初陣
「何故じゃ?なぜ帰れぬのじゃ?」
聖神に祭り上げられてすぐ天界に帰ろうとしたわしじゃったが、天界に帰るための次元の扉は開かなかった。
「なぜなのじゃー!!」
わしは癇癪を起した。
「随分あれてるな」
「なんじゃ……アルクか」
「あれだけ成りたがっていた神になれたんだ。もっと喜んだらどうだ?」
「ふん、天界に帰れぬなら意味などない」
「そういうなよ聖伸様、お前のお蔭で今回の戦勝てるかもしれない」
「そうかの、敵はこっちの3倍近いんじゃろ?」
「あぁ、だが何せこっちには神が付いているんだ。兵士の意識が違う」
アルクには珍しく浮かれているように見えた。兵士たちの空気にあてられたのかもしれない。
「それでも3倍という戦力差は脅威じゃろ」
「そこは聖伸様のさらなるご加護に期待かな?何せこっちにはお前が造った聖剣もある」
「あれはそう大層なものではない気がするがの……」
そして決戦の日は来た。
敵兵力5万に対しこちらの兵力は2万。数の上では圧倒的に不利だった。
しかし、アルナが前日に施した祝福の効果(ほとんど意識の問題だが)によって戦意はこれ以上なく高まっていた。
そして戦いが始まった。
アルナの祝福を受けた兵士たちは普段では信じられない戦果を上げた。
そして特筆すべきは先頭を任された者たちである。彼らは新たにアルナによる加護を受けた。
その勢いは凄まじく一人一人が兵士数十人に匹敵する戦果を上げた。そして聖剣を持つ騎士団長の一撃は一度に数十の敵を吹き飛ばした。
この勢いに恐れをなしたゲルムンド兵は撤退することになった。が、その時には兵士の半分を失っていた。
歴史的大勝利である。これによりアルナの聖神としての信仰が完全に確立する。
「アルナよ。いや聖神様と呼んだ方が良いかな?此度の戦、貴女のお蔭で勝つことが出来ました。1国の王として礼を言います」
「よすのじゃ。お主にそういう態度を取られるとなんだかむず痒くなる」
「……そうか。ではアルナよ、聖神としてこれからもこの国を導いてほしい」
「まぁ、暫くはの」
暫く帰れそうにないからの。
「さしあたって撤退したゲルムンド軍だが、奴らはまだドラルにいる。この後再び我らとともに戦いドラルを開放して欲しいのだ」
「まぁ、乗り掛かった舟じゃしの」
わしは基本的に祝福を与えるだけじゃから楽なもんじゃ。
信仰もたっぷり集まったしの。
さて次はドラルをちょちょいと取り戻してやろうかの。




