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プロローグ:4月1日①

 超常現象とか幽霊の類とか、妖怪その他非日常の出来事は自分自身には関係無いと思っていた。

それ以上に日頃から向けられる好奇の視線の方が気になってしまい、そう言った事象に興味が向かない部分も多い。

 そんなボク、天峰詠美(あまみねえいみ)の普通はある日、本当にある日突然…何か変な事になった。




 携帯のアラームで起こされ、枕もとの眼鏡をかけて日付を見れば4月1日の午前7時

まだ春休み中であり、覚めきってない頭を回転させてみる。

 ……そういえば丁度1週間前、里帰りするからこの時間に設定してたっけ、その設定変え忘れてたなぁと眼鏡をずらし眠い目を擦りながら、起きたのは仕方ないし顔でも洗ってそれから今日1日何するか考えようかな?そんな、ぼんやりした頭で学生寮内の各部屋に備え付けられている洗面台に行き、顔を洗って…さっぱりとして一息ついたところで鏡を覗き込む。



 顔を洗ったばかりで眼鏡をかけてない視界に映るのは銀色の髪、この髪のお陰で色々と迷惑こうむって来たので昔は嫌いだった、この色は染めている訳では無く生まれつき…祖父がドイツ生まれだった為遺伝したものである。

 そんな訳で、幼稚園や小学校の頃は外人外人とからかわれ続けて、それに噛みついて回りの友達に迷惑かけて、中学では服装検査で毎年毎回説明させられて、それでも奇異の目を向けられて。

 …思えば変な目で見られるのが嫌で、一心不乱に勉強して成績トップ取ってたから余計に注目集めてたんだろうか?とにかく、そんな生活が嫌だったので高校はそう言った校風が自由な所を…そう思って、隣の県にある寮付きの高校を選んだ。

 親元を離れるのは寂しかったし両親も反対してたけど、最後は優しく送り出してくれたっけ。


 そんな訳でボク、天峰詠美は新生活に臨んだのであった…




 そんな話が丁度1年前だっけ、今はややスキンシップ過剰なルームメイトと一緒に暮らしている。

 何にせよ、髪の事について変に言われたり思われたりしないだけここは快適で気にいってる。そうして最近はこの銀色、自分でも前ほど気にならなくなってきたなぁ…と指で前髪を軽く弄りながら、ふと見慣れない物が頭に付いている事に気が付いて

「………?」

不審に思って手を伸ばしてみれば、手触りが良くピンと伸びた暖かい…

「ん、んん…っ?」

むず痒い様な感覚に思わず手を離してまじまじと鏡を覗き込んだまま、今度は引っ張って見れば

「あたっ!あたたたっ!?」

引っ張る→痛い→髪か頭にくっ付いてる?少なくとも夜寝る前にはこんなのは付いて無かった筈だ

「い、いやいやでもまさか…」

 にわかには信じがたい事、もしくはルームメイトのアイツが勝手に悪戯したものだろうか?何か髪留め的な物ではないかと鏡を齧りつく様に覗き込みながら、耳らしき物の根元を確認するが…もちろん地肌から直接、耳が生えていましたとも、眼鏡をかけて確認したので見間違える筈がない。一瞬目の前が真っ白になる様な、何も考えられない状況になりかけた



 落ち着け、落ち着いてとりあえず誰にも見られない様に帽子か何か被って隠してから考えよう!思い立ったが即行動とばかりに急いで洗面台の前から移動したら

「へー隣の県で山崩れかぁ…自然怖い怖い。あ、詠美おはよー、洗面台開いた?」

「……はい?」

 休みの日は昼まで寝ている筈の、ルームメイトの蟹岸鈴鳴(かにぎし すずな)がテレビに向けてた顔をこちらに向ける…何でよりによって今日起きてるんだろう…?そんな疑問を知ってか知らずか、手をヒラヒラとさせながら

「おいおいどうしたんだい?そんな朝からケモ耳付けたコスプレしちゃって…押し倒して良い?」

 何か不穏当な発言が聞こえたがいつもの事なのでスルーするとして、コスプレと間違えられてる?という事は鈴鳴が犯人ではないという事、でも誰がこんな事を…

 …今はそんな事考えてる暇は無い、とにかく適当に話を付けようと思い耳を抑えながら

「あ、いやこれは…そ、そうだねコスプレだね?うん、コスプレコスプレ…は、はは…」

「んー?変な詠美…それともこれはアレか、その尻尾型ア○ルパールが原因?」

 あ、あ…るぱーる?…聞き覚えがない言葉が出てきたけど、何か色々と言及するより先に自分の手をお尻に伸ばしてみて


…ふわふわしているこの手触りの良い感触は、まさか


「尻尾…?うわ、尻尾!?」

自分のお尻の辺りを見てみれば、しかもご丁寧に髪色と合わせて銀色のふかふか尻尾…………

朝になって、いきなり耳と尻尾が生えていて、ああそうか実はボクは夢遊病でコスプレ趣味があったんだね!

って、んな訳あるか!今の今までそんな兆候これっぽっちも無かったじゃん!

「ルームメイトがケモ耳とア○ルパール付ケモ尻尾を付けてる、誘ってるのかな?…っと」

「おいそこ、何呟こうとしている…携帯から手を離せ!呟くな!」

鈴鳴がやれやれと言った顔して、こちらに近づいてくる

「…よしよし、うん、ちょっと待って?え、携帯から手を放したから代わりにその尻尾触らせろ?いや待て?待って?待って下さい?

 いや、あの近い、近いよ鈴鳴?顔が物凄く近いよ?息かかるよね?尻尾触るのと関係無いよね?うん、離れようか?離れて?離れろ!?ああ、もう…この状況を誰かボクに分かる様に説明しろぉぉぉぉ!」




 そうしてどうにか押し返して色々と奪われずに済んだものの、これはそんなボクが色んな事に巻き込まれる物語…なんだよなぁ

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