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射手と獣~「無能魔女」「姉魔法少女」クロスオーバー編~  作者: そら・そらら


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36.作戦会議

 わたしもスマホの画面を見ます。バギャウヴァは六本脚の怪物でした。足それぞれに鋭い爪が生えています。長い尻尾の先にはコブがついていて、それも固くまるでハンマーみたいに振り回せそうです。

 顔も凶悪です。三角形の顔に目が四つ並んでいます。口から長い牙が二本はみ出ていて、他の歯も鋭いです。噛まれたら命はないですね。

 体は硬い鱗に覆われていて、全体的な体型もがっしりしていて頑丈そうです。背中にも硬い甲羅がついていて、防御力は高いと思います。


「これ、矢は刺さらなそうですね」

「うん」

「わたしたち、他に出てきた怪物を倒す仕事のが役目になりそうですね」

「それも、大事な仕事」

「ですね!」

『いいや。ふたりには別の仕事を頼みたい』


 スマホからラフィオさんの声が聞こえました。


『僕とハンターとで、魔法陣の間の世界に行って裂け目を閉じる。その手伝いと援護をしてくれ』

「あ、はい。わかりました。頑張りましょう、ユーリくん」

「うん」

『残る戦力で、バギャウヴァと他の怪物たちの掃討だ。魔法陣を作るから、どちらかの世界に敵を呼び寄せて倒す』

「どっちの世界での戦いになるの?」


 樋口さんも和室に来てラフィオさんと話します。言うべきことを言い終わった五条院は、楽になったって感じの表情でお酒に手をつけていました。


『わからない。魔法陣で世界を繋げた途端に、双方に怪物がなだれ込む。バギャウヴァがお供の怪物たちを引き連れて、どっちかから出てくる。出てきた方が主戦場だ』

「どっちに出てくるのがいいかしら。できれば、大都市であるこっちに来るのは遠慮してほしいのだけど」

『街なのはこっちも同じだ。小さな街でも、人の暮らしがある』


 カイさんの声です。


『それに、こっちは他の問題で兵力が割かれている。その上怪物が来たら、対処ができずに大きな被害が出る』

「ゴブリンですか」

『ああ。だから、こっちに来てほしくない』

「まあいいんじゃないですか? そっちに来ても、わたしたち魔法少女が行って倒しますから」

「オレたちも異世界に行くかもしれないのか? まあいいけど……」

『そういうことなら、頼む』

『決行は明日になるよ。魔法石が完成するのがそれくらいだから』

『わたしも、休憩しながら魔力を補充してまーす』

「つむぎさん。リゼさんがサボってるようなら、遠慮なくお尻叩いてください!」

『うん! わかった!』

『あのねフィアナちゃん! わたし頑張ってるから! ちゃんとやってるから! ねえつむぎちゃんも怖いんだけど! そうだコータのことモフモフさせてあげるから許して!』

『おい!』

『やったー! ネコさんモフモフー!』

『おい!!』


 向こうはにぎやかそうですね。


 決行は明日。今日はこの家でお泊りすることになりました。

 うまく行けば明日には向こうの世界に帰ります。というわけで。


「フィアナちゃんユーリくん。パーティーを開きましょう。バーベキューとかしましょう! ピザとかチキンとか、お寿司も買いましょう!」


 愛奈さんがそんな提案をしました。


「いいですね、お姉さん。この世界の美味しいもの、いっぱい食べて思い出に残してもらいましょう」

「遥ちゃんわかってるじゃない。じゃあ、買い出しお願いね。わたしは麻美たちに連絡するから」

「わかりました! みんな呼ぶんですね」

「明日戦いになるなら、わたしは仕事休まなきゃだし。麻美に仕事頼むわけだから、機嫌取らないと。澁谷さんとも話しておきたいしねー」

「マスコミに伝えておくのは大事ですもんね」

「フィアナちゃんたちにインタビューしたがるでしょうけど、それは阻止ね」

「ですね! よし! 悠馬! アユムちゃん! 行こう! ふたりも一緒に来る? 気になったものがあれば言ってね!」


 というわけで、わたしたちは買い物に連れて行かれます。


「あ。そうだ。香花ちゃんも来る?」

「え? わたしですか? ……いいんですか?」

「いいっていいって。せっかく知り合いになれたんだから! 仲良くしようよ! それに明日は、香花ちゃんの魔法の知識が必要になるかもしれないしね!」

「でも。わたしが怪物を呼び寄せて」

「ラフィオも違うって言ってるし、気にすることないよ! ほら、一緒に行こ!」

「は、はい!」


 香花さんも一緒に買い物に行くことになりました。彼女が笑顔になって、わたしも嬉しいです。


『いいなあパーティー。僕もプリン食べたい』

『帰ったらいっぱい食べようね! だからリゼさん! 早く帰れるようにサボらないでください!』

『わかってます! やる! やります! だからお尻叩こうとしないで!』


 リゼさん、向こうで楽しくやってるようですね。



――――



 つむぎはリゼのことを、そういう扱いをして良い相手と見なしたらしい。早く向こうに帰りたい気持ちもあるのだろう。


 ここも悪い世界じゃないよ。つむぎとしても、道を歩けば馬や牛がいるここを気に入ってはいる。

 でも、美味しいものは向こうの方が多い。上下水道や電気が無いこの世界が不便なのは感じている。


 ラフィオとしては、リゼは十分にやってると思うんだけどね。


 宿の部屋でベッドに腰掛けたつむぎの膝に乗せられて、撫でられながらリゼを見る。魔法陣に手を当てて魔力を注ぎ込んでいた。


「な、なんかこの魔法陣、すごく魔力を吸われるというか。しかもコータ経由じゃなくて、わたしから直接吸い取るの、珍しい気がする……」

「役に立てて良かったじゃないか。俺を魔法陣の上に座りっぱなしにしないで済む」

「その分わたしが! ずっと四つん這いにさせられてるんだけど!」

「河原の石からでも魔力を吸えるんだ。そういう魔法陣なんだよ。そして、魔法陣を描かなくても世界の行き来を直接できるほどの魔法だから、使う魔力も多いんだ」


 そういう魔法もあるってことさ。

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