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ダンジョンマスターは眠れない  作者: えるだー
第6章 エルフ編
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獣皇2倍拳

 「後衛の兵士二人は、キャッチャー&クロウにより行動不能」

 「了解しただ。オラ達は前衛の二人を仕留めるだよ」

 「どぴゅー」

 え?スケア・クロウが止め刺したって?恨み骨髄ってかんじだったからね。

 いいよ、降伏して眷属になるような性格じゃなさそうだし、素直にDPにしちゃって。


 「敵はトンネルに進入後、後続を待つと思うんだ」

 「そこに奇襲するだな」

 「通路だからといって、攻撃が前後からしかこないとは限らない事を、教えてやって」

 「ギュギュ!」



 丁度その頃、小隊長と部下は、ライ麦畑をいち早く通過して、隠れた洞窟にたどり着いていた。

 「後続の二人はまだ来ないのか」

 ツンドラ・エルフの小隊長が、苛立たしげに呟いた。


 「ハッ、どうやら迷いの結界に捕まったようで、連絡もありません」

 敵はアイスオークのドルイド1人とはいえ、召喚獣が警護についているはずだった。二人だけでは、さすがに突入は難しい。


 「世話をかけさせやがって。あとで懲罰だな。お前は通路の先の扉まで、罠が無いか調べておけ」

 「了解しました!」

 弓兵は、狭い通路を慎重に進んでいった。

 

 途中の天井に奇妙な竪穴があり、その真下の地面に、どうやらフロアートラップが仕掛けられているようだ。

 「小隊長、この床に罠があります」

 「どんなタイプだ?」

 「踏むと天井から何か落ちてくるようです」


 側に寄ってきた小隊長が、竪穴を見上げて嘲笑した。

 「アイスオークらしい、馬鹿な罠だな。わざわざ何か落ちてくると言わんばかりの造りじゃないか」

 「踏まなければ問題ないかと思われます」

 「かまわん、何が落ちてくるか試してみろ」


 小隊長と弓兵は落下予想地点の前後に分かれて待機すると、床に背嚢を放り投げてみた。


 カチッ  罠が作動して、3m上に金盥が出現した。


 「アハハハ、見ろ、盥だぞ!頭にぶつけて脳震盪でも起こさせようって魂胆か。オークなら引っかかるんだろうな、アハハ」


 ドスン! 金盥が予想外に重たい音とともに地面に落下した。盥の中には2頭の穴熊が入っていたのだ。

 竪穴の上部に巧妙に隠された横穴に潜んでいた、穴熊父兄会が、盥の出現と同時に飛び乗ったのである。

 「「ギュギューー」」


 「はあ?」

 呆気に取られた小隊長が号令を出しそびれた瞬間に、奥の扉が開いて、ドルイドが乱入してきた。


 「獣は我が友、我が同胞。今こそ我が力を貸し与えん!アニマル・エンハンス!」

 ノーミンは周囲に潜むモフモフ達に、強化呪文を付与した。効果時間が短いので、戦闘直前にかけなければ意味がないが、その効果は筋力と耐久力を上昇させ、攻撃力を2倍に高める。


 「やんぼー、まーぼーの痛みを思い知るがいいだ!」


 その掛け声とともに、トンネルの壁や天井を突き破って、モフモフ土木部隊が強襲をかけた。


 普段は、敵の増援を警戒して、こんな無茶な肉弾戦は仕掛けないが、今なら、エルフ二人だけだ。

 しかもエルフの特性として、中距離・遠距離戦闘には優れているが、接近戦にもちこまれると、筋力の低さや防御力の低さが露呈する。

 つまり、懐に飛び込んで力任せに撃破するのが最善なのだ。


 金盥から飛び出した、やんまーとこまつがローリング・クラッシュを二人に仕掛ける。

 ひるんだ隙に、エキドナチームがスパイクを顔面に叩き込む。

 さらに穴熊婦人会が、夜叉のごとく足元に齧り付いた。

 その全てが、いつもの倍の威力である。


 小隊長は、少しだけ耐えた。弓兵は、弓を取り出す暇も無く倒れた。

 だが、小隊長が耐えられたのもほんの数秒だった。なぜなら弓兵を倒したメンバーが、すぐに矛先を小隊長に集めたからだ。


 体中の引っかき傷から血を流し、顔面を棘だらけにした小隊長は、ゆっくりと地面に倒れ伏した。


 「かたきはとったどー」

 「キュキュー!」 「ギュギュー!」

 トンネルに勝利の雄たけびが響き渡った・・・



 「うらー」

 「ノーミン達は上手くやったようだな。ただ倒すだけでは生ぬるい。奴らに生きていることを後悔させたんだろうな」

 いや、まーぼー達は助かったし、矢を射たぐらいで、そこまでは・・・


 「主殿は甘い!二度と同じ様な愚挙を起こさせない為にも、見せしめは必要なのだ」

 「もふー」 「キュキュー」


 やばい、皆の目が本気だよ。

 ごめん、誰だかしらないエルフ。君達には生け贄になってもらうしかないみたいだ。


 「主殿、今回は、冒険者戦の反省も取り入れて、罠に頼らずに、突撃を多用しようと思う」

 「いきなり範囲攻撃うたれると、スケルトン・ファイターに大きな被害がでるからね」

 「そうだ、そこで中央ホールへの扉を開けて、私が待ち受ける」

 「・・・ロザリオ、自分が戦いたいだけでしょ」

 「そそ、そんなことはないぞ、ただ、私なら先制攻撃を受けても耐え切る自信があるからで・・・」

 ぜったい、自らの手で、報復の刃をとか思ってるよね。


 「まあ、いいや。今回はそれで行こう」

 「感謝する。弓隊は後方の玉座の間から援護。光魔法の使い手が現れたら、側面から騎牙猪兵の突撃で行く」

 「後方はケンチームが遮断して、隙をみて格闘戦に持ち込むから」

 「了解した。魔術士を最優先で落とす」

 

 各メンバーが配置について、エルフ本隊の侵入を待つ。

 敵の残りは8人、1人ぐらい、瀕死でも生き残ったら情報がとれるかな。


 「主殿、それは在り得無い」

 「キュキュッ」


 ・・・全滅確定なんだね・・・

 「なむー」

 

 DPの推移

現在値: 1949 DP

吸収:ツンドラエルフx3 +135

吸収:ツンドラエルフ・ソーサラーx1 +125

残り 2209 DP


 召喚リスト その42

ツンドラ・エルフ:凍土樹人

種族:亜人 召喚ランク3 召喚コスト90

HP15 MP12 攻撃4(+武器)防御2(+防具)

技能:耐寒、弓、隠密

特技:シャープ・シュート(鋭射)

備考:鋭射 使用MP3 命中+15% ダメージ+3


 その43

ツンドラエルフ・ソーサラー:凍土樹人・精霊術士

種族:亜人 召喚ランク5 召喚コスト250

HP20 MP25 攻撃4(+武器) 防御3(+防具)

技能:耐寒、杖、詠唱、MP増加

特技:精霊呪文(風Lv5)、精霊呪文(光Lv3)

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