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射手と獣~「無能魔女」「姉魔法少女」クロスオーバー編~  作者: そら・そらら


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33.事情聴取

 マンションとさほど離れていない一軒家に到着。ユーリくんたちは既に着いてますし、アユムさんと香花さんも移動していました。


「あ。そういえば樋口さんは?」

「現場に置いてきちゃいました。今、こっち向かってるそうですよ。わたしかユーリくんが連れて行くべきでしたね」

「いいんじゃない? 急いで撤収しなきゃいけなかったんだし。五条院は?」

「和室に閉じ込めてます。縛ってるので逃げられません。どっちにしろ、恐怖で動けなさそうですけど。あ、怪我してる所には包帯巻いておきました」

「それは、窓から落とされてユーリくんに運ばれた恐怖?」

「たぶん。他にあるんですか?」

「五条院は、明らかに何かに怯えていたわ。奴、と言ってた」

「へえー。樋口さんが来たら詳しく聞きましょう。それまでに夕飯の準備します」

「じゃ、わたしはお酒飲みますかー。悠馬、お酌して」

「人の彼氏にそんなことさせないでください!」

「そうだ。置いていかれた樋口さんも怒ってるだろうから、悠馬は積極的にサービスして機嫌を取って」

「だから! 悠馬にそんなことはさせませんから!」


 愛奈さんと遥さん、仲がいいですね。


 悠馬さんは会話を聞いているでしょうに、反応しません。完全に無視してます。いつものことなんでしょう。


 テレビでは、立て籠もり事件があったことをニュースで伝えています。これ、国中の人間が同じものを見ているそうです。


 離れた場所に出来事を瞬時に伝えられる技術、すごいですね。すごいのに、インターネットなるものの登場でテレビは負けそうになっているとか。

 インターネットはすごすぎますね。


 やがて樋口さんも来ました。


「まあね。わたしも連れて帰ってって指示をしなかったのは悪いと思うわ。でもひとりだけ放置はひどいと思うのよ。五条院を取り上げられた警察は、こっちに嫌味を言ってくるし。公安だから妬まれてるのよね」

「まあまあ樋口さん。そう怒らないで。ビールたくさん買ってますから」

「わたしも買ってきたのよ」

「よし! 今日は飲みましょう! 乾杯!」

「はいはい乾杯」


 怒ってたのに、お酒が入ると機嫌が直ります。お酒ってすごいですね。


 この世界では、子供はお酒を飲んじゃ駄目らしいです。向こうではそんな制限無いので、わたしも飲めるのですけど。こっちの世界のルールに従いましょう。


「あの。ロジャーと繋がりました。魔法の石がもう少しで出来るそうです」

『わたしが頑張ってます! 結構時間が掛かるんですね! 疲れてきた! 休んでいい!?』


 香花さんの報告と、スマホから聞こえるリゼさんの声。この人は、油断するとすぐに怠けます。


「駄目ですリゼさん! 限界まで頑張ってください!」

『えー。でも疲れたし……』

「怠けてたらお尻叩きますよ!」

『ふふん。今のフィアナちゃんは離れてるから、叩けないもんねー』

「つむぎさんやってください!」

『え。いいの? じゃあ失礼します!』

『みぎゃー!? なんで!?』


 これでよし、です。


「こっちで五条院を捕まえられた。今から事情聴取するから、あなたたちも聞いて」

『わかりました! コータ、カイ! 聞いてて! 後でわかりやすく教えて!』

『はいはい……』


 リゼさん、違う世界の難しい話はわからないと最初から諦めてます。


 あまり大人数で相手するものでもありません。和室で正座し続けるのも辛いということで、五条院をリビングに移しました。

 対面に樋口さんと悠馬さんが座ります。他は逆に和室に移動して、襖を隔てて聞き耳を立てます。もちろんわたしもです。

 畳に寝転んだり三角座りしたりしてます。


 ちなみにわたしは。


「……」


 長い距離を走ったユーリくんが疲れてるようなので、正座して膝枕してあげてます。恋人ですから、これくらい普通です。

 ユーリくん眠そうですね。慣れない街の中を結構な距離走りましたもんね。魔法少女と違って、ユーリくんはいつものユーリくんです。


「眠ってもいいですよ」

「ううん。聴く」


 頭を撫でてあげると、気持ち良さそうな声を出しながら、それでも寝ないよう頑張ってました。


「いちゃつきやがって。羨ましい……」


 アユムさんが小さく言いました。えへへ。仲の良さを褒められちゃいました。

 さて、襖の向こうで陶器が置かれる音がします。


「お茶どうぞ」

「ど、どうも……」


 遥さんが言って、五条院が少し恐縮した声で返事しました。

 お茶を出されるとは思ってなかったようです。


「警戒しないでいいわ。ほしいならビール飲んでもいいわよ?」

「そこまでは……」


 襖を少しだけ開けて隙間から様子を見ます。怪我をしてない左手で湯呑を持ってお茶を啜れば、少しだけ落ち着いたようでした。


「なんで、この扱いを?」

「見た感じ、あなたも不本意に怯えているようだもの。なにか事情があるなら、情状酌量で減刑の口利きをしてあげてもいいわ。さっきの立て籠もり事件のね」

「俺は悪くないんだ。周りが騒ぎ立てて。それに。怪物共が出たから」

「そうね。あなたと怪物の関わり、教えてくれるかしら」

「……荒唐無稽な話だ。信じてもらえないかもしれない」

「魔法少女と怪物が戦う街よ? むちゃくちゃな言い分も、とりあえず信じてあげるわ」

「そうか? じゃあこれはどうだ? 今から二十年前にも、魔法少女と怪物の戦いがあった。大きな被害を出したが、それを街の人間は誰も覚えていない。俺以外は」

『あ。わかります。聖装戦姫の戦いですよね。山下美里さんの』

「……!」


 五条院が微かに目を見開きました。

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