ライ麦畑で
服も乾いたので、室温を元に戻してもらってコアルームへ戻ることにした。
「それにしても着替えが欲しいな。あと布団と枕」 「ん?」
コアが何か設置する?と聞いてくるけど、こればっかりは設置物でどうにかはできないだろうし。そうだ、敵を眠りに誘う安眠布団の罠とかないかなー。
「コア、ぐっすり眠れる罠とかある?」 「ん~ん」
コアがちょと悩んでから情報を送ってきた。
設置物:睡眠系の罠
睡眠ガス(3mx3mx3m) 50DP 成功率 低
睡眠の壁模様 (9mx9mx3m) 200DP 成功率 中
お花畑(睡眠)(9mx9m) 300DP 成功率 高
これって状態異常で強制的に睡眠させるやつだよね。お花畑はちょっと惹かれるけど、緊急時にすぐに起きられないのはマズいよね。
「ありがとうコア、今必要なものじゃないから設置は見送りで」 「ん」
食料はなんとかなったから、ああ、でも肉ばっかりで野菜がないか。
「コア、野菜か穀物が手に入りそうな設置物ってある?」 「ん~~~ ん」
こんどはずいぶん悩んだね。
設置物:農地に見せかけた罠
スケア・クロウ 監視範囲(9mx9m)に入ると発動 150DP 対鳥獣に+10%攻撃力
キラートマト 監視範囲(9mx9m)に入ると発動 200DP
キャッチャー・イン・ザ・ライ 範囲内(9mx9mx2m)でランダム発動 500DP
なるほど、これは色物だね。DP高いから効果はありそうだけど、肝心の収穫物が最後のライ麦ぐらいしか期待できないよ。さすがにキラートマトは食べられないよね?
「DP足りないから、これも先送りで」 「ん」
やっぱり先立つものはDPだね。設置物も基本1000DPあれば、そこそこ選べて最低限のダンジョンを構築できそうだけど、僕の現状だと500DPの物とか夢のまた夢って感じだし。目標を1000に設定して、少しDP稼ぎでも考えようかな。
たぶんDPを1000以上貯めると、次の機能が開放されると思うんだ。普通なら「拡張」も「設置」も
「変換」も最初から開放されてるよね。じゃあ、ハードモードで開始の僕が他の人と違うところはどこ?って考えてみると・・・
まずコアルームが無かった。なので定型の大きさの部屋を掘って、コアを据えてみたら機能が一つ開いたわけ。
次にDPが100でスタートだった。普通は1000らしいから、これも機能開放の鍵になると思う。
もう一つなにかあるはずなんだけど、可能性としては召喚リストが空っぽだったっていうのが怪しい。
普通ならスライムとかゴブリンとか雑魚扱いされるモンスターが呼べるはずなのに何もなかったから。
召喚リストがある程度埋まればいけるかなと思ったんだけど違ったね。もう5種類も増えてるし、ランク2もいるし、何が足りないんだろう。昆虫と獣4種類だから種族が足りないのかな?
そういえばチュートリアルダンジョンには4種類いたね。アンデッド、獣、スライム、亜人か。これかな?でもアンデッドやスライムってこんな森の中に生息してるのかな。ダンジョンにはいるだろうけど、そのダンジョンはここです。ダメじゃん。
でも召喚リストに4種族ってのは狙ってみてもいいかもね。よし目標ができた。
「コア、ゴブリンホイホイをつくるよ!」 「ん! ん??」
まずは縦貫トンネルの外への出口付近を掘り広げて、横幅1.5m、高さ2m、奥行き9mぐらいの洞窟をつくります。
「ここは、やんまー組に頼むね」 「ん」「ギュ」
洞窟の奥に6mx6mx2mぐらいの小部屋を掘って、元の縦貫トンネルとの境に木の扉を設置します。
「ここは、こまつ組よろしく」 「ん」「ギュギュ」
洞窟や小部屋の壁に、いくつか掘ってる途中の窪みをつけて、それらしさを演出します。
「ここは、親方達にまかせるよ」 「ん」「キュ」
6時間ぐらいでできるかな。そうそうお弁当も置いとかないとね。
「コア、群体を1つ召喚。工事の邪魔にならないとこに並べておいて」 「ん」
あとは匠達にお任せして、僕も食事にしようかな。
ふふふ。残った猪のモモ肉をステーキにするんだけど、今日の料理は一味違うんだぜ。
まず拡張工事で大量にでる土を適当にもらってきて、簡単な竈を作ります。焚き火の熱効率を上げるのと、軍曹を水平に置く為だけに必要なものだから本当に簡素で大丈夫。で、この竈の中に壊れた木の柵の破片で焚き火を燃やします。
次に竈の上に軍曹を乗せ、熱します。あ、もちろん軍曹は湧き水できれいに洗ってありますよ。本当は海水で洗うと殺菌作用もあって安心なんだけど、錆びるからね。熱消毒で我慢します。
軍曹の水分が熱で蒸発しはじめたら、水袋に汲んできた海水をすこしずつ窪みに注いで、沸騰するまで待ちます。海水の水分が蒸発すると軍曹の表面には白い粉が残るはず。何度か海水を足して、お好みの量を製塩しよう。僕は最近塩分を摂ってないので、塩多目で。
取り皿でもあれば出来た塩をよけておいて、ステーキの上からパラリといきたいんだけど、贅沢は敵なので、このまま肉を焼きます。
ジュワという音とともに肉の脂が溶け出して、それが表面についた塩の結晶を溶かして、肉に染み込んでいくのが目に見えるよ。両面に焼き色をつけて、肉汁を閉じ込めるのを忘れずに。
ここはレアの焼き加減でぜひいただきたい。半日ほど熟成させた野性味あふれる猪のモモ肉は、ミネラルを豊富に含んだ旨みのある塩によって、その真価をいかんなく発揮するはずだよ。
「猪のステーキ猟師風旨塩味、完成!」 「ん!」
がぶりっ あつっ ふっほっはっ ゴクリッ
「う・ま・い・ぞーーー」 「ほ~」
なんだこれ、めちゃ美味いんですけど。塩味があるだけでこんなに違うんだ。これ前世の焼肉屋で出てきたら、厚切り骨付き王様特上カルビぐらいの値段ついちゃうね。
あとは夢中で食べることに集中した。だって美味いんだもん。美味ければすべては許されるよね。
ごちそうさまでした。
DP推移
現在値:77DP
召喚:群体1 -5DP
設置扉:丈夫な木の扉 -5DP
残り 67DP




