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ダンジョンマスターは眠れない  作者: えるだー
第7章 冥底湖の魔女編
198/478

一週間待ってくれ、本物の

 「これが大豆、水やりを多めにしとけば育てるのは楽なはずなんだけど・・」

 先日、オババからトレードした大豆を、さっそくノーミンに植えてもらう。大豆は変換で大量にだせるんだけど、枝豆は育てて収穫しないと食べられないからね。

 もやし用に水に漬けている大豆もちゃんとある。


 「まかせるだよ、時期的にあれでもプラント・グロウスの呪文でなんとかするだ」

 さすがドルイド、頼りにしてます。


 きな粉は大豆を炒って粉に挽くだけなので、すでに作ってリスト化した。その過程ですり鉢とすりこ木も作成した。すりこ木は太い枝を棒状に削って、先端を丸めただけで造れたけれど、すり鉢は少し手間がかかった。

 土器で作ってみたけど、深さのある鉢は手捏ねでは難しく、轆轤ろくろはそれ自体を開発しないといけない。結局、丸太から型を削りだして、粘土を貼り付けることでなんとか誤魔化した。ただし、木型に螺旋渦状に溝を彫る事により、土器に綺麗にすり鉢用の紋ができたのは逆に良かったかもしれない。

 手捏ねで造った土器には、この螺旋渦紋がうまく彫れなかったからね。


 即席焼却して、出来の良いのを分解・吸収して完成となった。


 変換リスト(工具・道具類):すり鉢とすりこ木

 すり鉢は土器、すりこ木は木製。初歩的な粉挽き道具。石臼より効率は悪いが、どんな大きさのものでも磨り潰せるのが利点。 10DP


 ちなみにきな粉は、

 変換リスト(食材):きな粉 1壷(1kg) 15DP

 大豆もリスト化されると、

 変換リスト(食材):大豆 10kg(麻袋入り) 50DP

 になっていた。

 オババにぼったくられた気もするけど、トレード以外で僕が入手するには、街に交易に行くか、渡り鳥が偶然運んでくるまで待つ必要があったので、後悔はしていない。

 大豆や米は、イージーモードでも初期リストには入っていないらしいし、マリアの話ではアンコモンな食品リストは、1000DPが相場って言ってたしね。


 豆乳も造ってみた。

 金盥に水洗いした大豆を入れてじっくり煮る。柔らかくなったら押しつぶして、絞り汁を冷ませば出来上がりだ。これに、にがりを入れると豆腐が作れるけど、海水がないから・・・ってあるじゃん!

 急いでタイドプールから海水を汲んできて、火にかける。海水塩を分離する過程でにがりが残るから、それを豆乳と混ぜてしばらく放置する。固まってきたら水にさらせば、おぼろ豆腐の出来上がり!

 

 さっそく試食してみる・・・

 うん、なんだろう、微妙・・・

 まず味がしない。薄っすらと大豆というか豆乳の味がするけど、それだけだね。

 素人の手作り豆腐は、ここらが限界のようです・・・醤油さえあれば、これでも美味しく食べれるのに・・


 金盥に大きさを合わせた落し蓋に重石を乗せて、再び放置する。染み出る水分は、木匙で掬うのですよ。

大量に作るなら専用の水切り箱を作った方がいいけど、1丁でも形の崩れない豆腐ができたら分解してリスト化しちゃうからいらないんだよね。

 豆腐ができたら、大豆油で揚げて、油揚げと厚揚げを作ろう。

 醤油と生姜プリーズ!


 ん?生姜はこの地域でも自生しているかも・・

 「ヘラ、ジンジャーって薬草の一種だよね?この辺りでも採集できる?」

 「はい、ありましゅよ。風邪くしゅりでしゅか?」

 ああ、漢方でも風邪薬や胃腸薬に使ってたね。


 「いや、薬でなくて食材にするんだけど、取って来てくれるかな?」

 「もちろんでしゅ、しゅぐに行ってきましゅ」

 1人で飛び出そうとするヘラを押し止めて、護衛にグドンとケン&チョビを付けた。よろしくね。


 「オデ、ヘラまもる」 「「バウバウ」」


 これで生姜は手に入る可能性が出てきたけど、醤油は難しいね。そもそも麹菌がないし、醸造に時間がかかり過ぎる。やっぱり誰か他のマスターからトレードしてもらうしかなさそうだ。

 でも冷奴や湯豆腐を塩で食べるのか・・・


 ネギがあればいけるか?・・・

 「ヘラ!ってもう出掛けちゃったか・・ネギも頼んどけば良かったな」

 「みっくみく」



  ビスコ村「酔いどれもずく蟹」にて


 ギルドの会議室で1人目を覚ましたハーヴィーは、痛む額をさすりながら、久々に潤った懐からツケを払いに酒場に来ていた。

 「やっぱり仕事の後の一杯は最高だね!親爺さん」

 「大した額じゃなかったが、それでもツケをきれいに払ったってことは、大仕事がうまくいったのか?」

 マスターも半分あきらめていたツケが回収できたので、上機嫌でハーヴィーに話を合わせる。


 「そうそう、例の夏至の採取が成功してね、しかも他の二人が行方不明なんでボク1人でもらっちゃえたんだ」

 それを聞いたマスターのグラスを磨く手が止まった。

 「おいおい、それを独り占めで、酒場のツケ払うのはまずくないか?」

 「えっ?だってマスターもその方が良いでしょ?」

 「そりゃそうだが、他の二人はどうなったか気になるじゃねえか・・」

 「んーー、そうは言っても魔女に襲われたのは不可抗力だし、ボクに彼らを助けるチャンスがあったわけでもないしねー」


 「・・魔女かよ。じゃあ二人とも生きてはいねえか・・」

 行方不明とはいっても生存は絶望的だろう。遺体が発見されていないから死亡扱いにならないだけで、行方不明になった冒険者が生還することは極めて稀だった。


 「ただね、カツ丼食べたあとでデコピンくらったときに、少しだけ思い出したんだよね・・」

 「ほう、どんなことを?」

 「ヘラもグドンも元気で、ボクに手を振ってるんだよ。あとハリネズミと穴熊も・・」

 「なんだい、そりゃ」

 「グドンは子豚になったから、その記憶とごっちゃになってるのかな・・」

 「お前、今日は酒は止めとけ、な!」

 マスターは追加のゴブレットを引っ込めて、かわりにポテトフライを押し出した。

 出されたポテトフライをもそもそ食べながら、ハーヴィーは呟いた。


 「なんか無性に蝗が食べたい・・・ケロ」



 


 DPの推移

現在値:2904 DP (3013DC)

変換:すりこぎx1 -10DP

変換:大豆10kgx2 -100DP

残り 2794 DP (3013DC)

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