元鞘作戦
わしは考えていた。
元鞘に戻すと言ってもどうすれば良いのかの?
やっぱりまずはジョゼフィーヌの実力を認めさせるところからかの。
わし等もその実力を認められて気に入られたようなものじゃしな。
まずはあやつがジョゼフィーヌをどう思っているのか確認じゃ。
わしはそれとなく馬鹿王子に聞いてみた。
「ジョゼフィーヌをどう思っているか?だと?」
すると奴はあからさまに不機嫌になった様子で、
「あれは駄目だ。嫉妬深く品位にかける。人の上に立つ器ではない」
と言った。
あんまりにも評価だった。
「いやしかし——あの娘もなかなかどうして凄いじゃないか。精霊であるサンマンダーを召喚したりとか」
「聖獣や聖龍には劣る」
藪蛇だった。
「しかしのあの娘の言うことにも一理あるのじゃぞ?」
「何を?」
「聖女であるわしが王太子を誑かしているなどという噂はないに越したことはないのじゃ」
「誑かさてるのではない。ただ私が其方を好きなのだ」
「お、おう……一国の王太子が年端もいかない幼女に骨抜きというのはどうにも世間体が悪い」
自分で言ってて嫌になってきた。
「私は一向にかまわない」
「わしが嫌なのじゃ」
「ふ。照屋さんめ」
こいつの目玉は腐っておる。抉り出してやろうか?
「アンナも注意を受けたというがそれも平民であるアンナの身を案じてのことなのではいか?」
「馬鹿な。あいつに限ってそれはない。私はあいつをよく知っている」
うぬぼれた男の思い込みほど厄介なものはそうはないの。
「とにかく。あの娘と仲直りするのじゃ」
「なぜそこまで彼女の肩をもつ?アルナはこの前泣いていたではないか」
お前のせいだと思ったが、めんどくさくなるので言わないでおいた。
「だというのにジョゼフィーヌを庇いあまつさえ仲を取り持とうということは——」
お、こやつとうとう気づいたか?そうじゃわしはお前が嫌いなのじゃ。はっきり言っておる。
「なんという慈愛……これが聖女の慈悲か……まさに女神が所業」
そっちかーー駄目だこいつ。早く何とかしないと……
「とにかくもう少しジョゼフィーヌと仲良くするのじゃ。よいな」
「わかりました。私のかわいい女神様」
わしは女神ではない男神じゃ。
こうして元鞘作戦一日目は失敗に終わった。




