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ダンジョンマスターは眠れない  作者: えるだー
第6章 エルフ編
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体で払うしか

 勘違いのヴォジャノーイは、嵐の様に押し寄せて、そして過ぎ去っていった。

 幾つもの置き土産を残して・・・


 「それでルカに聞きたいんだけど、ご主人もあんな感じなの?」

 居候している水の精霊に、重要なことを問いただしてみた。


 「まあー、そうですねー。似てますね、だいたい」

 つまり、嫉妬深くて、考えなしで、それでいて実力はあるわけだ・・・


 「つまり、いつかは怒鳴り込んでくるって認識でいいのかな?」

 「いちおー、うちのダーリンなら、最初はメッセンジャーが来ると思いますー」

 だよね、普通はいきなり殴り込みなんてかけないよね。


 「でもー頭に血が上っていたら、どうかなあーー」

 そこんとこはっきりしてくれないと、強制退去してもらうかも。


 「まあー大丈夫ですよー」

 ルカはニコニコしているけど、本当に大丈夫かなー。

 


 次に地底湖に繋がっている地下水路について。

 今回、大蛙が侵攻してきたのは、地底湖から伸びている地下水路のうちの一つからだった。

 水牢に繋がっている地下水路は、一度、地底湖から切れて、奥も行き止まりである。しかし、地底湖にはそれ以外に複数の地下水路が繋がっていて、その先に何があるのかはわかっていない。

 ハクジャ達が、漁に潜ったりしていたらしいけど、彼らを眷属化したときに支配領域化できたのは、地底湖までで、その先の地下水路は、他の勢力の支配域になっていた。


 「ハクジャ、これどこまで繋がってるの?」

 地底湖に開いた幾つもの開口部を指して、聞いてみた。


 「それが、確かなことは解っておりません、ジャー。噂では108ある湖の全てを繋いでいるとか、山脈の下を通って、北海にまで到達する水路もあるとか言われておりますです、ジャー」

 どんだけ広いんだよ、地下水路。


 「探索して、支配者を討伐するか、眷属化しないと、また押し込みされるよね」

 「しかし、支配する地下水路を伸ばせば、それだけ繋がる支流も洞窟も増えますが、いかがいたしますか、ジャー」

 そうか、もし地上の湖全部の地下に繋がっているとしたら、それを完全に支配するのは現実的じゃないよね。無理しないで、地底湖に防衛線を張ればいいか。

 ちょうど適任の部隊ができたしね。



 「ようし、お前達は今日から立派な兵隊だ、ジャー。びびって逃げ出さずに、体張って縄張りを守れ、いいな!ジャジャー」

 「「ケロケロ」」

 8匹の大蛙が地底湖に住み着くことになった。これもヴォジャノーイの置いていったものだ。

 ベニジャが貰った三つ又矛で、簡単な意思の疎通ができることもあり、すぐに命令に忠実に動く兵隊になった。

 いわゆる鉄砲玉というやつである。


 「まあ、地底湖から侵入者がいても、足止めさえしてくれれば、すぐに増援を送るから」

 「まかせとけって、助っ人が来る前に、モンモンチームで撃退してやるからさ、ジャー」

 大蛙の部隊にヤバイ呼び名がつけられていた。


 「撃破した大蛙の死体はいかがしましょうか、ジャー」

 ハクジャが、どこか期待するように尋ねてきた。

 

 「ああ、1匹残して吸収しちゃうから、置いといて大丈夫だよ。コア、大蛙の死体を吸収して。1匹は分解・吸収して肉として変換してみて」

 「らじゃー」


 変換リスト:食材(肉)

大蛙の肉 身が締まって薄く脂がのっており、極上の鶏肉に似た味わいがある。 100kg 75DP


 美味しそうな解説がついているけど、コストも一級品だった。さっそく変換した蛙肉で焼肉パティーを開くことにした。


 「大蛙は何度か口にしましたが、ずっと味わいが深い気がします、ジャー」

 ハクジャが笑みを浮かべながら焼いて塩を振った蛙の足にかぶりついていた。

 

 「塩だ、使ってる塩が違うんだよ、お祖父、ジャジャ」

 自分では料理はしないが、味には煩いベニジャが口の周りを脂で汚しながら焼き蛙肉を頬張っている。

 さっきまで、モンモンチームを指揮していたのに、平気で蛙肉を食べているのはどうなんだろう。

 その他の若い衆も、久々の蛙肉に大喜びだ。


 「しかし、こうなるとアレが欲しいっすね」

 ワタリがゴブレットを掲げる仕草をする。どうやらエールが飲みたいらしい。

 「しょうがないな、ワタリのツケにしといてあげる」

 「えっ?オイラが払うんすか?」


 「「ゴチになります!」」


 また泥酔ゾンビが発生しないように、控えめにね。ワタリの顔色は青ざめていたけど、まだ二日酔いには早いよ。


 「蜂の群体の準備はできただよ。秋の中頃までは頑張ってくれそうだ」

 ノーミンが蛙肉をかじりながら、周囲の警戒用に眷属化した蜂の群体の報告をしてきた。

 「あ、ご苦労様。秋までっていうと気温かな?」

 「んだ、寒くなれば蜂も動きが鈍くなって飛ばなくなるだ。その頃までに他の方法も考えておかねえとまずいだな」

 「了解、現状は、周囲1kmぐらいに警戒網を張っておけばいいかな」

 「あとはお任せするだよ」

 「ぶーーん」


 これで地上の早期警戒は良いとして、地下水路も何か必要だよね。紅鮭を眷属化しても敵の察知には使え無さそうだし、どうしようかな。


 「主殿、スケルトン部隊を水中偵察に使うのはどうだろうか」

 ロザリオがエールを飲みながら提案してきた。

 「蛙肉は食べないの?」

 「いや、飲めるうちにおごり酒は飲んでおかないとな」

 積み上がる空瓶に、顔面蒼白のワタリをニヤニヤ見ながらゴブレットを空けていた。


 確かにスケルトンなら呼吸もしないし、長期の歩哨も可能だろうけど、敵にもバレバレのような・・・

 「そこは白骨死体に偽装するのさ」

 「「なるほど」」


 さっそく装備をはずした監視スケルトンを地下水路の各所に配備してみた。

 「思った以上に周囲に溶け込んでいるね」

 これなら良い歩哨になりそうだ。


 地上と水中に警戒網ができたので一安心できた。

 「ぴこーん」


 


 DPの推移

現在値:1020 DP

吸収:北方大蛙x10 +800

変換:大蛙の肉x2  -150

変換:エール(2級)x8 -160(ツケ)

召喚:スケルトンファイターx6(歩哨) -240* (4体から6体に変更)

残り:1270 DP

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