戦場に咲く花
維新志士達と幕府軍との戦いに参加することになった。
まさか、これが自分の最後の戦いになるとは、思ってもいなかったが。
「一心さーん、ここはもういいので、
他の応援に行って下さい!」
幕府軍の兵士として参加している私に、
同じ幕府軍の兵士が声を上げる。
「分かった。向かおう。」
応援に向かい、走り出した瞬間、
とんでもない殺気を感じ、咄嗟に身体を逸らした。
「会いたかったです!この瞬間を夢に思ってましたよ」
斬撃が身体を掠める。
「お前は、新撰組に捕まえられていたはず。なぜここに。」
新撰組に捕らえられていた死神がここにいた。
「抜け出してきたんですよ!貴方と戦いたいが為にね!」
私との戦いの為に、新撰組から抜け出し、
私から受けた傷を癒して来るとは。
「なるほど。狂ってるな。」
目にも映らない速さで、2人が斬り合う。
速さと技術は私の方が上だが、小さい体格を生かした曲芸の様な攻撃に、
手こずってしまう。
「この間とは違うな。中々、手こずりそうだ。」
「まだまだ、これからですよ!」
それから、さらに激しい斬撃を繰り出していく。
私は、応援に行かないといけない。
「お前と、遊んでいる時間はない。一気に勝負をつけさせてもらう。」
そう言い放つと、死神に蹴りをくらわせ、
距離をとり、刀を鞘に納める。
「ついに、あの時の借りを返せますね!
私も限界を超えて、必殺の技を出しましょう!」
そう言うと、死神も刀を鞘に納め、抜刀術の構えをとる。
神速の抜刀術がぶつかり合う。
「やっぱり、強いですね。貴方と出会えたことに感謝します。」
そう言って死神は倒れた。
応援へと向かうが、その時、叫び声が戦場に響いた。
「錦の御旗だ!新政府軍の勝ちだ!」
錦の御旗を、維新志士達が掲げた。
錦の御旗を持つということは、朝廷があちら側についたということ。
その時点で、勝負はついた。
それを見た途端に、力が抜けた。
負けたのか。自分のしてきた事は、無意味だったのか。
パアン!
銃声が響き、一発の銃弾が足に当たり身体を崩してしまう。
「クッ!」
気が抜けたところを、銃弾に襲われてしまった。
一気に敵が襲い掛かって来る。
「ここまでか。せめて、最後まで抗ってから死際に一花咲かそう。」
そう、呟いた後、修羅の如き最強の剣客は、足をひこずりながらも
多くの敵兵を道連れとして、命を散らしていった。