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ダンジョンマスターは眠れない  作者: えるだー
第1章 サバイバル編
21/478

たったひとつの

自分の食事を終えたら、正面通路の門番をしてもらっていた五郎〇にもじゃがいもをあげよう。けっして猪肉を食べるので、コアルームから隔離したのがやましいからじゃないんだよ。本当だよ。

 五郎〇は、嬉しそうにじゃがいもをガフガフ噛み砕きながら、ちゃんと芽の部分を残して食べている。やっぱり野生の動物は、本能で食べちゃいけない箇所がわかるんだね。

 あれ?召喚した獣って野生の本能があるのか。そういえば倒しても死体がそのまま残るし、魔石とかも持ってないね。

 この世界だとダンジョン機能の召喚って、本当にどこからかモンスターを召喚してくるタイプなのかな?あんまり同じ種類だけ呼ぶと、個体数が激減して絶滅したりするんだろうか。

 まあ、今は気にしてもしかたないや。絶滅するほど呼べるDPもないしね。


 さて、そろそろ工事も終わった頃かな。

 見に行くとほぼ完成していた。さすがにうちの土木建築部門は優秀だね。

 小部屋に設置した木の扉は、直径90cmの丸い通路を塞ぐ形だったからか、通路と同じサイズの丸い形をしてた。どこぞの小人族の庄にあった家の扉に似ている。

 「みんな、ご苦労様。さすがのクオリティだよ」 「ん」「キュ」「ギュギュ」


 今回の改築でこだわったのは、全体のサイズだ。1.5mの高さの通路は、ゴブリンサイズの亜人なら問題なく入れるけど、人間やオークだとちょっと低い。 つまりゴブリンから見ると、自分達より強い種族がねぐらにしている可能性が低いと思うはず。

 もちろん中が広がっていて、奥にはオーガーが住んでいました、っていうバッドエンドも無くはない。それでもちょっと様子を伺おうと思うぐらいには、このサイズの洞窟はゴブリンにとっては魅力的なはず。


 こっそり中をのぞくと、洞窟は低いままで奥まで通じているから、これなら住み着いていても獣ぐらいだと安心することだろう。同族が先住していたら、あきらめるか、争うか、相手の数で判断すればいい。

 どちらにしろ警戒しながらも中を調べに入ってくるはず。

 中は何かが住み着いていた形跡はあるものの、いまは空っぽだ。

 奥は小部屋になっていて、1家族が住むには十分な広さがある。よしここは俺らのものだ、先住してた奴らが戻ってきたら追い返すか、狩りの獲物だ、と考えるだろうね。

 そして小部屋の壁に奇妙な扉があるのに気がつく。なんだこれは、ははあん、さてはここにいたのは、ちっこいな奴らだな。俺らがやってきたから、あわててここから逃げ出したのか。よし、追いかけて晩飯か奴隷にしてやろう・・・


 「という作戦です」 「ん」


 コアから疑問符がでなかったので、この作戦は成功する見込みが有りそうだ。 問題はホイホイ洞窟が見えるエリアをどれくらいの頻度でゴブリンタイプが徘徊するかなんだよね。ゴブリンに良く効く餌ってのも手持ちには無いから仕方ないけど。

 へたに五郎〇とかの泥浴びの痕跡でも残しとくと、逆にびびって近づかないかもしれないし。野兎とかがいいんだけどな、囮には。

 まあ、気長に待つことにするよ。このところ連戦で休む暇もないし、1日・2日なら食料も余裕だしね。

 というわけで、おやすみなさい。

   zzzz


 「あ!」    zzz

 「あ!!」   zzz

 「む~」   ぴかっ   「うわっ、なんだ、まぶしい!」  「あ!」

 え?なに?なんか来たの? まだ寝てから2時間ぐらしかたってないよね。体内時計が狂ってるかもしれないけど、まだめちゃくちゃ眠いもん。この感覚は、徹夜した次の日が休みじゃなくて2時間だけでも寝ようと布団にもぐったら目覚ましで起こされたときの「うあ~~、休みにしたい~~」と同じだよ。


