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お人好しの最強剣士  作者: 善人
1章〜転生、ユウ少年期〜
7/9

精霊

「おい!ユウ!こっちに来い!」


ある程度回復し、仕事に復帰したらすぐに、

ギルに呼び出された。


「オラ!呼ばれたら、すぐに来い!

 このノロマ野郎!」


ドカッ!

まるで挨拶がわりだという様に、

蹴りを喰らわされた。


「テメー、あれぐらいで寝込んでんじゃねぇぞ!

 テメーのせいで、父上に怒られたじゃねぇか!」


ドカッ!バキッ!

蹴りや、拳が雨あられと降り注ぐ。

ギルは18歳で力も強い。

とてもではないが、8歳も下の10歳の子供にする仕打ちではない。


私でなければ、すぐに身体が壊れてしまうだろう。

私は、呼吸法や体捌きで、この程度の攻撃なら無効化して、

上手くやられたフリが出来る。


「はぁはぁ、またやり過ぎて父上に怒られるのは嫌だからな。

 このぐらいにしといてやるよ。

 じゃあ、また明日な!出来損ない君!」


気が済んだみたいだな。

今は、前世の技術でなんとか誤魔化しているが、

身体能力の向上が必要不可欠だな。


とはいえ、仕事やギルの相手で体力や筋力を鍛える時間もない。

どうしたものかと、悩んでいると、声が聞こえた。


「ほー!あんだけ、クソガキに毎日痛めつけられて、

 今日もボコボコにされとんのに、ケロッとしとる!

 中々、打たれ強い奴やで!」


うん?前世の世界で馴染みのある方言が聞こえたぞ。


何処から聞こえるのかと、辺りを見渡せば、

狛犬の様な、得体の知れない物体が庭の木の上で、こちらを見下ろしていた。


「子供のくせに、見どころあるやんけ!

 うん?こいつ、俺の姿が見えてる?

 明かに、俺を見つめてるやん!」


狛犬みたいな物体に話しかけてみる。


「おい!」


「なんやねん!ビックリするやん!

 兄ちゃん、俺を認識するとはなー!

 人と話すのは、100年ぶりやで!」


「おまえ、何者だ?

 なぜ、狛犬が喋っている?」


しかも、なぜ関西弁なのだ。

狛犬みたいな物体は、やたら饒舌に話してくる。


「おいおい、兄ちゃん、

 狛犬てなんやねん!

 俺は、この家と土地の守り神みたいなもんやで。

 精霊といった方が分かりやすいかなー。

 精霊って知ってる?まぁ、今の若い子は知らんかなー?」


「精霊?精霊とはなんだ?」


「精霊っちゅうのは、この世界を作った神々の眷属や。

 たまに、気に入った人間と契約を交わして、力を貸したりしてんねん。」


「ほう。力を貸してくれたら、何が出来るんだ?」


「めっちゃ強力な魔法が使えるで。しかも、俺の姿が見えるぐらいやから、

 いろんな精霊と契約を交わして、たくさんの魔法を扱えるんとちゃうか。」


「魔法?魔法とはなんだ?

 お前と、契約を交わさないと魔法は扱えないのか?」


「魔法を知らんのかい!

 たく、最近の若いもんは。

 よっしゃ!見せたるで!」


 そういうと、犬は何もない空間から、

 火の玉を作り出した。メラメラと火の玉が浮かんでいる。

 そして、それはすぐにフッと消えた。


 「どうや!こんな感じやで!

  凄いやろ!特に俺は、精霊の中でも力が強いからな!」


 「確かに凄いな。

  初めて魔法をみたが、何もない空間から火を出すとは大したものだ。」


 「そうやろ!ただ、空間は何もないわけじゃないで。

  マナっちゅう魔法を扱う素があるんやで。

  精霊達は、マナを扱えるのが非常に上手いんやで!」


 「精霊達と契約しないと、魔法は使えないのか?」


 「そんな事はないで。

  スペルを唱えたり、書いたりすれば扱える。

  精霊と契約すれば、そんなメンドイことせんでも、

  頭の中でイメージすれば魔法を扱えるんや!」


「それは凄いな。

 守り神と言っていたが、この家の者達ともう契約しているのか?」


「そんな訳ないやん!

 何代か前の当主がオモロイ奴やったから、

 お前の子孫と家を守ったるわって、約束したからここにいるだけやで!」


「じゃあ、私と契約してくれないか?

 この家から逃げ出したいのだが、今は力もなければ金もないのでな。

 藁にでもすがりたい所なんだ。」


「ええやろ!

 兄ちゃん見所ありそうやし、一緒におったら退屈しなさそうやしな!

 力を与えても、変な事には使わんやろうしな!」


「良いのか?

 この家との約束は大丈夫なのか?」


「ええで。

 約束言うても、300年前の話やし。

 結構、面倒も見たし、暇つぶしでおったぐらいやしな。

 それに、ここ最近の当主や家のもんの横暴さに呆れとった所やで。」



 「そうか、力を貸してくれるのならありがたい。

  これからよろしく頼む。

  私の名前はユウだ。」


 「ワイは、火を司る精霊や!

  火以外にも使えるけど、またそれは教えるわ!

  これから宜しくな!」


精霊と契約をすることが出来た。

なんとか、逃げ出す方法が見つかりそうだな。

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