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クレヨン能力12色  作者: ファニ
プロローグ
2/2

02カノン登場

 きっと昨日の少女は夢だ……










 「ふわぁあ……」

 「なんだ、神山。そんなに俺の授業が簡単か。」

 「へ?」


 美音は間抜けな声で返事をした。とたんに教室中が笑いの渦に包まれる。美音は「ははは……」と笑って誤魔化した。その時、ある少女は彼女のことを疑り深く見ていたことに美音は気づかなかった。


 昨日は、あの後走って逃げたのだ。幸い、あの少女は追ってこなかった。しかし、あの少女の事が気になり良く眠れなかったのだ。結局十分な睡眠がとれていなかった。



 休み時間、詩織は美音の元にやって来ていた。


 「どうしたの?いつも誰よりも真剣に受けてるのに……」


 美音はいつも真剣に授業に望んでいる。なのに成績はいまいちだ。美音は苦笑いしながら、昨日寝れなかったことを伝えた。、だが、少女のことは言わなかった。 

 


 昼休み、詩織が美音の元に来るよりも早くに、違う女子が美音の元にきた。


 「えっと……天正てんしょうさん……だよね?」


 美音は必死に頭の中から絞り出した。天正は静かにうなずいた。

 彼女は、天正()のん。いつも大人しく本を読んでいる、眼鏡っ子だ。

 歌音は一言「来て」と美音の手を取り教室を出て行った。突然の出来事に、美音も詩織も呆然としていた。



 屋上に連れて来られた美音は、何も話さない歌音を不思議そうに見つめていた。


 「えっと……とにかく、話してくれないかな?少し、痛いんだよね。」

 

 美音は言いづらそうに言った。歌音は「ごめんなさい……」とゆっくり手を話した。

 そのまま沈黙が続いた。美音が(風が気持ちいいな……)なんて呑気なことを考えていると、歌音は突然おかしなことを言った。


 「私がもし……魔法使いだっていったら……信じる?」

 

 普通の人はただの痛い子だと思うだろう。だが、美音は静かに微笑んだ。


 「信じちゃうかもね。だって、天正さんは冗談言うような人じゃないでしょ?」


 すると、歌音はビックリした顔で美音を見つめた。話したのはこれが初めて。ただのクラスメイトなだけで信じてくれることに歌音は驚いたのだ。その後歌音は、真剣な顔で伝えた。


 「協力して欲しいの。」

 「協力?」


 昨日、あんな事があった今日では、美音は不気味に感じてしまった。歌音は続けた。


 「あなた、能力持ってるでしょ?私が与えた、治癒の能力を。」


 美音は目を見開いて歌音を見た。”私が与えた”……? すると、歌音は美音の言いたいことが分かったのか、静かに目を閉じて何かを唱え始めた。すると、みるみるうちに光に包まれていった。そこから出てきたのは、腰まである金髪の髪の羽の生えた女性。でも、顔は歌音と変わっていなかった。


 「私の本来の姿です。私はカノン。あなたたちに能力を与えた魔法使いです。あなたたち能力者に世界を悪から救って欲しいのです!」


 突然の事に頭がついていかない美音は、「ちょっと待って」と手を自分の頭に当てた。


 「私とそれ以外の能力者の能力は天正さんが与えた能力で、悪と戦って欲しいと……?」


 美音は必死に状況を整理しまとめた。カノンは「はい。」とうなずく。漫画のような展開に美音は頭を抱え込んだままうずくまった。


 「大丈夫ですか!?」 

 「大……丈夫……です。」


 どう見ても大丈夫そうに見えないのだが、カノンはこれ以上話すのを止め、天正歌音の方に戻った。歌音は「また、後でお話させてください。」と言い、そのまま静かに美音の元に寄り添っていた。能力を使うと言うことは、能力が発動した現況である悪魔のような奇跡のような過去を思い出さなくてはいけないのだ。

 そのまま二人は昼休みが終わるまで屋上にいた。










 「美音! 何してたの?」


 教室に戻ってきた美音に急いで駆け寄った。美音はにっこり笑って、「なんでもないよ」と言った。


 「詩織ちゃんごめんね。今日は一緒に帰れない。」

 「ううん。気にしないで。わかったわ。」


 詩織は美音を心配そうに見つめる顔を笑顔にし、自分の席に着いた。美音は授業が始まる前におにぎりを一つ食べて、空腹を紛らわした。









 「美音さん、お話願えますか?」


 放課後、歌音は美音の元に現れて少し申し訳そうに言った。美音はうなずき、歌音と教室を出て行った。



 しばらくの沈黙の後、歌音は重々しく口を開く。


 「昼休みの時の事なんですが……すいません!」


 歌音は立ち止まって深々と頭を下げた。美音はビックリして、歌音に近寄った。


 「大丈夫ですから。頭を上げてください。」

 「でも……」


 心配そうに美音の顔を見つめる歌音に、美音はにっこりと笑ってうなずいた。歌音は安心して、顔を上げまた歩き出した。


 「まずは、能力を与えることになった経緯からお話しします。」

 

 歌音はそう言い静かに過去のことを語り出した。

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