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「春のそよかぜ」
「春のそよかぜ」
桜の薄桃色の花びらが散り始め
春の冷たい雨が降っていた
体の中を、強めの風が吹き抜けていく
まるで
大事な二人の時が
吹き飛ばされ、洗い流されゆくように
一年前と変わらない時が
今も流れていた
携帯電話のメロディが鳴り響いていく
まるで
持ち主さえも忘れて
どこかに置いてきてしまったかのように
いつもやさしく微笑む
そんな姿さえも
色褪せた一枚の写真のように
ゴールデンウィークが近づく頃
君は、僕に
新しい風を贈ってくれた
僕が悪かったんだ
すべて
君は、いつも
そして
これからも
僕の傍にいたのだと
すれ違う時間の中で
僕は
君を求めていた
それは
僕だけなのかと
ずっと思っていた
淋しい毎日が
君の中にも
ずっと流れていたんだね
あの日
冷たい、春の雨が降る中
そう、
二人の記念日
君は、忘れていなかった
真夜中に帰ってきた僕を
扉の前で
濡れた肩を震わせながら
力いっぱいの
やさしい微笑みで
迎えてくれた
わがままだった
僕
安心したかのように
微笑みながら
涙を流した君に
「ありがとう」
そして
いつまでも君の傍に




