鴨川シーワールド
モフモフ陣営 探索再開から01:10
増援で転送されたロザリオとベニジャは、運び屋のマッコイ(骸骨戦士に勝手に名前をつけた)から、各種装備を受け取った。
「さすがマッコイ爺さんだぜ、仕事は完璧だな、ジャー」
「ああ、次は山猫を頼むことにしよう」
「どうせなら、オイラ達の装備も強化して欲しかったっす」
ご機嫌の二人を見ながら、ワタリが愚痴をもらした。
「仕方なかろう、固定武装で持ち込める武具には個数制限がある。今回でも両手武器と剣・盾が同時に許可されるかギリギリの判断だったのだ」
ロザリオはそう言って、腰の鋼の剣とミスリル・ソードを交換した。
「剣と鎧は譲れないが、盾ならそちらで使ってもらって構わない。余ったものを回してくれ」
「ああ、そしたら、グドンに貸してもらえるだか?」
「私はスキルで強化できるからな、汎用で十分だ」
「オデ、イイダカ?」
「ああ、メインタンクは任せたぞ」
「オ、オ、オデ、ガンバル!」
ベニジャは三つ又矛を受け取ると、テオに何かを強請っていた。
「持ってるんだろ、ちょっと都合してくれよ、ジャー」
「そうは言ってもこれは必要な分ですし・・・」
「全部出せとは言わないからさー、ちょっとだけ、な、いいだろ?ジャジャ」
「しょうがないですね、今回だけですよ」
「ケチケチしなさんなって。おっと、これだけあれば2回は楽しめそうなんだぜ、ジャー」
「傍で聞いてると、怪しい薬を横流ししてる現場みたいっす」
「そうだな、手渡しされているのがコオロギでなかったら憲兵を呼ぶとこだな」
エルフのテオは、親方のオヤツ用に、背負い袋に山ほどコオロギを詰め込んでいたのだ。
「よし、準備ができたら攻略を再開するだ」
「「ウラーー」」
オババ陣営 敵再侵入から02:27
ここは仮想防衛ダンジョン、中央ホールと名付けられた部屋である。25マスの大型ホールで全体が腰までの深さの水に沈み、プールの様になっていた。そこに4体のジャイアント・トードが配備されている。
4体の大蛙は、この部屋に侵入した敵を、遠距離から舌で絡め取って、飲み込むように指示がされていた。
ところが、いつまで経っても何も入ってこない。
せめて水中に魚か昆虫でも泳いでいれば、暇つぶしと腹の足しにできたのにと、ボーっと考えていた。
そこに待望の、扉の開く音がした。
慌てて入り口に目を向けると、そこには蜥蜴人族の雌が立っていた。
「ケロケロ!(よく狙って放て!)」
隊長気取りのケロロが号令を叫んだ。そんな暇があるなら自分も舌を飛ばせばいいのに・・
3匹の思いは一緒だったらしく、攻撃まで一瞬の間が出来た。相手はそこにつけこんできたのだ・・
「よっしゃ、メシの時間だぜ、ジャジャ」
食事の時間だと?ではあれは敵ではないのか。互いに顔を見合わせていると、蜥蜴人族の雌は腰に下げた袋から何かを取り出すと、こちらに向かって放り投げてきた。
頭の中では危険物かもと疑っていたが、水面に落ちる前に、舌が勝手に巻き取っていた。
パクリ
「う・ま・い・ぞーーー」
これは幻の国産蟋蟀、しかも取れたてのような新鮮さ・・・
だが、惜しむらくは量が足りない。
我ら4匹は、次々に投げられる蟋蟀に、夢中で飛びついていた。
「よし、今はここまで」
「「「「ケロケロ(そんな、もう少し)」」」」
「続きは、一仕事終わってからだぜ、ジャジャ」
「ケロケロ!(付いて行きますぜ、お嬢!)」x4
我々は買収されて寝返った・・
「ジャイアント・トードのリンクが上書きされたじゃと!」
地形効果を上手く使えば、時間稼ぎの上に、1体ぐらいは飲み込んで撃破できるかと思っていたが、まさかコントロールを奪ってくるとは・・
「ジャッジ!ジャッジはおるか?」
『どならなくても聞えておりますわよ』
「奴らの探索チームが、こちらのガーディアンのコントロールを奪ったのじゃ。1体や2体なら運が良かった可能性もあるが、ワシのリンクを4体同時に上書きはできんはずじゃ。チートの疑いが濃いので告発するから判定を頼むぞえ」
『告発を受理しましたわ・・・確認中・・・照合・・・違反なし・・だそうですわ』
「それで納得できるわけないじゃろう。詳細は?」
『どうやら餌付けしたようですわね』
「餌付けって、あのリザードマンの小娘は水棲テイマーか何かかい」
『そこはご自身でお調べになってくださいまし』
「ああ、もう良いわい。今回はワシの読み違いじゃ、告発は取り消そう」
『納得いただけて、よろしかったですわ』
モフモフ陣営 探索再開から04:28
「それで、あの大ホールの奥には何があるんだい?ジャー」
ベニジャが買収した大蛙達に、質問をしていた。
「ケロケロ(それは・・秘密にしろと・・)」
ダンジョンバトルに関係する情報は、ロックが掛かっているようだった。
「そうか、残念だなー、一番早く教えてくれたメンバーにご褒美が・・」
「ケロ(奥は罠部屋です)」
「「「ケロ!(あっ、ずるっ!)」」」
「えらいぞ、ほら!」
パクリ モシャモシャ
「「「ケロー(じーーー)」」」
「それじゃあ、本当のダミーコアルームはどこにあるのかな?ジャー」
「「「ケロケロ!(左の小部屋の隠し扉の先です!)」」」
「よし、みんなえらいぞ、ジャジャ」
パクリx3 モシャモシャx3
「怖ろしいほどの調教の腕前っす」
「水族館で働けるだよ」




