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第0章 - 新しい人生

過ちのせいで、人生で最も大切なものを失った。単純で愚かなミスが、人生で最も大切な二人、両親を救えなかった…


彼らを救えなかった。死を防ぐために何もできなかった… 私は彼らを裏切った。


彼らがいなければ、幸せじゃない。彼らは私に喜びを与え、生き続ける理由をくれた人たちだった。彼らがいない今、生きる楽しみがない。なぜ生き続ける? 生きる理由がない。


普通になるために子どもの頃を犠牲にしたのに、それさえ成功しなかった。地獄のような生活を耐え抜いたのに、報われることすらなかった。


私の犠牲が少なくとも両親を世の危険から守れると思っていたのに、あの呪われたミスが原因で彼らを守れなかった… 約束を破った… 全身全霊で守ると誓った約束を。


生きていたくなかった。彼らは私の暗い人生の光だった。彼らがそばにいれば、人間らしく感じられた。怪物ではなく… でも、誰かが私の人生の最大の目的を思い出させてくれた。私の最大の夢。母と交わした約束… 普通の人になることが私の夢で、良い生徒になることが母の夢だった。


彼らを守るという約束を守れなかったけど、今度こそ、母との約束を果たすために何も誰にも止めさせない。普通の人になるという約束… 普通の生徒… 優秀な生徒… そして、普通で平和な学校生活を送る。


私は人生で何千もの恐ろしいものを見て、経験してきた。私の人生は普通とは程遠い。もう耐えられない。


私が夢見て母と約束した普通の人になる。そして、その約束を守るために何も誰にも止めさせない。


「あ、着いた」と私は疲れ果てて言い、バックパックを床に落とした。


孤独で退屈な人生になると思っていたけど、暗い人生に少しの光をもたらしてくれる誰かに出会った。


「おかえり、サイク! ハンバーガー買ってきてくれた?! ちょうだい、ちょうだい!」


私の小さな幽霊の友達が、いつものように明るく元気な笑顔で迎えてくれた。


小さな幽霊の女の子と一緒に暮らすのが普通じゃないことはわかってる。でも、彼女の存在は生きる痛みを少し和らげてくれる。彼女の存在は、誰かに必要とされていると感じさせてくれる… まるでまた家族ができたみたいに。


私の夢は普通の人生を送ること。それを実現するために何でもする。


両親の死後、母の記憶と自分自身に約束した。彼女の夢を叶えると。私はクラスの一番の生徒になる。


普通の人になり、クラスの一番の生徒になる。私のような人間にはほぼ不可能な二つの目標だけど、全力を尽くして達成する。心から約束する。


普通の人になり、クラスの一番の生徒になる。誓うよ。


第0章 - 新しい人生


(POV - ?)


「で、でも…! 俺のこと好きだと思ってた!」


ああ… ほんとに? また? なんでいつもこうなるの?


いつも同じ。いつも、いつも… いつも、いつも、いつも同じ、くそくらえ!


みんなに優しくしてるだけで、男たちは私が誘ってると思う… 私はただみんなに親切にしようとしてるだけ。なんで男たちは親切を誘惑と勘違いするの? 意味わからない。


私が優しいからって、断らないと思うの? 男も含めてみんなに親切にしてるからって、簡単に落ちる女だと思わないで。そもそも恋愛とかそういうのに興味ない。


どの男にも興味ない。


これまで男に興味を持ったことなんて一度もない。


ただ楽しくて、友達と学校生活を楽しみたいだけ。


恋愛に時間なんてない。


「親切を誘惑と勘違いしないで。」


「で、でも…! 俺、思ってた—」


「私はみんなに優しい。みんな同じように接してる。それに気づかなかったのは私のせいじゃない。ごめん、付き合う気はない。興味ない。」


ちょっとキツいけど、必要。これ系の男は「ノー」を受け入れないから、はっきり「ノー」って伝えないと。


誰とも付き合いたくない、ましてや友達とも思ってない人と。彼はただのクラスメイト、それだけ。


「なんとかならないかな—?」


「みっともない。」


え? 誰が言った? でも… この声、聞き覚えがある…


右を向くと… やっぱり、あの裏切り者だ。なんで学校の屋上にいるの? 先生との一件でここへの立ち入り禁止になったんじゃなかった?


