光の玉
プロローグが終わります。
頑張って更新しますのでよろしくお願いします。
5月12日
農奴から奴隷
妖怪から魔王
上記の2つを変更しております。
宜しくお願いします。
気が付くと何もない空間に出ていた。
中央に大きな光輝く玉が一つ浮かんで居る。
そこに、歩み寄ろうとすると、声が響いた。
「はじめまして!一心さんですね!
もう一度、人生をやり直してはみませんか?」
人生をやり直す。
その言葉に強く惹かれるが、今更、あの自問自答の様な日々を繰り返したくはなかった。
そもそも、こいつは一体何なんだ。
おれは死んでいるはずではないのか。
無言でいると、光の玉が喋りだす。
「私は貴方の立場からすると、神様と言われる存在です。
人には認識出来ない存在ですが、
見込みがある人間にだけ、こうして語りかけているんです。」
なんとも、見る目がない神様だな。
「見込みもなにも、私は人斬りだ。
数えきれないほど、多くの人間を殺した。
その私に見込みがあるとは、笑わせてくれる。
それと、此処は一体どこだ。」
そう、バカにした様に吐き捨てる様に、呟いた。
「此処は、あの世とこの世の狭間の空間です。
よく、三途の川とか言うでしょう。
その様な場所ですよ。貴方は、確かに生前に人を多く殺害しました。
その報いは、受けなければなりません。」
「ならばなぜ、もう一度、人生をやり直す機会を与えるのだ。」
「貴方には、見どころが有るからです。
類稀なる剣の技術と才能を持っていながら、決して傲り高ぶる事はなく、
弱いものを傷つけることもしませんでした。
仕事以外には、決して人を殺すこともしませんでした。
そして何よりも、信心深いからでしす。」
信心深いか。
確かに、仕事で人を殺した時は神社かお寺に行き冥福を祈ってはいたが。
これは、両親の影響が大きいからかもしれない。
「そこですよ。私が何よりも、着目したのは。
どんなに仕事で人を殺しても、死者に敬意を払うその姿勢は評価します。」
そして、光の玉は私の生い立ちを話し始める。
「幼少期に両親は他界し、代わりの育て親は、暗殺業に身を置く人物。
そこで、剣術や、様々な人を殺す技術を教え込まれ、
幕府方の暗部として活動し、活躍をする。
根は優しく、真面目なので人を殺すたびに自分の心も失くしていった。」
私は、深くうなずいた。
「その通りだ。
もう一度聞くが、なぜ報いではなく、人生をやり直す機会を与える?」
「境遇が違えば、貴方は幸せな人生を歩めました。
このまま、信心深く、心優しい貴方が、
人殺しの報いを受けるのは忍びないと思ったのですよ。
ですが、全くの無罪放免というわけにもいきません。」
「では、どうなる。」
「生まれ変わり、今までの世界とは全く異なる世界で、
一生、人助け、善行をして生きてみませんか。」
「人助け、善行?」
「そうです。困っている人がいれば、助ける。
人を明るく、元気にする。ゴミを拾うとかですね!」
「ほう、それが人殺しの償いになると?」
「塵も積もれば山となるですよ。
最低、一日一善か、それ以上の頻度で一生善行を行えば、
前世の償いになり、貴方も幸せな人生を歩めることでしょう!」
「分かった。どこまで出来るか分からないが、やってみよう。」
「ありがとうございます!
では、早速、次の世界の説明に入りますね!
貴方が、行く世界は、魔王や精霊などがいる、
争いが絶えない殺伐とした世界です!」
「ほう。妖怪や精霊がいる以外は、同じだな。」
「怖気つかないところは、流石ですね!
境遇としては、一般市民のさらに下の奴隷です!
父親はおらず、母親は病に伏せております!」
「ふむ。それも、問題無い。
親がいるだけありがたい。」
「了承して頂けましたか!
ちなみに、貴方の意識が目覚めるのは、
10歳からです!
それでは、良き人生を!」
そう言うと、光の玉から眩い光の粒子が始めた。
それと同時に、自分の意識も遠のきはじめ、
意識を失っていく。
「忘れておりましたが、非道な行いをしたり、
不親切な行為や、理由もない暴力は大きく善行から逸れ、
貴方の心や魂が汚されていくので、絶対にしないでくださいね!」
その言葉を最後に聞き、私は意識を失った。