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ダンジョンマスターは眠れない  作者: えるだー
第7章 冥底湖の魔女編
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鴨川シーワールド

 モフモフ陣営 探索再開から01:10


 増援で転送されたロザリオとベニジャは、運び屋のマッコイ(骸骨戦士に勝手に名前をつけた)から、各種装備を受け取った。

 「さすがマッコイ爺さんだぜ、仕事は完璧だな、ジャー」

 「ああ、次は山猫トムキャットを頼むことにしよう」


 「どうせなら、オイラ達の装備も強化して欲しかったっす」

 ご機嫌の二人を見ながら、ワタリが愚痴をもらした。


 「仕方なかろう、固定武装で持ち込める武具には個数制限がある。今回でも両手武器と剣・盾が同時に許可されるかギリギリの判断だったのだ」

 ロザリオはそう言って、腰の鋼の剣とミスリル・ソードを交換した。


 「剣と鎧は譲れないが、盾ならそちらで使ってもらって構わない。余ったものを回してくれ」

 「ああ、そしたら、グドンに貸してもらえるだか?」

 「私はスキルで強化できるからな、汎用で十分だ」

 「オデ、イイダカ?」

 「ああ、メインタンクは任せたぞ」

 「オ、オ、オデ、ガンバル!」


 ベニジャは三つ又矛を受け取ると、テオに何かを強請ねだっていた。

 「持ってるんだろ、ちょっと都合してくれよ、ジャー」

 「そうは言ってもこれは必要な分ですし・・・」

 「全部出せとは言わないからさー、ちょっとだけ、な、いいだろ?ジャジャ」

 「しょうがないですね、今回だけですよ」

 「ケチケチしなさんなって。おっと、これだけあれば2回は楽しめそうなんだぜ、ジャー」


 「傍で聞いてると、怪しい薬を横流ししてる現場みたいっす」

 「そうだな、手渡しされているのがコオロギでなかったら憲兵を呼ぶとこだな」

 エルフのテオは、親方のオヤツ用に、背負い袋に山ほどコオロギを詰め込んでいたのだ。


 「よし、準備ができたら攻略を再開するだ」

 「「ウラーー」」



 オババ陣営 敵再侵入から02:27


 ここは仮想防衛ダンジョン、中央ホールと名付けられた部屋である。25マスの大型ホールで全体が腰までの深さの水に沈み、プールの様になっていた。そこに4体のジャイアント・トードが配備されている。

 4体の大蛙は、この部屋に侵入した敵を、遠距離から舌で絡め取って、飲み込むように指示がされていた。

 ところが、いつまで経っても何も入ってこない。

 せめて水中に魚か昆虫でも泳いでいれば、暇つぶしと腹の足しにできたのにと、ボーっと考えていた。


 そこに待望の、扉の開く音がした。

 慌てて入り口に目を向けると、そこには蜥蜴人族の雌が立っていた。


 「ケロケロ!(よく狙って放て!)」

 隊長気取りのケロロが号令を叫んだ。そんな暇があるなら自分も舌を飛ばせばいいのに・・

 3匹の思いは一緒だったらしく、攻撃まで一瞬の間が出来た。相手はそこにつけこんできたのだ・・


 「よっしゃ、メシの時間だぜ、ジャジャ」


 食事の時間だと?ではあれは・・ではないのか。互いに顔を見合わせていると、蜥蜴人族の雌は腰に下げた袋から何かを取り出すと、こちらに向かって放り投げてきた。

 頭の中では危険物かもと疑っていたが、水面に落ちる前に、舌が勝手に巻き取っていた。


 パクリ

 「う・ま・い・ぞーーー」

 これは幻の国産蟋蟀こくさんこおろぎ、しかも取れたてのような新鮮さ・・・

 だが、惜しむらくは量が足りない。

 我ら4匹は、次々に投げられる蟋蟀に、夢中で飛びついていた。


 「よし、今はここまで」

 「「「「ケロケロ(そんな、もう少し)」」」」

 「続きは、一仕事終わってからだぜ、ジャジャ」

 「ケロケロ!(付いて行きますぜ、お嬢!)」x4


 我々は買収されて寝返った・・



 「ジャイアント・トードのリンクが上書きされたじゃと!」

 地形効果を上手く使えば、時間稼ぎの上に、1体ぐらいは飲み込んで撃破できるかと思っていたが、まさかコントロールを奪ってくるとは・・

 「ジャッジ!ジャッジはおるか?」


 『どならなくても聞えておりますわよ』

 「奴らの探索チームが、こちらのガーディアンのコントロールを奪ったのじゃ。1体や2体なら運が良かった可能性もあるが、ワシのリンクを4体同時に上書きはできんはずじゃ。チートの疑いが濃いので告発するから判定を頼むぞえ」


 『告発を受理しましたわ・・・確認中・・・照合・・・違反なし・・だそうですわ』

 「それで納得できるわけないじゃろう。詳細は?」


 『どうやら餌付けしたようですわね』

 「餌付けって、あのリザードマンの小娘は水棲テイマーか何かかい」

 『そこはご自身でお調べになってくださいまし』

 「ああ、もう良いわい。今回はワシの読み違いじゃ、告発は取り消そう」

 『納得いただけて、よろしかったですわ』



 モフモフ陣営 探索再開から04:28


 「それで、あの大ホールの奥には何があるんだい?ジャー」

 ベニジャが買収した大蛙達に、質問をしていた。


 「ケロケロ(それは・・秘密にしろと・・)」

 ダンジョンバトルに関係する情報は、ロックが掛かっているようだった。


 「そうか、残念だなー、一番早く教えてくれたメンバーにご褒美が・・」

 「ケロ(奥は罠部屋です)」

 「「「ケロ!(あっ、ずるっ!)」」」


 「えらいぞ、ほら!」

 パクリ モシャモシャ

 「「「ケロー(じーーー)」」」


 「それじゃあ、本当のダミーコアルームはどこにあるのかな?ジャー」

 「「「ケロケロ!(左の小部屋の隠し扉の先です!)」」」

 「よし、みんなえらいぞ、ジャジャ」

 パクリx3 モシャモシャx3


 「怖ろしいほどの調教の腕前っす」

 「水族館で働けるだよ」



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