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射手と獣~「無能魔女」「姉魔法少女」クロスオーバー編~  作者: そら・そらら


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17.見つけた

 女の子がどうというつもりはないが、占いとか魔術とかに興味を持つ子は一定数いる。キングカピバラはニュースにもなった。

 自分もやりたいと、模布市に来る者はいるだろう。


 でも怪物を呼び出すなんて。


「目的は別にあったのかも」

「というと?」

「この子は魔法陣から怪物が出てくるのを見て、慌てて逃げ出したそうだ」

「へえー。じゃあ怪物が出てくるとは思わなかったのか。やっぱり、ペットを巨大化させるために来たのかな」

「わからないけど。悪意はなかったと思いたい」

「ああ」


 それはそうだ。

 魔法を悪用する人間はいるべきじゃない。


「何も手がかりは無さそうだなー」

「帰るか」

「ああ。昼飯なににする? てかどうする?」

「遥もラフィオもいないのか。俺たちで作るか」

「おう! ふたりでな!」


 なんか遥に悪い気がするけど、精一杯楽しませてもらおう。


 というわけで、公園から離れて近所のスーパーに向かう。お昼を前にして、奥様がたで賑わう時間帯だ。春休みだから未成年の姿も見える。

 今も、セーラー服姿の女の子がフラフラとスーパーに入ろうとしている。


 でも様子が変だ。足取りがおぼつかないというか、弱々しい。今にも倒れそうな雰囲気だ。


 悠馬が怪訝そうな顔をしながら、スマホを見る。さっきの監視カメラの映像と、あの子を見比べて。


「あ……」


 アユムもすぐに気づいた。


「あああああ! あいつ魔法陣のむぐー!?」


 悠馬に口を塞がれて言葉を続けられなかった。けど遅い。少女に聞かれてしまった。

 彼女はビクリと肩を震わせて振り返り、こちらを見て目を見張った。


 怯え混じりの表情は、同時にとても弱々しくて。


「なあ悠馬。こいつに悪意は」

「無いと思う」


 一瞬で確信できた。


「やあ。怖がらなくていい。オレたち、お前の味方だ。お前が魔法陣を書いたって知ってるんだ。けど、心配するな」

「嫌っ!」

「おい待て!」


 駆け出す少女。しかしスーパーの方に向かっていた彼女に、逃げ道の選択肢はない。道路へ行こうにもこちらが塞いでいるから。

 逡巡の末、横に逃げようとして、足をもつれさせて派手に転んだ。


「ぎゃんっ!?」

「おい! 大丈夫か!?」

「……」


 悲鳴の後にピクリとも動かなくなった少女に駆け寄る。

 彼女は目を閉じて。


「寝てる……」


 眉間に皺を寄せて、あまり気持ちの良い寝方とは言えなさそうだ。それでも彼女は寝息を立てていた。

 軽く擦り傷は出来ているけど、大した怪我はしていない。


「良かった」

「悠馬。こいつどうする? 警察に通報するか? それか救急車とか」

「いや。樋口に連絡してくれ。大事にはしたくない。とりあえず家に運ぼう」

「おう」


 悠馬が少女をお姫様抱っこするのを見ながら、アユムもスマホを出す。こいつ誰にでもそれするんだな。


 とにかく、彼女を悪人とは思いたくない。だから警察に突き出すなんてありえない。なんか拘束とかされそうだから。

 樋口なら普通の警察とは違うから、穏やかな対応がされるはずだ。


 それになにより、彼女は疲れ果てていた。たぶん昨夜からすっと逃げ続けて、街を彷徨っていたのだろう。今は休ませて、好きなだけ眠らせてあげよう。

 そういう意見も樋口に伝えれば。


『お人好しね。でもいいわ。今からそっちに行くから、その子は寝かせてあげなさい』


 理解ある公安で良かった。


 ソファに寝かせた少女に毛布をかけてやって、そういえば昼食の材料を買いそびれたと思い出した。冷蔵庫の中の物で、なにかそれっぽい料理を作る技術は、今のふたりにはない。改めて買いに出るかと考えていた所。

 スマホから警告音が鳴った。


「いやいや! なんでだよ!?」

「フィアイーターがいなくなっても、怪物はまた出てきた。システムを再始動させたんだろうな」


 悠馬は冷静に警報音を切った。少女を起こさないためだ。アユムもすぐに倣う。そして声を潜めて会話する。


「また怪物が出たのか? でもなんで」

「討ち漏らしか、それとも新しく出たのか……両方らしい」

「おいおい……」


 スマホの画面に、模布駅の近くで巨大な羽を持つ怪物が飛び回っている映像が映される。鳥とは違うな。コウモリとも、なんか違う気がする。知ってる生物に当てはめるなら。


「プテラノドン?」

「っぽいな。これも五条院のデザインしたゲームにいたはず」


 それから、この近くでも怪物が出たらしい。駅前のショッピングセンターの、さらに向こう側だ。

 そっちでは大量のニワトリと、クモみたいな奴が出現している。


 何もない住宅街に突然出てきたらしい。


「この近くだ。模布駅の方は遥たちに任せて、こっちはアユムに任せていいか?」

「しゃーねえな。頼りにされてるなら、やってやるよ。悠馬も来るんだろ?」

「この子を放っておけない。樋口が来たらすぐに追いかける」

「だな! 行ってくる!」


 ベランダに出て変身。そして飛び降りる。重量感のある音と共に地面に降り立ったバーサーカーは、駅の方まで駆け出した。



――――



「いやいや!? なんで急に出てくるの!? 魔法陣消えたはずだよね!?」


 警報音を消しながら、遥さんは動揺した声を上げます。買い物途中で邪魔されたことに怒っています。

 急すぎて驚いているのは、わたしも同じです。怪物はどこから出てきたのでしょう。


「たぶん、ビルの上に、隠れてた」


 ユーリくんが静かに言いました。さっき展望台でも下の様子を熱心に見ていましたね。

 つむぎさんのスマホを覗きこめば、飛ぶ怪物が何体もいます。

 あの公園から逃げた群れがここまで来て、夜の間に休んで、一斉に動き出したということですね。それを予想していたのです。


「さすがですユーリくん」


 偉いです。頭を撫でてあげましょう。

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