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ダンジョンマスターは眠れない  作者: えるだー
第8章 暗黒邪神教団編
214/478

両手が使えないなら足を使えばいいのよ

 「これが聖地『豚男爵の墳墓』か・・」

 逃亡奴隷のような姿をした筋骨隆々の大男が、オークの丘を見上げながら呟いた。


 「・・どうする、2人を待つか、先に入るか・・」

 むしろを身体に巻きつけて素足で佇む小柄な女が、大男に向かって尋ねた。


 「そうだな・・先に入るとするか。狩人と御者なら勝手に追いついてくるだろう」

 「わかった、異存はない・・」

 二人は、周囲を警戒してから丘の中腹にある墳墓への階段を降りていった。


 「何かが出入りした跡があるな・・」

 「大きな何かが這った跡が残っている。天井まで擦った跡がある・・」

 この下り階段は幅も高さも3mはある。それを丸々埋め尽くす相手とは・・・地下墓地を徘徊する巨大芋虫を想像して、二人はさらに慎重に進んでいった。


 「巨大な何かは左に曲がった・・」

 筵女が痕跡を指差して伝える。どうやら枝道の先に何かが居るらしい。

 「無視しろ、まずはこの墳墓の墓守に話をつける」

 「・・異存はない」

 そのまま階段を降りると、地下墓地の玄関口らしき場所にでた。


 「正面扉は古びてはいるが、使用した形跡がある。どうやら豚男爵の子孫とやらが生き残っているようだな」

 「・・オークは好かない・・」

 「当然だな、オークが好きな女は居ない。だが初手から殺戮は老人に禁止されたはずだが」

 「・・言わなきゃバレない・・」

 「ふむ・・それもそうか」

 逃亡奴隷は、あっさりと納得すると扉を押し広げた。


 扉の先は十字路になっており、正面の新たな扉の前には2体の骸骨兵士が盾を構えて警備についていた。

 「どうせ最後は殺し合いになるのだから、どちらが先に手を出したかなどは些細な事だったな」

 逃亡奴隷は、そう言い残すと、骸骨兵士に駆け寄って、渾身の右ストレートを放った・・・



 少し時が巻き戻る・・


 「はにはに」

 「蜜蜂警戒網に何か掛かった?」

 思ったより速く、何者かが接近してきたようだ。このタイミングで聖堂騎士団はないだろうから、危ない連中かな?


 「ブンブン」  「ほむほむ」

 「ブブンブン」 「ほー」

 次々に偵察から帰還する蜜蜂の群体が、8の字ダンスを踊りながら情報を伝達してくる。その結果をコアが周辺地図とともに投影してきた。


 「小型と大型が先行して接近中、中型2体は冒険者達のキャンプ地に向かっているんだ・・」

 「主殿、この行動は騎士団ではなさそうだぞ」

 地獄の特訓を経て、凛々しさの増したロザリオが発言した。


 「だろうね、冒険者にしても妙だから、邪神教団のお出ましかな」

 「迎撃するっすか?」

 ワタリはできるだけダンジョンの外で処理したいようだ。不気味な連中だから懐に呼び込みたくないのだろう。


 「いや、打って出ると中型2体が逃げ出す可能性があるから、先行の2体は引き込むよ」

 「ういっす、配置につくっす」

 「よろしく。ロザリオも中央ホールで待機して。何してくるかわからないから最初の遭遇はスケルトンファイター2体で様子を見よう」

 「了解した。十字路の落とし穴は踏むと発動するタイプに交換してあったと思ったが?」

 「うん、奮発して罠発見難易度を高くしたタイプに換装してあるよ。戦闘に気を取られていたらまず察知できないと思う」


 罠の設置にも、オプションが存在した。

 罠設置:オプション

  発見難易度 難しい+100DP すごく難しい+500DP

  解除難易度 難しい+150DP すごく難しい+750DP

  ダメージ増加 +5ダメージ+50DP +10ダメージ+150DP

  回避率低下 30%+200DP 50%+400DP

 

 発見難易度を難しくするだけで100DPも掛かるのでコストパフォーマンスは悪い。なにせ100DPあれば、深くて痛い落とし穴が4つも造れるのだから。

 それでもこの先、ランクの高い侵入者を撃退するには、察知されない罠が重要になってくるはずだ。できればダメージも増やしておきたいけど、十字路の落とし穴は水牢へ直結しているから今のとこ意味はない。


 「槍衾も移設してあるから注意してね」

 「確かに邪魔になるほうが多かったな、あれは」


 そうこうする内に、例の二人組が侵入してきた。

 「かみんぐ」

 「物怖じしないね、この二人・・」

 過度な警戒をするわけでもなく、かといって友好的な訪問という雰囲気でもない。人様の家にずかずか入り込んで、タンスを荒らす某勇者のような態度をしていた。


 「見た目に惑わされないほうがいいっすよ。あの奴隷みたいな大男はできるっす・・」

 「いや、惑わされるとしたら物乞いルックな方だけど、ワタリ的には奴隷っぽい方が気になるんだ」

 「奴隷の中には拘束されて自由のきかない両腕を使わない、足技を極めた流派が存在するっす・・」

 「ああ、黒人奴隷が手枷されたまま戦った・・」

 「そう、カポエラっすよ」

 「でも、あの奴隷は足に鎖が残ってるよね。逆なんじゃあ・・」

 「・・・」


 「・・奴隷の中には拘束された両足を使わない、ゼロ距離からパンチを放つ流派が・・・」

 その奴隷がスケルトンファイターに殴りかかる直前で、落とし穴に掛かって水牢に落下していった・・

 「「・・・」」


 「・・雑魚っすね・・」

 「おい」


 邪神教団との戦いは、このようにして始まった・・・


 「ぐだぐだー」

 

 

 DPの推移

現在値:1743 DP (3013DC)

再配置:触れたら落とし穴(水牢) -25DP

再配置:触れたら槍衾x2 -35DP

設置罠:踏んだら落とし穴(水牢・発見難易度中) -125DP

残り: 1558 DP (3013DC)

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