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ダンジョンマスターは眠れない  作者: えるだー
第1章 サバイバル編
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この斧を落としたのは

 灰色狼の群が完全に逃げ散ったのを確認してから、後始末を始めた。

 「コア、狼は牙だけ折り取ったら残りは吸収していいから」  「ん」

 縦貫トンネルの攪乱部隊には、混乱した狼が闇雲に暴れたせいもあって、かなりの損害がでたみたいだ。

名誉の戦死を遂げたバッタの死体は、このあとスタッフが美味しくいただきました。

 落とし穴で死んだ狼が4頭、リーダーを合わせて5頭をコアが吸収した。100DPが加算されて、これで残高が327DPにも達した。

 「すごいや、初期の3倍以上だ」  「ん!」

 紅く塗って角をつけたいけど、よく考えるとイージーモードは1000DPスタートが普通らしいから、これでやっと三分の一なのか・・・先は遠いや。

 一気に設置できる物も数も広がったけど、コアのランクアップや機能の開放は起きなかった。ちょっと期待したんだけどね。

 散乱した木の柵の破片は、まとめて薪として保管しておく。

 結局、罠から打ち出された矢は10分ぐらいで消えてしまった。残念ながら矢の無限生産はできないみたいだ。

 チュートリアルダンジョンから持ち込んだ装備や食料も、置き場がなくて床に放置してあったところに襲撃があったから、空き巣にでも入られたような有様になっている。倉庫でも作らないと収納もできないけど、これは「拡張」の機能に分類されそうだ。

 ロッカーや掃除用具入れを設置することは可能でも、部屋はどんどん狭くなるから問題の解決にはならないからね。今は応急的に巣穴の出口通路を一つ改造して、物置にしておいた。


 さて後始末も一段落したから、次のステップについて考えよう。

 散り散りになった狼の群は、もう襲ってはこないだろうし、防衛力も強化されたから、しばらくは何かの襲撃に備える必要性は低いだろう。なので生活環境の改善に着手しようかなと思う。

 まずは飲料水の入手だね。近いとはいっても湖まで汲みにいくのは、まだ危険がある。他に方法が無ければチャレンジするけど、今はDPがあるし、設置できれば継続して水が確保できるからね。

 「コア、設置できる水場関係の情報を送って」  「ん」


設置可能リスト:水場

 ため池 50DP、 泉 75DP、 湧き水と淵 100DP、

 タイドプール 150DP、 噴水 200DP、 妖精の泉 300DP


 水場は最低でも50DPからなのか。ため池と泉の違いって、底から新鮮な水が湧いてるかどうかだろうね。タイドプール?なんだっけ。どっかで聞いた気がするんだけど・・・思い出せないな。

 妖精の泉って、すごいのがあるね。これ本当に妖精が住み着いてるのかな?それとも魔力を含んだ水を蓄えた泉の俗称とかかな。

 もっと先には女神の泉とかもあるんだろうか。それで、斧を落とすと、頭に斧が刺さった女神が現れて損害賠償とか請求されるんだろうか?ちょっと楽しみだったりして・・・


 「ああ!潮溜りのことだ!海水、そう海水の溜め池だよ!」  「ん?」

 「コア、すぐにタイドプール設置して、すぐに」  「ん~ん?」

 「え?ここで本当にいいのかって?  そうか、コアルームじゃまずいよね。どこかに別の部屋つくらないと」  「ん」


 急遽、やんまー・こまつ組を総動員して、巣穴の通路の途中を6mx6mぐらいに広げてもらった。

 「コア、この部屋の奥にタイドプールを設置して。さらに通路を挟んで部屋の反対側に湧き水と淵を設置して」  「ん」

 潮溜りと同時に真水の補給用に「湧き水と淵」も設置した。水場はこの部屋で一括管理することにする。

 潮溜りは、ダンジョンの一角が磯の岩場に変化して、そこに深さ1mぐらいの海水のプールができている。

 扉や柵がいきなり出現しても驚かないが、磯が洞窟の中に一部だけできると違和感がすごい。波の音はしないのに磯の香りだけはする。

 タイドプールは小さな生き物も発生させるみたいで、イソギンチャクやカニがワサワサ動いているのが見える。さっそく親方がフナムシを捕獲してムシャムシャ食べているけど、軽い塩味がお気に召したようだ。次の獲物を探して岩場を移動していたが、住処に乱入されて怒ったカニに鼻先をを挟まれた。

 「キューキューキュー」  「ほら無闇に動くとプールに落ちるよ」

 

 とにかくこれで懸案の塩の入手に目途がついた。「変換」が使えれば10DPで岩塩が手に入ったけど、ないものねだりをしても仕方ないしね。まあ今後は継続的に塩が手に入るし、みんなの遊び場にもなりそうだから良しとしとこう。


 「湧き水と淵」はダンジョンの一部の壁と床が岩場に変化して、岩壁から湧き出た清水が小さい滝のようになって真下の淵に降り注いでいる。

 淵は広さが2mx2mぐらいで奥にいくほど深くなっているけど、一番深い場所でも1mもない。水が澄んでいるので底まで見通せるが、こちらには何もいなさそうだ。

 「ここで水浴びができそうだね」  「ん」

 「コア、この部屋の室温を30℃ぐらいにあげられる?」  「ん!」

 コアが白熱電球のような光りを放ち始めると、すぐに部屋の中が夏日になった。

 「キューキュー」 「ギュギュー」

 暑いのが苦手なのか親方達が一目散で部屋から逃げ出していった。ごめんね。

 着たきり雀の麻の服を脱ぐと、じゃぶじゃぶと淵の中に入る。

 「うあ、冷た!でも気持ちいい。汗とか垢とかいろんなものが流れ落ちていく感じ」  「・・」

 ひとしきり水浴びをしてさっぱりすると、ざっと水洗いした麻の服を着込んだ。


 「これコアに室温調整してもらわなかったら、間違いなくに風邪引いてるね」 「ん!」

 部屋の湿度も下げてもらって、服と髪が乾くまでコアと磯遊びを楽しんだ。

 「コア、そっちいった」 「ん!」 「あ、岩陰に潜り込んだ、コア、索敵索敵」 「ん!」

 「そっちから見える? 隙間に潜り込んで出てこないや」 「あ!」

 「お、こっちに抜けられるのか、よし追い詰めた。潮招きゲットだぜー」   「ん!!」



DPの推移

現在値227DP

吸収:狼5頭 100DP

水場設置:タイドプール -150DP

    :湧き水と淵  -100DP

残り:77DP

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