第3話:時系列周りが面倒になるのでタイトル日数は止めました。そんな翌日放課後
一歩前進したは良いものの、結局原因は判明していない。保険室内も各々の事情も混迷している為、その日は一旦解散となり。
「…それで、昨日の今日で何でボクが出張んないと行けないかなぁ…」
「ほらほら、あの忍者ガールがめっちゃ気になる事言ってたじゃん?結構強引めだからあの場じゃあ話もまともに出来ないだろうねぇ」
そんな風に一人愚痴を零す天峰詠美と、宥める様に声を掛ける蟹岸鈴鳴。今いるのはグラウンド隅、校舎傍の通用門にて壁に背中を預けている。二人共ジャージに身を包んでいる。
もっとも詠美は部活には所属しておらず、普段なら寮に戻って勉強に勤しむか真横にいる鈴鳴に引っ張られる形で街へと繰り出す位である。強いて言うなら今日ジャージ姿でグラウンドに来ているのも鈴鳴の仕業には違いないのだが…
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掻い摘んで経緯を思い返せば、昼休みに鈴鳴は教室を飛び出して10分程で戻ってくると「あ、今日放課後開けといてね?忍者ちゃんに話出来る様に言ってきたからっ」と宣ってくれる。
(相変わらず行動力はあるんだよねぇ…)と、昼食のお弁当に舌鼓を打つルームメイト兼友人の顔をぼんやり見つめる詠美。思えば、新たな耳尻尾が生えてから今日まで目の前の少女が色々と気を使ってくれてるのは事実である。普段の行いと、出会いとルームメイトになった経緯を考えれば補いきれない位のマイナスではある物の…受けた恩もあり、複雑な心境ながら
「その、さ?鈴鳴…色々と、ありがとね」
ぽつりと呟く感謝の言葉、多分これだけじゃ足りないと自覚しながらもどうにか気持ちだけは伝えたくて…こっ恥ずかしい事を口にしたという認識もあり、ほのかに顔を赤くしたままぷいっとそっぽを向く。
一方でその言葉を受けてキョトンとしたまま、口の中に残っていたカレーパンを飲み込む鈴鳴。
「…あたし個人としては詠美そのままの方が可愛いと思うんだけどね、それに未来の嫁と妻の仲じゃない?」
―――いつボクとお前が婚約者の関係になったっ!?そもそも同性婚はこの国じゃ認められてないんだけど!?後可愛いって言うな!と思わずガタッと立ち上がって、途端に宥める様に手で制してくる鈴鳴
「へいへいステイステイとりあえず落ち着いてお礼なら通行権で良いよ?」
「…具体的にどこの」
「そりゃあバージンロード…あ、何その顔怖い。わかったわかった贅沢が過ぎたって!ロードの部分は追々で先に…いたっいたたっ!本の角痛ぁっ!?」
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OK碌な話題じゃなかったので可及的速やかに忘れよう。クラスメートが遠巻きに生暖かい視線を送ってきたのも半年も経ってるし慣れてきたし。
と、諸事情をすっ飛ばして1年生で忍者部員の霧野里乃に来たわけだけど…
「ねぇ鈴鳴、本当にここで合ってるの?と言うか忍者部とかインターハイとか何の話題」
「ああそれは…」「私からお話しますね?」
背後から突如声を掛けられ飛び退く、が…背後は壁である。慌ててキョロキョロと周囲をうかがうものの人の姿は無くて。
「あぁっと、すみません今出ますね!」
そんな声が何故か足元辺りから聞こえてきて、何事かと足を開いて自身の下を見ようとすれば。
「わぷっ」「ひゃんっ!?」
二人の声が通用門に小さく響く、何かお尻に触れられるどころか足の間に挟まって…しかし一瞬どう反応すればいいか分からないで言葉を失ってしまっている。
なんせ昨日知り合ったばかりの後輩系忍者がボクの影から上半身生やして、あまつさえボクの足の間に顔を突っ込んでるなんて初めての経験だったのだ。
―――と言うか、何この状況