第十九話〜捧げ物〜
「あれ、ここは?」
僕は周りを見渡す。
先程までいたはずの病院ではないことはあきらかだ。
「この木、大きいね。」
目を覚ましたアンデットが木を見て言った。
「もしかしたら病院を作るときに切り倒した大樹かもよ?」
先輩が言う。
「近くに村があるもんね。」
そう言うとジャスパーは後ろに見える村の方を向いた。
「あの村の名前はなんて言うんだろ。」
僕はそのことが気になり、通りかかった人に尋ねてみた。
「すみません。ここはなんていう村ですか?」
「ここはチュテレール村だよ。」
村の人は言った。
「チュテレール村?」
ここはチュテレール村らしい。
てことはあの大きな木は病院を作る際に切り倒された大樹なのかな。
でもなんでだろう。
大樹があった場所には病院があって、今はもう大樹は存在しないはずなのに。
僕は思った。
「もしかして、過去に戻ってる?」
必死に考えた結果がこれだった。
そうとしか考えられなかった。
過去に戻らない限り、僕達が大樹を目にすることはできないはず。
過去に戻ったのならどうして過去に戻ったのだろう。
あのとき病室に飾ってあった花に触ったのが原因だろうか。
僕が考えていると、先輩は言った。
「ここはチュテレール村で大樹があるってことは過去に戻ったのかもしれないね。もしそうなら神社がどこかにあるはず。」
「あっ、そっか。神社!」
僕は神社のことを忘れていた。
えっと、神社に捧げ物をするんだったっけ。
「でも、捧げ物って何でもいいのか?」
ジャスパーが言う。
「シマツナソ村のときはうまくいったけど、今回もうまくいくとは限らないぞ。」
ジャスパーが続けて口を動かした。
「たしかにそうだね。あのときはたしか、サザンクロスっていう花を捧げた気がする。」
僕は記憶をさかのぼった。
「なんでサザンクロスを捧げたの?」
アンデットが不思議そうに僕に尋ねた。
「え?とっさに掴んだのがサザンクロスだったから。」
僕は答える。
「理由はないんだね。」
アンデットは言った。
「お花を捧げたんだね。花って言えばだけど、花言葉が関係してるんじゃない?」
先輩が言う。
そう言うと先輩はサザンクロスの花言葉を僕たちに教えてくれた。




