第二十六話〜妻の日記〜
「どうした、ブラボー?」
僕は途中まで言いかけるが、まだ確信がないので言うのをやめた。
ジャスパーがそのことについて不思議そうに僕に尋ねた。
「いや、なんでもない。あのさ、夫が失踪したのが何年前か調べてみない?」
「わかった。」
僕たちは部屋の探索をする。
僕はひたすら本を読み漁った。
みんなで分担して本を読み漁った。
全部読み終えたが、手帳にあったアマドコロについて書かれた本を見つけただけで、これといった情報は見つからなかった。
この部屋には何もなさそうなので次の部屋に行こうとしたとき、先輩が引き出しの下に何かがあるのを発見する。
引き出しは足がついていて、床との間に少しだけ隙間がある。
「引き出しの下になにかあるみたい。」
先輩は引き出しの下を指差した。
「ほんとだ。なにかあるね。」
アンデットはそう言うと引き出しの近くまで行く。
アンデットはしゃがんで引き出しの下にある何かを取り出した。
それは何かの書物だった。
アンデットは書物を開いて、中の文章を声に出して読み始めた。
「十一月二日。
この前、はながこの世を去った。
あまり姿を見ないなと思ったまま、眠ってしまった過去の私をいま、とても憎んでいる。
あのとき、はなを探していれば、最後くらい一緒にいてあげたかったな。」
アンデットはページをめくる。
「六月九日。
今日は私の誕生日。
今日はこの洋館に引っ越してきて二十年が経つ日でもある。
この洋館に引っ越してきたのは私の誕生日だったはずだから。
にしても夫が今日は街に出かけるって言ってたけど、もしかして私の誕生日プレゼントを買いに行ってくれたのかな。
夫の帰りが楽しみだな。」
アンデットはまたページをめくる。
「あれから夫が帰ってこない。
街に行ったきり帰ってこない。
何かあったのかな。
あの日は雨も酷かったし。
理由を教えて、誰か。
夫はどうしてしまったの?」
アンデットは本を閉じる。
これは妻の日記のようだ。
引っ越してから二十年が経つ日に夫は街へ買い物。
これは手帳の二ページ目に書かれていた日と同じ日に書かれたものだろう。
そうなると夫が失踪したのは十年前。
この洋館に引っ越してきたのが今から三十年前だもんね。
その日は雨が酷かった。
ジャスパーの母親が土砂崩れに巻き込まれそうになったのも十年前。
やはり、夫が急に姿を消したのは土砂崩れに巻き込まれたからなのではないだろうか。




