第十二話〜神社〜
どうやら本には『神社』について書かれていたらしい。
この村にはたまに、あるはずのない神社の目撃情報が届いていたらしい。
その神社を見たという人たちは決まって朝早くに外を出歩いていた人で、朝四時に目撃されていることがわかった。
神社は村の南側に出現するのだとか。
その神社は見かけても少しすると消えてしまうらしい。
時計が四時から四時一分をさすようになると、神社は見えなくなるというのだ。
神社が現れるのはその一分間だけなのかもしれない。
その神社に叶えてほしいことを考えながら何かをお供えすると、その願いが叶うらしい。
その『なにか』は何でも良いのだろうか。
僕は一瞬そう思った。
「人間に戻れるかな。」
アンデットは呟いた。
「戻れるさ。」
「僕達が絶対に人間に戻してあげるから。」
僕たちはアンデットに言った。
神社にお供え物をすればアンデットのことを人間に戻せるかもしれない。
「ジャスパー、今何時かわかる?」
僕はジャスパーに聞いた。
ジャスパーは腕時計をしていた。
「ああ、えっと三時四十八分だな。」
ジャスパーは腕時計をみて言った。
今外は少しずつ明るくなってきているだろう。
僕たちは気づかぬうちに夜更かしをしていた。
今は朝の三時四十八分だ。
「もうすぐ四時だ!」
僕は驚いた。
「え?もうそんな時間?」
アンデットも驚いている。
僕たちは急いで地上に戻ろうとした。
しかしこのタイミングで地震が起こったのだ。
揺れが激しく、部屋にあった家具が移動するほどだ。
「地震!?」
「結構揺れがすごい。」
「机は!?」
僕はこんなに揺れの大きい地震を体験したのは初めてだった。
揺れは数十秒間続いた。
普段なら一瞬出すぎてしまうが、この数十秒はとても長く感じた。
ゴロゴロゴロ
この揺れの衝撃で部屋の入口あたりの天井が崩れ、入口が塞がってしまう。
「あっ!!入口が。」
入口が塞がってしまったことに気がついたアンデットが言った。
「入口が塞がってたら地上に行けない……。」
ジャスパーは入口を見て表情が暗くなる。
「どうしよう。」
このとき僕は隠し通路があることを思い出した。
「そうだ、この部屋には隠し通路があったはず!それを見つければ地上にいけるかも!!」
僕は二人に聞こえるように言った。
普段よりも少し大きな声を出した。
「隠し通路?地上に繋がってるの?」
「うん。この部屋について書かれた本に書いてあったんだ。三人で探そう。」
「うん!」
僕たちは一生懸命隠し通路を探した。
しかしなかなか見つからない。
「どこにあるの?隠し通路!」
ジャスパーが言う。
「どうしよう。もう四時まで時間がないのに。」
アンデットも続いて言った。
「あきらめないで!この数分で見つけられるかもしれない!」
僕は諦めずに隠し通路を探した。
そのとき僕は気づいた。
少し大きめの本棚にある本のいちがズレて、なにかのスイッチが見ていることに。
「もしかして!」
僕はスイッチに気づくなり、手を伸ばした。
カチッ
スイッチを押すと、ギーという音とともに隠し通路が現れた。
「二人共、急いで!」
僕は二人に言った。
隠し通路に一番近かった僕は急いで地上へと向かった。
二人もついてきている。
僕は地上に出るなり、村の南側に急いだ。
全力で走る。
「神社だ!」
僕は神社の鳥居をくぐる。
「届け!!」
僕は神社に入り、急いでお供え物をした。
とっさに手につかんだのはサザンクロスという花。
このときはアンデットを人間に戻したいという気持ちで頭がいっぱいだった。
間に合わなかったらと考えると、より急いでしまった。
お供え物がこれで良かったのかは分からないが、時間内にお供えすることができた。
するとアンデットの体が光り始める。
アンデットの肌はどんどん肌色へと変化していった。
「良かった。」
僕は安心して、その場に足から崩れた。
アンデットは無事に人間に戻ることができた。
日の光に照らされ体が燃えかけていたアンデットだが、人間に戻れたことで体が燃えるのは止まった。
「人間に戻れた……。」
アンデットは目に涙を浮かべる。
ジャスパーはアンデットの隣で、人間に戻れたことを喜んでいた。
僕もアンデットが人間に戻れたことに喜んだ。
「二人共ありがとう。」
アンデットは涙ながらに笑顔を浮かべた。
気がつくと神社は消えていて、そこにはなにかの花の形をした宝石のかけらが落ちていた。




