頼んだぞ、アーチャー
オババ陣営 探索再開から00:07
「これからは速度優先で探索をしていく。多少のリスクは織り込み済みだ」
「焦ると、ロクなことにならねえぜ」
「オババ様の命令だ、あきらめろ」
ダンジョンマスターから全権委任されたダンジョンコアの命令は、最上位扱いになる。それを変更できるのは、ダンジョンマスターだけだ。そしてその方は居ない・・・
4人は仕方なく、安全マージンを取り払って、行動し始めた。
「2度目の秘蹟を発動する・・・ファインド・ザ・パス!」
「お前は俺について来い。西の階段下でやることを教える」
「1人は私について東だ」
「・・北・・」
3人が、それぞれ1体ずつの骸骨戦士を引き連れて、元階段のスロープを降りていく。南の石扉を開く機構を、覚えさせる為だ。
キャスターも光に導かれて北の階段を降りていく。次の鍵はやはり北の左手奥で見つかった。
その金の鍵と一緒にセーフティールームへ戻ると、すでに他の3人が待っていた。
「用意はいいか?」
「掛け声とともに踏み出す手はずだぜ」
「こちらは、地響きを感じたら踏み出す手順になっている」
「・・2度、揺れたら踏む・・・はず・・・」
「それはいいが、踏んだら、すぐに部屋の隅に避難するように伝えてあるだろうな」
「「「あっ」」」
慌てて3人は持ち場に戻っていった。途中でセイバーは転んだけれど・・・
そして、そこで見たものは、バラバラに砕け散った骸骨戦士の白骨死体であった。
「「「誰にやられたーーー」」」
モフモフ陣営 敵再侵入から00:09
「さいぼーぐ」
9人いないけどね。
相手の増援は3体のようだ。どうやらプレートを踏む為の人数合わせなのだろう。ポイント的にも高ランクは呼び出せないはずだしね。
「というわけで、出番です」
「ほむほむ」
「「「ギュギュ」」」
命令の実行だけを優先して、警戒もしていないスケルトン・ファイターを、死角から奇襲するのは簡単だった。低級アンデッドは、ちゃんと指揮官をつけないと実力を発揮できないという良い見本だったね。
死体を隠す時間はないから そのまま穴熊チームには左右どちらかの扉に隠れてもらう。奥に隠れたらダメだよ、轢かれるからね。
「ギュ」
すぐに降りてきた3人が、それぞれの担当の死亡を確認すると、慌ててセーフティールームに駆け戻っていった。あ、2人転んだ・・・
上で相談するだろうけど、もうこうなれば彼らの選択は2つしか残っていない。
自分達が3箇所に分散して開閉機構を順序良く起動させるか、呪文で無理やり開けていくかだ。
分散すると各個撃破の危険があるし、ノックの呪文で手順を飛ばすと、必要な鍵を手に入れ損う可能性が残る。もちろん魔術師のMP消耗も戦力ダウンに直結する。
そして彼らが選択したのは・・・折衷案だった。
オババ陣営 探索再開から05:12
「どうやらここにきて、ガーディアンが現れたのか、新たに配置されたかしたようだ」
「最初から、増援を狙っていたようだな」
「しかも事が済んだら、また隠れやがった。陰険な奴らだぜ」
「・・それも戦術・・」
「ああ、分かってるよ、むざむざ引っ掛かった自分に腹が立ってるだけさ」
油断はしていないつもりだった。だが、30分間まったく姿を現さない敵のガーディアンに、どこか戦闘は最後の部屋だけと思い込まされていた。
実は相手は最初から、勝てる戦いしか仕掛けないつもりだったのだ。
「どちらにしろ、もう人員は増えない。30分後に・・いやもう25分後か、再度お願いすることは不可能だろう。だからこの4人でダンジョンを突破する」
「どうやって?」
セイバーが率直な質問をした。
「3方向に分散して残りの1人が突破するのは、最後の戦闘を考えると賭けの要素が大きすぎる。だが、手順を踏まないとどこかで行き詰まるかもしれない」
「八方塞がりじゃねえかよ」
「いや、方法はある。二組にわかれて行動すれば良い」
「・・開閉と探索・・」
「そうだ、西と東は順番通りに踏む。3枚目の石扉だけノックで開ける。そこで金の鍵を使っても導きの光が戻るように指示したら、仕切り直しだ。奥を指したらそのまま突入する」
「その作戦だと。南に進むのはキャスターとランサーで、こっちは俺とセイバーってことか?」
「ラスボスを拝めないのは不満だが、それが最善であるなら従おう」
「アーチャーもいいか?そちらは単独になるから狙われる可能性も高いが・・」
「仕方ねえだろ、だが、出てきた敵は倒してしまっても構わねえんだよな?」
「アーチャー・・それは死亡フラグだ」
「しかも似合わん」
「テメエら容赦ねえな」




