第3章 - 私の唯一の友達は変
**第3章 - 私の唯一の友達は変**
(POV - ユキ)
家族…
サイクは階段を上って自分の部屋に入った。
サイク… 見た目とは裏腹に優しいやつだ。入試でズルしたし、言葉は冷たくてほぼ無表情だけど、優しい。優しくなかったら、私みたいな存在を気にかけるはずない。
人生で一人ぼっちになり、頼れる生きてる親戚もいないやつ。ほとんど私と同じ。私の母さんがこの人生で唯一残ってるものだけど、彼女のことは… どう感じていいかわからない。
母さんは殺人者だ。アルコールやドラッグを使ってるのを見たことないから、ドラッグ目当てでその世界にいたわけじゃない。なんでやったの? 本当に強制された? それとも… 楽しんでた?
わからないし、今は考えたくない。
母さんの行動は変えられない。済んだことは済んだ。でも、それで母さんへの見方が変わるのが怖い。
もしまた会ったら、どう感じる? まだ愛情深い母さんとして見られる? それとも怖い、気持ち悪いって思う?
愛情深い母さんの思い出、死んだ私の体を抱いて泣いてた母さんを、持っていたい。
母さんは私を愛してた。でも、終身刑で、彼女に対する証拠が圧倒的だって知って、母さんをどう感じていいかわからない。
愛してる! でも、また会ったとき、それが変わるか分からない。
「考えない方がいい。」
一歩ずつ、ユキ。一歩ずつ。サイクには君が必要、落ち込まないで。
私はまだ母さんがいるけど、サイクはすべてを失った。私が彼に残された唯一のもの。だから、サイクを幸せにするのが私の役目! サイク、冷たいやつじゃなくなるよ、君を幸せにする! 君がしてくれることに恩返しするよ。
サイク、ミステリアスなやつ。
めっちゃイケメンってわけじゃないけど、ブサイクでもない。10点中9点かな。髪、ぜんぜんとかさないから、いつも目が隠れてる。ちゃんととかせば、めっちゃ可愛く見えるのに。だって、サイク、けっこう引き締まった体してるし。髪を少し直すだけで、絶対モテるよ。このヘルメットみたいな髪じゃ、女の人を怖がらせて、誰も気づいてくれない。
サイクがどんなやつかわかり始めてきた。悪いやつじゃないけど、いいやつでもない。他人の言うことなんて気にしないやつ。そして、自分しか気にしてない。
私が家族だって思ってくれてるの、ちょっと驚いた… 正直、めっちゃ嬉しい。
サイクの第一印象は無情だった。家から追い出すために聖水持ってくる気だったんだから。でも、少し知るようになった今、うん、ちょっと無情で冷たいけど、いい人だ、少なくとも私、友達には。自分にとって大事な人をちゃんと扱うやつ。私を家族だと思ってるから?
もしそうなら、ほんとに家族が恋しいんだ… 私と同じように。
…また家族ができた… また幸せだ。
ずっと一人で、話す相手もいないと思ってた。でも、サイクのおかげで、孤独な人生は終わった。友達ができた… また友達が…! まあ、生きてるときに友達いたわけじゃないけど。ふふ。私の美貌は女の子に嫉妬されて、男の子を恥ずかしがらせて、誰も近づけなかった! ハハハハ!
それとも、母さんの悪い噂のせいで、家族に近づくなと言われた? そんな話、聞いてなかったけど、母さんが犯罪者だって知った今、その説、めっちゃありそう。
でも個人的には、最初の説の方がいい。だって、私、めっちゃゴージャス! ふふ。うん、うん、知ってる、知ってる、完璧… まあ、ほぼ完璧。100%完璧になるには、ちょっと足りないものがある。え、なにが足りないかって? 照れるなあ。知ってる、知ってる、私が完璧じゃないなんて信じられないけど、確かに足りないものがある。ちっちゃくて可愛い、ほんの小さなディテール… 脈がない!!
ああああ! 永遠に10歳の女の子に見える運命! 大人になるのや、母さんになるの、せめて本物の胸があるのがどんなか、知ることはない!
ああ… ユキ、永遠に小さな女の子かもしれないけど、少なくともサイク、最高の友達(だって唯一の友達だから!)がいる! 彼のおかげで、また生きてる気分、たとえ成長できなくても。
でも、唯一の友達が変なやつって、ちょっと悲しい。笑わないし、一匹狼。それで私も彼の唯一の友達!
ふふ。心配しないで、サイク、友達作るの手伝うよ… 奇跡が起きたら、彼女もできるよ。
任せて、信頼の友達。高校終わる頃には、友達と可愛い彼女ができてるよ!
私が彼女になってあげてもいいけど、幽霊だし、君は私のタイプじゃない。メガネの男が好き… でも、サイクが私を彼女として受け入れるなんて、まずない。10歳で死んだから、見た目は小さな女の子、15歳だけど… 幽霊は歳取らない。
でも、心配しないで、めっちゃ美人の彼女見つけてあげる! 私の助け、頼りにして!
