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爆縮と体温の機知(10)

改変は盤石な者から行う

解体された家の亡骸は

トラックに積まれて

何処かへ消えた

気づいた時には

地肌の見えた

何も無い空間だけがある

風景が変わり

記憶が変えられていく

新しいことには

そういう形が必ずある

誰もいない空間であり

誰かが準備している時間でもある

過去に縛られてはいけないが

良い思い出までも

脳内から摘出されるべきではない

それは

ただの自己否定である


大きな松の木が

切り株だけになっていた

年輪が表に浮かび

それまでの数を見せてくる

この木の下で

よく休憩をしていた

水筒のスポーツドリンクを

友達と話しながら飲んだ

次の遊びを考えて

それから

日向へと飛び出して行った

何回も見送られ

何回も集まり

何回も休んだ場所だった

この切り株も

無くなると聞いた

別のものに変わるのだろう

新しいと言われるものへと

変わるのだろう


大切なものは変わる

変わらないものは

無いのかもしれないが

変えないようにすることが

人間の知恵の一つであった

今はもう

未来のことにしか

知恵を使わない

その分だけ

考えられなくなっているのだ

効率化は

昔のことも含められるからこそ

胸を張れるものになる


何度も上塗りすること

回転率を上げるならば

二十代でも

既に古いのかもしれない

今昔合わせて

未来と出来ないのは

考えが及ばないからだろう

記憶を変えられ

場所を変えられ

その内

感情も感覚も変えられるのか

誰にだ

不特定多数の誰かにだろう

そんなことはご免だ

ゆったりとした人殺しと同じである

日陰で過ごすような話だ

背にある形に守られていることを

忘れている者の所業

いや、既にある者かもしれない

だとしたら

それを壊しても

文句は言われないだろう






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