

 狩人は、もっと大きくて、丘の周囲には石の土塁でも積んであるかと期待していたが、その期待は裏切られた。

 「これじゃあ、ただの土饅頭だよな」

 ぶつぶつ言いながら入り口を捜す。冒険者の奴らは待ち伏せの場所から南側を警戒していて、こちらは偶に様子を覗うくらいしかしない。

 慎重に隠密を使って移動すれば、中に入り込めるだろう。


 「問題はどこから潜り込むかだな・・」

 位置的に地下墓地に続いていそうなのは、中腹にある開口部だ。しかし向こうの丘からも見通しが良いので、発見される可能性が少しだけある。

 次に丘の裏側にある洞窟だ。一番目立たないが、なぜか木の扉がついている。老人の言ってたオークの子孫でも住み着いているんだろうか・・

 最後にライ麦畑の奥に隠された洞窟だ。

 立派に実ったライ麦は、踏み込んでしまえば遠距離からはぜったいに目視できない。最も安全に洞窟にたどりつけそうだった・・・


 「だが、何か嫌な予感がするんだよな・・」

 どの入り口も行って見ないと地下墓地に通じているかは分からない。なのになぜか、あの畑は避けろと本能が囁いている・・・

 「こういうときは、直感に従うのが長生きのコツだよな」

 狩人は、一番リスクが高いはずの、丘の中腹のルートを選択した。




 「あらら、正面から来たよ。事前情報でも共有してるのかな?」

 まあ、変に脇道から来られても困るけどね。特にキャッチャーに入り込んでパニックになって自爆されると、被害が大きいよね、きっと。


 「主殿、侵入者の得物は何か分かるか?それによってこちらの編成も少しいじりたいのだが」

 「ちょっとまって・・・これは・・クロスボウだ!」

 「なんだと!主殿、本当か?」

 「ああ、間違いない。水平に構えているし、弓弦は引き絞って固定されてる」

 「ここにきてクロスボウだと・・・」


 「ギャギャ(何かまずいのでしょうか?・・)」

 アズサが心配そうに尋ねてきた。僕とロザリオの声が重なる・・・


 「「かっぱぐしかない!」」


 「主殿、慎重に追い込まないと、装備ごと吹っ飛んでしまうぞ」

 「わかってる、チマチマ体力を削って、水牢に落とそう」

 「腕を先に切り落とすのも手だな」

 「なるほど、片手が使えなくなれば再装填できないから放棄するかもね」

 「最悪、ボルトは自作でも良いぞ」

 「いやいや、命中精度に直結するから1本は見本で欲しいよ」

 「よし、囮の盾兵で何発か受けよう」

 「孔明の藁船作戦か、いけるかも」


 嬉々として悪巧みを始めた二人を、周囲は生暖かい目で見守っていた。

 「ギャギャ(マスターとロザリオさんが黒いです)」

 「ギャギャギャ(ボケ役のワタリがいないから、エスカレートするばかりだな)」

 「止めたほうが良いんじゃないか?ジャジャ」

 「ギャギャ(ベニジャさん、お願いします)」

 「ええ?アタイは無理だよ。ノーミン頼んだ、ジャー」


 「仕方ないだな・・・お二人とも、せっかくの獲物がほったらかしですだ」


 「「なんだと」」


 気がつくと、侵入者はすでに玄関ホールを過ぎようとしていた。


 「「くっ、しまった」」

 「くっころー」


 いや、殺しちゃ駄目なんだからね。

DPの推移

現在値:2123 DP (3013DC)

設置:丈夫な木の両扉 -7

設置罠:発見しづらい広い落とし穴 -115

設置罠:深くて痛い落とし穴 -25

設置罠:触れると毒針 -75

残り 1901 DP (3013DC)

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