「断られたなら受け入れろ。恥ずかしいだけだ。そんな態度続けてたら、その子が二度と口聞いてくれるとは思えないぞ」とサイクは携帯ゲーム機から目を離さずに言った。


いつも無礼でストレートだよね? だから学校のみんなに嫌われてる。なんで彼女が彼と一緒にいるのか、永遠に理解できない。


サイク、なんでここにいるの? 本当に何も気にしてないの? 君の行動は他人を傷つけるけど、そんなことどうでもいいんだろうね。


「口出しすんな、クソ裏切り者! 出てけ、ここはプライベートだ!」


「俺が先にいた。出てって、静かにゲームさせてくれ。」


「どうでもいい!」


彼はサイクに近づいた。


マジで喧嘩しようとしてる? 野蛮なやつ。


ああ… サイク、嫌いだけど、ボコボコにされるのを見たいほどじゃない。このゴリラがサイクを殴る前に止めなきゃ。言葉が通じなかったら、もうどうしようもない。


「へ、俺を脅そうとしてる? かわいいね。このレベル終わらせたら、やりたいなら喧嘩してやるよ。もうすぐ終わる。」


「ダメ! 立て、裏切り者!」


「…ああ… 我慢できないんだな?」


サイクはため息をついた。マジで怖がってないし、少しも心配してないの? めっちゃ変なやつ。


「終わらせよう。」


彼はゲーム機を切って立ち上がった。


本当に喧嘩する気? バカなの? 体格と体重の差が見えないの? サイク、こんなやつと戦ったら死ぬよ。


「いいよ… やってみな。ハンデあげるよ。」


目を閉じた… 本当にバカなの? 何しようとしてるの? 殴られたいの? 相手はめっちゃ強くてデカいのに。マジで少しも怖くないの? 意味わかんない。


「ほら、始めなよ、フラれた君。俺でもあの即フラれは感じたよ。心折れただろ? 可哀想に。ハグして慰めてやろうか、フラれた君?」


バカ! なんで挑発し続けるの?! 絶対殺されるよ! 止めなきゃ! 何もしなかったら巻き込まれて問題になる! サイク、めっちゃバカ!


「や、やめなよ! 殴らないで、お願い! そんな価値ないよ!」


「死ね、裏切り者!」


私の言うこと聞かなかった!


目をぎゅっと閉じた。こんな惨劇見たくない。


サイクが殴られる音しか聞こえない… 可哀想なやつ。哀れむ価値ないってわかってるけど、殴られる音聞いてたら同情しちゃう。


自分で招いたことだけど、助けられなかったのが辛い。


助けられないよ、彼は私の言うこと聞かない。フラれたから私を嫌ってるだろうし。


ごめん、サイク。保健室に連れてってあげるし、ちゃんと面倒見るよ。少なくともそうすれば怪しまれずに学校で問題にならない。


「…ああ… こんなこと避けられたのに。」


そのため息、知ってる… ありえない。


「え?」


目を開けたら、サイクがその男の背中に座ってた… ありえない… 勝ったの? どうやって無傷なの? サイクの体にダメージの跡が全然ない。相手は両目が黒く、唇と鼻から血が出てたのに。


「ねえ、君。」


「私?」


ま、まさか私を殴ったりしないよね。女の人を殴ったって噂聞いたけど、向こうが先に殴ったって話だし。私、殴ってないから、たぶん私も殴ろうとしない… だ、だよね?


お願い、殴らないで。


「そう、君。このやつを保健室に連れてって。正当防衛の証人になってよ。」


セーフ。


「う、うん。」


彼を起こした。うっ、汗と… 血の匂いがする。サイクにかなりやられたな。


サイク、見た目より強いね。彼がやったって噂や強さの話、本当だったんだ。誇張だと思ってたけど、そうじゃないみたい。


サイク、絶対今まで会った中で一番変なやつだ。


「く、くそくらえの変人。」


喋るな、バカ、死体運びたくない。


「はは、俺が君より強いから変人? ふふ、泣き虫だな」とサイクが嘲笑った。


彼はまた座って、何事もなかったかのようにゲーム機を再開した。こんな状況が彼には普通なの?


