会議
ドラゴンの卵をどうするかで会議になった。
「王よ。危険すぎます。このまま処分するのが良いかと思われます」
大臣の一人が言った。
処分するじゃと?そんなのかわいそうなのじゃ。
「それはどうでしょう?うまく育てることができれば、この国の守り神になるでしょう」
神官が言った。
そうじゃそうじゃ。その通りなのじゃ。
「しかし、それはリスクが大きすぎるのではないか?」
む。
「貴重なドラゴンの卵。むざむざ潰す道理もありますまい」
そうじゃ。もっと言ってやるのじゃ。
「お前はドラゴンが邪龍と化した場合その責任がとれるのか!」
むぅ。
「そうと決まった訳ではないでしょう。ドラゴンが戦力として加わった場合諸外国への牽制にもなります」
そうじゃそうじゃ
「うむ……お前はどう思う?」
王は宰相に尋ねた。
「ドラゴンの卵は魔力を吸収して育つと言います。注いだ相手を親とも認識するようです。聖女の魔力を吸収させ育てれば聖龍が生まれ我が国にとってこれ以上ない守り手となるでしょう」
「ふむ」
王はしばし思案した後言った。
「聖女アルナよ。そなたにドラゴンの卵を託す。これより卵に魔力を与え孵化させるのだ。重要な使命だ。よいな?」
「引き受けたのじゃ」
よし来た。まかせるのじゃ。
「待って下さい。でしたら聖女であるのはマリアンヌ殿下もまた同じ、ここはどちらに託すべきか議論すべきではありませんか?」
さっきまで処分しろと言っていた大臣が掌を返したように言った。
ははぁ。読めたわ。ようはここでも権力争いかの。
両社もっともらしい理屈じゃったが、ようはこれ以上教会の力を大きくしたくない大臣派閥と力を大きくしたい教会側の権力争いじゃ。まったく人間とはしょうもないのぅ。
「しかし、此度のドラゴン退治、尽力したのはアルナだ」
「だからと言って——」
「ならばよりふさわしき方。聖女としての力が強い方に卵を託そう」
「いや、それは……」
大臣は口ごもる。どうやら実績も力もわしの方が上のようじゃった。偽聖女なのになんかすまんの。
神が聖女名乗っとるんだからある意味チートじゃからのぅ。
「決まりだ。聖女アルナよ。ドラゴンの卵を孵化させ。この国の守り神を誕生させるのだ」
「まかせるのじゃ」
後に残ったのは苦虫を嚙みつぶしたような顔の大臣とニヤリと笑う神官の姿だった。




