最初の人助け
数日経ち、歩ける様になるまで回復できた。
その間、母上と爺さんの名前や境遇を知ることができた。
母上の名前は、ユリア
爺さんの名前は、サムというらしい。
母上の実家は、既に無くなっており、
私の父である、夫も死亡して家も無くなっていることから、
家名もなくなり、頼れる人は爺だけらしい。
爺は、死んだ父の家にずっと使えていたそうだ。
それこそ、私の祖父の代から。
家の執事として活躍していたそうだ。
今、私達が住んでいる家の主人は、
ジャン・ベリー男爵という。
奴隷として売り出されていた、私達3人をまとめて購入し、
この小屋に私達3人を押し込めていたのだそうだ。
主に仕事は、この家の雑事全般をこなしているのだが、
私は、ジャンの息子であるギル・ベリーのサンドバッグとなっている。
母上が自分の意思でジャンの妾となれば、
サンドバッグから解放されるらしいのだが、
卑劣なジャンに何をされるか分かったものではない。
身体の弱い母上は、最悪、壊れてしまうだろう。
だが、母上は私の為であれば、死んでも構わないと言い出し、
妾になろうとしている。
今は、なんとか爺と2人で思い留まらせているが、
今後、どうなるかは分からない。
早く、私自身が強くなり、この家から3人で逃げだし、
母上と爺を今よりも、まともな環境へ連れて行かなければならない。
どうやら、最初の人助けは、爺と母上をこの家から助け出すことだな。