「ちっ、行くよ。」


「ねえ、怪我してるんだからゆっくり歩いて。」


最後にサイクをもう一度見た… 変なやつ… 関わらない方がいいね。


ドアを開けて階段を降りた。




(POV - サイク)


…よし、行った。


やっと静かになった。


なんで男って屋上で告白したがるの? 全然ロマンチックじゃない。俺なら一緒にご飯食べに行ったり、公園で気持ちを伝えるけど。


彼女に家で付き合ってくれって言ったけど、今思えばもっと普通にすればよかった。まぁ、済んだことだ。彼女はOKしてくれたから、結果オーライ。


あ、そうだ、図書館で会う約束したんだ。一緒に午後中勉強するって… うーん、まだ10分くらいゲームできるかな。


「ユキ、助けてくれてありがとう。」


「ふふ、頭なでなでのご褒美もらえるよね?」


「はいはい、よくやったよ。」


私はユキの頭をなでた、私の小さな幽霊の友達。


「褒めてくれてありがと、サイク!」


俺の名前はサイク、17歳、高校2年生。


誕生日は9月4日で、変なやつだ。


物心ついたときから、なぜか幽霊が見える。


それのせいで子どもの頃は大変だった。親やクラスメイトに「独り言」を言ってると思われて、友達がいない一匹狼になった。


正直、孤独は嫌いじゃなかったから、一匹狼なのは気にならなかった。結構リラックスできたし。


「もっと人をやっつけた方がいいね! 褒められるのめっちゃ気持ちいい! もっとナデナデして!」


ユキはこの世界で唯一の本当の友達。裏切らなかった数少ない友達の一人。


彼女には新しい家に引っ越したときに会った… あ、もう1年以上経つんだ。時間って早いな。




全ては別の街の小さな家に引っ越したときから始まった… まぁ、めっちゃ小さい家ってわけじゃないけど、前に住んでたでかい屋敷に比べたら小さい。


この家は亡くなった母方の祖父母のものだった。安らかに眠っててほしい。


彼らが亡くなったとき、母がこの家を相続したけど、別の街に住んでたから使わなかった。


そして両親の死で、この家は俺のものになった。


両親は交通事故で即死だった… 俺は何もできなかった… あ、あんまり考えない方がいい。


叔父や叔母はいないし、父方母方の祖父母ももういない。


誰もいないから、今は一人で暮らしてる。


この街に引っ越したのは、新しい人生を始めたかったから。俺の噂も、子どもが空想の友達を作るのは普通だってことで薄れた。幽霊だと気づいてからは、話しかけるのをやめて無視した。


いじめられたから引っ越したんじゃない。前の家に住み続けたくなかったんだ… 両親の死をまだ乗り越えられてない。あそこにいたら、ずっと罪悪感と悲しみでいっぱいだった。そんな気持ちでいたくなかった。


「新しい人生… あ、うまくいくといいな。」


新しい家に入って、深呼吸した。


「よし… これが新しい人生の始まり… ビデオゲームやるぞ。」


「お、男の子! ふふ、怖がらせてやる。」


テレビと違って、幽霊は自分で物を動かせたり触ったりできない。


幽霊もそんなに多くない。


この街に来てから、目の前にいるこの女の子を含めて、幽霊は2人しか見てない。


「ブー! 怖いだろ?! ゾクゾクしてるのわかるよ! ビビってる! 偉大で強力なユキの前に震えなさい!」


ドアを閉めた… よし… めっちゃ可愛いって認めざるを得ない。10歳くらいの小さな幽霊の女の子。長い白い髪、青い目、可愛いクマの絵がついたピンクのブラウス。


めっちゃ普通の女の子に見える。なんで幽霊ってわかるの? 透明だから? 違う。ほとんどの幽霊は地面の上を浮いてる。足が床に触れることはめったにないし、触れても通り抜ける。


この子は足が床を突き抜けてた。


「ふふ、私が見えたら怖がるよね。」


全然怖くないよ、めっちゃ可愛くて愛らしいよ、ちっちゃい子。


彼女は私の顔の前まで浮いてきて、怖がらせようとした。


「ムハハハ!」


その悪そうな笑い声なに?


私の無表情な顔が彼女を騙してる… わざとじゃないけど。


笑うのあんまり好きじゃない… 俺、シリアスなやつだから。


彼女は私に見えてないと思ってるから、怖がらせられてるって感じるのも無理ない。


髪で顔を覆って、俺の顔をなでるふりした。ホラー映画の幽霊みたいだと思ってるんだろうな、めっちゃ可愛い。


「ブー! 魂持ってくよ!」


「いや、必要だから遠慮しとく。」


彼女の頭をなでた。


「可愛いね、名前は?」


「…え?」


彼女は急に離れて、俺が見えるなんて思ってなかったから、恐怖の目で俺を見た。


「み、みみ、見えるの?!」


こうして私の新しい人生が始まった。

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