精霊との契約
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仕事を終えて、小屋に帰ってくると、
母上が、ご飯を作ってくれていた。
最近の母上は、身体が弱ってきており、仕事にも出れない日々が続いているが、
自分達のご飯だけでも作りたいと、無理をして起きているみたいだ。
「お帰りなさい。
ご飯が出来ていますよ。一緒に食べましょう。」
「爺はまだ帰ってきてないんだね。」
「今日から、夜警の見回りの仕事もするみたいです。
私が出れない分、その埋め合わせをしろと言われたみたいで…」
「そうですか…
爺も年なのに、無理をさせてしまっているんですね。
良いでしょう。その夜警は、明日から自分がします。」
「大丈夫なのですか!?
傷が癒えたばかりなのに、無理をしてはいけませんよ!」
「大丈夫ですよ!
むしろ、前より調子が良いぐらいです!
母上や爺の分まで一生懸命働きます。
安心して、身体を休めてください。」
「うぅ…
私が不甲斐ないばかりに、ごめんなさいね…」
母上には、楽をさせて安心させてあげたい。
だが、心優しい性格なので、自分を責めてしまっている様だ。
ふと、なにか呻き声がするなと思うと、火の精霊が泣いていた。
「ええなぁ…親子愛っちゅうやつやな。
健気やなぁ…」
精霊というのは、涙もろいみたいだな。
感極まって、ボロボロと涙を流している。
「よっしゃ!
早く、こんな所から逃げ出せるように、
飯食ったら精霊の契約と魔法の練習といこか!」
精霊が張り切り出し、早くご飯を食べろと急かす。
私は、かきこむようにしてパンやスープを胃に流し込むと、
立ち上がった。
「どうしたのです?
そんなに、急いで食べて?」
「母上、身体を鍛えに外へ行きます。
これから、仕事も増えますので。」
「分かりました。
くれぐれも、無理をしてはなりませんよ」
外へ出ると、精霊が木の上に座っており、
喋り出した。
「改めて言うけど、ワイは火を司る精霊や!
これでも、4大精霊の一角を担ってるんや!
凄いやろ!」
「4大精霊?他にもいるのか?」
「ワイを含めて、火、水、土、風を司る精霊がおる。
そんで、その上にワイらを束ねる大精霊がおるんやけど、
こいつが頭硬いねん!ホンマ!」
「ほう。他にも色々といるのだな。」
「せやで。ワイは火を司ってるから、
火の魔法が一番得意やねんけど、
他の魔法も、一般の魔法使い程度の力は行使出来るで。」
「なるほどな。それで、契約とは一体どうすれば良いのだ?」
「契約は、兄ちゃんがワイに名前を付けて、兄ちゃんの血をワイが飲めばそれで完了や。」
「分かった。名前か…
そうだな。何がいいだろうか?」
「カッコいい名前がええな!
ま、兄ちゃんに任せるけど、ええのを頼むわ!」
「そうだな…
火か。トラでどうだろうか?」
「トラ!
ふーむ、なんか安直やけどええわ!
これから宜しくな!ユウ!」
「ああ。宜しく頼む、トラ。」
「そいじゃ、次は、血を飲ませてもらうで。
ちょっと、人差し指を出してくれるか。」
私は、右手人差し指をトラに向けて見せた。
「ちょっと、痛いかも知れんけど、
我慢してや。」
そう言うや、風が吹いたかと思うと、ピッと人差し指の腹が切れ、
一筋の切り口から、血がポタリと流れ出た。
気がつくと、トラが目の前に来て、
ペロリと指を舐めると、トラの身体から光が出始めた。
「よっしゃ!これで契約は完了やで!
次は、魔法の練習やで」
そう言ってトラは、意気揚々と、
屋敷の庭の中央へと向かって行った。