Episode -中幕-
人間は、死んだら二度と生き返らない。
何故?
なんで死んだら生き返ることが出来ないのか。そう、思ったことはないだろうか。
確かで、絶対で、当たり前な、そんな《ルール》を、疑ったことはなかっただろうか。
矛盾、齟齬、食い違い。
完璧に縫い合わされたその事実の中から、無謀だと分かっていながらも《綻び》を探したことはないか。
その《綻び》を見つけだす事は、生物には不可能だと言われている。
人間もまた然り。
しかし、その《綻び》を、例え偶然であったとしても、見つけてしまったら。
それは、生物の枠を超える。
超越する。
それこそ、《神》とでも呼べる存在だろう。
それが、
彼だった。
――――――――
私は三三四川の岸部に仰向けで倒れていた。
手摺りを飛び越えたのは覚えてるのだがその後、つまり落下中の記憶がまったく無かった。
おかしい。
確かに自分は死んだはず。
この、《自分の家族》が死んだ場所で死んだ筈。
「っつぅー!!。」
自分の下からその声はした。
「っ!!!」
驚いて後ろに下がってみると、そこには制服姿の男子がいた。
「っくぅ~っ!!背中いってぇ!!つか、お前は大丈夫か?」
制服男子が話しかけてくる。途端に私は恥ずかしくなり顔を背けた。
一応、頷いた。
「良かったぁ!!」
男子は、まるで自分の事のように笑った。
私は更に恥ずかしくなった。
顔が熱かった。
「んじゃ、俺もう行くから。もうあんな真似すんなよぉ!!」
制服男子は埃を叩きながら立ち上がり、そう言った。
悲しかった。
(こりゃ、終わったな。)
制服男子が呟いた。
私はチャンスだと思った。
男子を引き止めるチャンスだと思った。
「なに..が終わっ..たの?」
そう聞いた。
そして、この質問が全てを動かした。
このStoryの歯車は―――