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射手と獣~「無能魔女」「姉魔法少女」クロスオーバー編~  作者: そら・そらら


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40.再会

 その他、バーベキューで焼いた高い肉とか、寿司とか。色々食べました。異世界の食事はどれも美味しいです。


 でも、肉を焼くだけなら簡単ですよね。お寿司も、生の魚を乗っけるだけなので、わたしの世界でも海辺ならなんとかなりそうです。


 酢を絡めたご飯というのは、ちょっと難しいですか? 酢はなんとかなるにしても、米ってあっちにもありますか?

 麺類を細かく刻んで代わりに出来るかもしれません。コータさんにも助言を求めましょう。


 ユーリくんが食べてるチキンも、なんとか作れそうです。


「ふふっ」


 焼いた肉を頬張るユーリくんを見て、笑顔になります。彼は首を傾げました。


「元の世界に帰っても、この世界の美味しいものを再現して食べられるようにしましょうね」

「……うん」


 頷くユーリくんを見て、わたしも一層笑顔になりました。



 宴は、大人たちが飲みすぎて倒れるタイミングで終わり、和室に彼女たちを寝かせます。大人と言っても、五条院はさすがに一緒に寝れないし酔ってもないで、廊下で毛布を羽織って横になりました。

 わたしたちも眠りにつきます。


 明日には元の世界に帰ります。それを考えれば、なんだか寂しいですね。



 翌朝。世界は何事もなく朝を迎えました。


 澁谷さんはテレビ局に向かいます。麻美さんは会社です。それぞれの仕事場で魔法少女の支援をするわけです。

 残るわたしたちは車で、市内のある場所に向かいます。わたしとユーリくんと、魔法少女四人と悠馬さん。樋口さんと剛さんに、香花さんと五条院。人数が多いです。


 剛さんは既に着替えています。魔法少女みたいな格好ですけど、変身ではなくコスプレというらしいです。

 似合ってます。女性にしか見えません。



「臨海公園ですか?」

「そう。模布港にある公園。そこなら怪物が暴れられるかなって」


 車内で説明を受けました。そこに向かっているそうです。なるほど、広い場所で周りを気にせず戦えるのは大事ですね。


「近くに水族館があってね。そこの潜水服さんが迫力あって怖いんだよー」

「そ、そうなんですか」

「その説明はいらないでしょ。……他にも公園の候補はあったんだけどね。鷹舞公園とか、科学館の前の公園とか。でも、どちらも市街地のど真ん中だし、近くに学校があったりするから危険なのよね。だから海に面した土地で戦ってもらうわ」


 そんな事情もあるのですね。澁谷さんは今頃、臨海公園の周辺は危険だから近づかないようテレビの中で話しているのでしょう。


『それでも、普段は市民の憩いの場だし、近くの施設に迷惑をかけるわけにはいかない。だから被害は最小限に食い止めたい。こちら側にも、ある程度の怪物は出させてもらうよ』


 スマホからラフィオさんの声がします。異世界出身の彼は既に立派な模布市民らしいです。


『皮肉にもこっちの住民は、戦闘準備を整えてるからな』

『街の内からも外からも怪物に狙われるなんて、かわいそうだね』

「ラフィオ。宝石はできたのか?」

『ばっちりだよ。まずはその動作確認と、再会だね』

『わたし頑張ったよー』

「お疲れ様ですリゼさん。よく頑張りました」

『疲れたー! 寝てていい?』

「これから戦いなんですから、駄目です。終わったら休んでいいですけど」

『うへー。もう頑張りたくないー』

「なんだかお姉さんみたいなこと言いますね、リゼさん」

「不本意だわ……」


 そうそうしている内に臨海公園に到着。広い緑地はありつつ、木々が生い茂っていり石畳の広い場所もあって、広場という感じがします。

 そして海風が気持ちいいです。


「規制線を張っているから、住民が入ってくることはないわ。テレビでも近づくなと呼びかけてるけど、それで逆に入ろうとする輩もいるかも。そいつらが巻き込まれても心は傷まないけどね」

「けど、奴らも市民だ。ラフィオ、さっさとやろう」

『わかっているとも』



――――



 リゼとロジャーの尽力で、魔法の石は無事に完成した。紫色をしたそれを持ちながら、ラフィオは宿屋の屋根に登る。

 周囲を見渡す。この街の家の屋根は大抵が、傾斜のある三角形のやつだな。


 その中で、平たい屋根の建物を見つけた。住民の集会所みたいな建物らしい。


「みんな。あそこに行ってくれ」


 後で魔法陣を描くからね。足場に傾斜がついた状態ではやりにくい。


 ロジャーは探されている身。兵士はそれどころではないにしても、彼の養父は権力者で、自分の召使いや数人の私兵を使って街の捜索をしている。

 見つからないで魔法陣を描いて、出てくる怪物が建物を壊さないように最大限の配慮をするとしたら、屋根の上に限る。


 そして魔法の石を握りしめて虚空に向ける。空中に空いた穴の向こうに、見慣れた景色が見えた。


 模布市の海だ。何度も行った水族館。そして。


「やった! つむぎちゃんラフィオ! 元気だった!?」

「はい!」


 つむぎが真っ先に穴を通り、待ち構えていた遥に抱きついた。悠馬たちもみんないて、安心した顔だ。

 ユーリとフィアナも、笑顔で穴を通ってこちらに来る。


「リゼさん!」

「フィアナちゃん! 良かった無事だったんだね!」

「はい! ご迷惑をおかけしました!」

「なんか、かわいい格好してるね!」

「はい! 向こうの世界の服です!」

「うん! いいと思う! 異世界でもオシャレは大事だよね!」

「ユーリくんも似合うって言ってくれました!」

「やったね!」

「ユーリも。知らない世界で頑張ったな」

「……うん」


 カイに頭を撫でられて、ユーリも少し頷く。

 無表情で嬉しそうには見えないけど、きっと笑ってるのだろう。

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