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同人誌

支払いを済ませて店を出るとわしは魔王の質問の意図を考え始めた。

「あやつは人間の文化には価値がると言って負った。滅ぼす気はないとも。じゃがすべての魔族がその考えに賛同してるとは思えんの。むしろ逆じゃろう」

アルクは少し考えてから言った。

「あぁ、奴も言った通り基本的に魔族は人間を見下している。奴のような考えを持った魔族は少数派だろう」

「あやつは人間の起こす戦争を危惧しているようじゃった」

「戦火が広がれば隙を見て魔王の意思を無視して魔族達が攻めてくる可能性もあるか……」

「そもそも魔王が言っていた言葉は真実なのか?お主はどう思う?」

「嘘をついているようには見えなかったな。今代の魔王が人間との争いを禁じているのは有名な話だしな」

平和主義な魔王。漫画とラノベについてもわしの思惑を察知しているようじゃった。


娯楽を通じた近代的価値観の流布、そこから来る変革と平和的な解決論。

まぁぶっちゃけフィクションにどっぷり浸からせれば平和ボケするじゃろうという思惑じゃ。

日本人がそうなようにの。



大分漫画とラノベも浸透してきている。そろそろ次の段階に入るかの。



「同人誌?なんだそれは」

「ファンメイドみたいなもんじゃ」

「ファンメイドかなるほど。ファンが作った創作物のことを言うのだな」

「それで、これからその同人誌を買いに行く」

「わかった。それで何冊くらい買うんだ?」

「まずは5冊くらかの人気のある作品にしぼって同人文化を浸透させる」

「なるほどな、そういう考えか」

「そしてこれはアングラで流行らせるのじゃ」

「表の流通ルートには乗せないということか?」

「そうじゃ、あくまでファンがこっそりそれでいて情熱的に描くように浸透させるのじゃ」

「そうか、同人紙とはそのようなものか」

「そうじゃ」

「それでそれはどこにあるんだ」

「着いたのじゃ、ここじゃ」

「こ、これは……!」

「これが同人紙じゃ!」

アルクは手近な同人誌を取って中身を見た。

「エロいマンーガじゃないか!」

「そうじゃ、エロ漫画じゃ!」

騒いだので周りの連中の目を引いてしまった。

「しー、店内ではお静かにじゃ」

「しかし、こんなものを流行らせるのか?」

アルクが小声で言った。

「そうじゃ、エロこそ全ての原動力になるのじゃ」

「しかしこんなものを…?道徳が乱れやしないか?」

「お主は頭が固いのぅ。こういうものがあってこそ社会に活力が宿るんじゃ」

ちなみにわしがこんな店にいても追い出されないのは幻術を使っているからじゃった。


そして早速複製に取り掛かった。

このころには大分規模も大きくなりそれなりに従業員もいた。

とりあえず100部ずつ複製して裏ルートに流した。

ちなみに正規ルートで流れている漫画とラノベには複製禁止用の特別な印が押してある。

この印がないものは厳格に取り締まられ罰則がある。国の後ろ盾があるからこそできることじゃ。

じゃが裏ルートで流す同人誌にはこの印がない。複製し放題じゃ。

これで一機に流行るのを狙う算段じゃ。


わしの思惑通り1月後には表で漫画とラノベが流行る一方裏で同人誌はで大分流行った。


その後その都度新しい同人誌を流していく。

そして3か月後にはその効果が表れたのじゃ。

そう、わしが輸入したものではない同人誌が生まれたのじゃ。


たかだか1年数か月の間に二次元の絵を模倣できる人間が出てきたということ。

この時を待っていたのじゃ。



一方そのころ帝国内部では邪神復活の儀式が行われていた。

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