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絶対にイケるっ!
どの作品も勝ちヒロインだの負けヒロインだのオタクが、熱を上げて論争を巻き起こすけど私には関係無い。私は勝ちヒロインよ、と信じていたが、夢に出てきた誰かさんが語るには、
『キミは負けヒロインかもよ? そうと決まったわけでは無いけどね? ははははははははは!』と加重トレーニングをしながら語っていました。
なぜ私が負けヒロインとなるのに、彼は笑っているのかが分らないが、勝ちヒロインになる可能性は残っているので良しとしよう。まだまだ私は――
「絶対にイケるっ! 勝ってみせる! あんな女なんかに負けてたまるかっ!」
外人みたいなイントネーションで叫んだ小苗。
「おーい。何が絶対にイケるんだー春滝ー?」
怠そうに教鞭を執っている秋田安喜先生が、教科書を丸めてミサの頭をポンポンと叩いていた。
「木魚みたいに叩かないでくれますか・・・・・・?」
「魘されていると思ったら急に奇声を上げたからな除霊しているだけだ」