で、まあ、女の子が君に注目しなかったら、かわいそうだから私が彼女になってあげる。ふふ… でも、見た目のせいで断られるかな。サイクみたいなやつが、私みたいな見た目に惹かれるとは思えない。で、彼、幽霊見えるから、幽霊の彼女もありえる! 生きてる女の子を落とせなかったら、幽霊の女の子見つけて彼をゲットさせる。サイクに操られる特典もあって、サイクには彼女ができる。ウィンウィン!
サイク、心配しないで、すぐ一匹狼じゃなくなるよ! ゴージャスなユキの助けがあるんだから! 私の手に任せて!
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夕飯のとき、サイクに友達作りを手伝う計画を話したけど、めっちゃ「予想外」の反応だった。
「いや、ありがと。友達いらない。必要ないよ。でも、気にかけてくれてありがと。」
めっちゃ本気で言ってる。ほんとに友達が要らないと思ってる?! ああ、孤独な魂、ひとりぼっちに慣れすぎて、もうそれで傷つかない。でも、心配しないで、ヘルメット頭のいい友達、完璧でセクシーなユキが、君に友達欲しくさせるよ!
「あ… そんなこと言うと思った。サイク、友達って大事だよ! ほんとに一人でいるのがそんなに好き? 友達、せめて彼女、欲しくない?」
「友達いない方が落ち着くかな。リラックスできる。友達いたら、貴重な時間取られるだけ。寝るか、ビデオゲームやる時間の方がいい。恋愛にも興味ない、独身でいい。独身なら、他人に金使わなくていい。彼女って、ただの無駄な出費。キスやセックスするため? 価値ない。金は自分と、もちろんユキ、君に使うよ。」
「うわ… めっちゃ暗い考え方。どんな人生だったの?」
「たぶん、孤独な人生。いつも一人で、それが一番落ち着く。」
「ほんとに恋愛や友達、経験したくない?」
「ユキ、俺の目見て。」
「目?」
サイク、目の髪を上げて、私、ちょっと赤くなったかも。うわ。髪直せば可愛いってわかってたけど、これは… やりすぎ。彼の目、めっちゃ綺麗! サイク、母さんの写真見せてくれた。母さん、歩く美人で、琥珀色の目は見つめるだけで魅了される、めっちゃ綺麗。で、サイク、母さんの目を受け継いでる!
ああああ! 不公平! 地球上のどんな女も君の綺麗な目欲しさに殺すよ、なのに髪で顔隠して無駄にしてる! バカ、サイク!! 君に感じた同情、返して! 見た目の魅力使えば、友達いっぱいできて、毎週違う彼女だってできるのに、一匹狼になりたいから無駄にしてる! 全然わかんない!
「ね、ユキ、聞いてる?」
「え? なに?」
彼の目に見とれてた。ほんと魅了される。なんて恐ろしい吸引力。
「友達や彼女、興味ないって言った。目見て、ほんとだってわかるよ。」
「う、うわ… 思ったより可愛いね。」
「え?」
うわああ! 言葉が勝手に! でも、仕方ない! なんでこんな可能性無駄にするの?!
「い、言ったのは… 君の目、こんなはっきり見たことなかった… 綺麗だね。」
「うわ… ありがと? 幽霊に見えるの気づかれないように、髪で目隠すのに慣れた。欠点もある。この髪型、変に見えるし、メガネかけられない。コンタクト使わなきゃ。めんどくさいし、快適じゃないけど、まあいいや。」
え? み、聞き間違い?
「サイク… メガネかけてた?」
「昔は。視力、めっちゃ悪い。1メートル先しか見えない。幽霊見えたせいで視力悪くなったかな。手術したけど、悪化しただけ。目が特別なのかな。」
サイク、メガネかけてた… ダメ、ユキ、もうメガネかけてないから、惹かれちゃダメ。
ユキ、君、10歳の女の子に見える、サイクにチャンスないよ! いい友達でいなさい、サイクとはそれ以上無理。だから、いい友達として、サイクに生きてる彼女を見つけるのが役目! か、大人っぽい幽霊の女の子。
サイクは最高の友達、ユキ、忘れないで!
はい、了解、了解!
「なんで敬礼?」
「ユキ司令官への敬意、サイク伍長。」
「わかった? まあ」と、彼も敬礼返した。
任務:サイクに彼女、少なくとも友達を!
「そういえば、スープ、どうだった? 料理、得意じゃないけど、挑戦してみた。」
「う、うん、美味しい…」
ほんと、料理できない。味、ちょっと変だけど、初心者だから文句言えない。それに、私のために作ってくれた、材料買って、テレビ見てる間に料理してくれたのに、文句言う権利ない。
「優しくしてくれてありがと。味、ちょっと変なのわかってるけど、少なくとも食べられる… かな。」
かな?! うわああ! お腹痛くならないといいな!
「もっと上手く料理する、約束する。」
文句言おうとしたけど、黙った。サイクが本気で上達しようとしてるのに、文句言えない。
…優しすぎる、でも自分勝手… 「サイク」ってやつ、ほんとは誰? 私にだけ優しい? それともみんなに? もっと知りたい。