 ぐだぐだしてるうちに、みんながコアルームに集まってきた。コアが呼び集めたらしい、よくできた相棒だね。

 僕の安眠を邪魔してくれたのは、6体の亜人らしい。ここらへん多いのかな、2時間でホイホイにかかるとは流石に想定外なんですけど。

 あと6体ってのが少し多いかな。半分ぐらい罠に掛かったら残りが逃げ帰りそうだよね。少し工夫しよう。

 「よし、やんまー・こまつ組は4体で縦貫トンネルの側道で待機して、合図があったら奇襲で」

 「ギュ」「ギュギュ」

 「五郎〇はコアルームの護りだ。罠を抜けてくる敵がいたら排除して」 「グヒィ」

 「残ったみんなは安全な巣穴で待機して。今度の相手は武器を持ってる可能性が高いから、無理に戦おうとしないでね」 「キュキュ」「ギューギュー」

 それぞれが指示のあった配置について、侵入者の動きを見守る。


 来た。  小部屋の扉が開いた音がトンネルに響く。

 グギャグギャと会話らしき謎言語が聞こえて、何体かがトンネルに侵入してきた。

 まずいな、半々に分かれたみたいだ。さすがに6体全部がぞろぞろ進んでくるとは思ってなかったけど、

3体も小部屋に残るなんて。どうする、小部屋に何か召喚して逃走を阻止するか。でも相手は3体だし・・


 迷っている間に斥侯がコアルームの近くまで来ていた。

 カチッ  「ギャ?ーー」 ドサッグサグサッ   まず一つ。

 「コア、墜ちた敵が死亡してたらすぐ吸収して」 「ん」

 奴らは目の前に急に出来た落とし穴に混乱している。いまがチャンスだ。

 「コア、灰色狼を縦貫トンネルに召喚、斥侯の2体をこちらに追い立てるように指示して」 「ん?」

 え?なんか指示ミスあった?狼は1体しかDPの都合で呼べないと思うけど。あ、まさか吸収したのランク2あったとか?

 「コア、灰色狼1体を縦貫トンネルに召喚、斥侯の2体をこちらに追い立てるように指示。さらにもう1体召喚できるならホイホイの出口に配置して小部屋の敵の脱出を阻害して」  「ん!」

 ほんとにランク2だよ、ゴブリンじゃないのか。だとすると1頭で3体の足止めは難しいな。相手が躊躇してる隙に一気に押し込まないと。


 「コア、やんまー・こまつ組も参戦させて」 「ん」

 トンネルの中で、落とし穴と突然現れた狼に挟まれて進退窮まった2体の斥侯ゴブリン(仮)をさらなる不幸が襲い掛かる。

 壁を崩して穴熊4体が奇襲してきたのだ。元来た道を引き返そうとした1体は狼に噛み付かれ、穴熊に足を削られて倒れた。

 とっさの判断で落とし穴を飛び越えた1体は、コアルームへと逃げ込んできた。

 カチッ ヒョイ 

 「うわ、避けたよ落とし穴」 「・・」

 運がいいのか、身軽なのか、その類の技能をもっているのか、斥侯のゴブリン(仮)は2つめの落とし穴も回避した。  でもね。

 「グヒィ」  待ち構えていた五郎〇に気がついて視線をさ迷わせる斥侯ゴブリン(仮)。

 そして・・・   土下座した。


 「え?ゴブリンも土下座するの?」  「ん~~」

 一瞬呆気にとられたけど、今は戦闘中だ。急いでトンネルから小部屋に応援部隊を送り込む。

 「コア、灰色狼のケンを小部屋を牽制しているチョビの増援に行かせて。やんまー達は側道で待機。あと邪魔な斥侯ゴブリンの死体を吸収して」  「ん」

 「コア、追加で小部屋に群体を1つ召喚、攪乱させて」 「ん」

 「五郎〇もここは大丈夫だから応援にいって。開いた落とし穴には注意してね」 「ん」「グヒィ」


 小部屋のゴブリン(仮)達は、外から戻ってきた(ように見えた)灰色狼に戸惑っていた。1体だけなら恐れる必要などないが、狼が単独でいることなどまずない。狩りにでていた群が戻ってくるとしたら、危険だ。奥にいった仲間には悪いが、ここは見捨てて逃げ出すべきか。

 しかしこの部屋ならまだしも通路に陣取っている狼を攻撃するには、少し狭い。槍を振り回したら壁にぶつかるに違いない。しかも2人は並べない。

 誰が前に立つのか、お互いに牽制しあっていたら、今度は部屋の隅に銀色に光る丸い模様が浮き出てきた。魔法か?そう思った瞬間、その丸の中からいなごの群が飛び出してきた。なんだこれは?


 ケンの増援が間に合ったようだね。チョビが無理をしないで通路を封鎖だけしていたのがよかった。

 群体の召喚で混乱した1体がケンと入れ替わりでトンネルに逃げ込んできた。でもそれは悪手でしょう。

 狭いトンネルの中で五郎〇の突進をまともにくらって吹っ飛んだよ。 あと2つ。

 チョビも小部屋に踊りこんで、ゴブリン(仮)2体vsケモノさんチーム3頭の戦いになった。コアの指示で群体が片方を目くらまししている間に、もう1体を集中攻撃するという、見事な各個撃破で勝負がついたようだ。

 こちらはチョビとケンが槍で手傷を負わされたけど、重傷まではいかなかった。相手は5体が死亡、1体が捕虜・・・こいつどうしようか・・・

 


 

 

召喚リストその6

スノー・ゴブリン:雪原ゴブリン

種族:亜人

召喚ランク2 召喚コスト 40DP

HP12 MP4 攻撃力2(+武器修正) 防御力1(+防具修正)

技能:槍、耐寒

備考:特になし


DPの推移

現在値 67 DP

吸収:雪原ゴブリン1体 +20

召喚:灰色狼2頭   -80

召喚:群体1     -5

侵入者の撃退:雪原ゴブリン6体 +120

残り 122 DP

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