学院生活開始
「今日から俺も、哮蒼学院の生徒なんだな。不安しかないが苦労して入学したんだ、がんばりますか」
俺こと鏡 修平は、今年の春からここ哮蒼学院に通うのだった。
「それにしても、試験の時も思ったが少しばかり古い校舎だな。古き良きってやつかな。古くてもいいというわけでもないだろうに」
学院の校舎である建物の外見はお世辞にもいいとは言えず、校舎自体は大きいため遠目では立派な建物に見えるが白いコンクリートの壁には無数のひび割れがあり汚れもちらほらと見える。けれど建物は立派だ少しさびれて見えるのは同じ敷地内にあって校舎の傍にあるモダンなデザインのドーム状の建物のせいだろう。その建物だけ新しく、それは最新の技術を詰め込んだようなデザインをしている。そのほかには体育館らしき建物やグランドなどが見える。どれも他の学院よりも大きく立派だ。
そんな感じで新しい学びの場を見ているうちに昇降口に着いた。
「えっと、俺の番号は125番だな。1,1,12、っとあった。」
俺は入学説明会で渡された自分の番号の書かれたロッカーに靴を入れバックに入れておいたシューズを取り出して履き目の前にある受付へ向かう。
「この度はご入学おめでとうございます。あなたの番号は何番ですか」
学院の制服を着た先輩にあたるであろう人にたずねられた。
「125番です。」
「125番ですね。えーと、ここまでが100番だから、、、あなたはE組ですね。左奥に教室が並んでいるので自分の教室に入ったら前に座席表があるのでそれを見て座ってください」
そう言われ教室のある方へ向かう。廊下は改装されたようにきれいで教室やさっきのロッカーもそうだったがしっかりとしたつくりになっていた。
「内装は外見に比べてしっかりしてるな。」
俺はそんなことをいいながら「1-E」と書かれた教室に入ると人は誰も居なかった。
「やっぱり早く来過ぎたか。誰か一人くらいはいると思ったんだが」
今朝は早く目が覚めてしまい家にいるのも落ち着かないので早めに出てきたのだが案の定人は少なかった。おかげで受付もスムーズに行けたわけだが。自分の席を確認すべく前に貼ってある紙を見る。
「げっ、前から二番目か。あまりいい席じゃないな」
しかも真ん中に近く、一番教員から見られやすい位置だ。
席の確認もできたので、しばらく世話になるその席へ座るべく歩き出すと同時に廊下側から足音が聞こえた。その足音は段々大きくなっていき、ここE組の前で止まると扉が開かれる。入ってきたのは男子だった。髪と瞳は深めの青で体格は少し細身だがしっかりとしている、身長は俺と同じくらいだから百七十ちょっとだろうか。
しかし、俺には初対面の相手に話しかけれるほどの性格は持ち合わせてはいない。そっと席に座る。相手も同じなのか俺を一瞬だけ目に映したが先の俺と同じように席を確認し俺の前の席に着く。
そうして男二人静かに教室にいること数分。今度は喋り声が近づいてきた。
「あ、E組の教室ここじゃない。しっつれいしまーす」
元気というよりかは少々うるさい声の女子が入ってきた。髪はオレンジで瞳は水色、最初はギャルかと思ったが服装はしゃんとしているところをみると、天真爛漫といったところか。考えてみるとここ哮蒼学院にギャルっていうのもな。その女子の後ろには、長い銀髪で青い瞳をした、女子とは対照的な清楚な感じの女子が入ってきた。そして、二人で談笑しながら(主にオレンジの子が話しているのだが)俺たちと同じように席に着いた。銀髪の子は俺の左に、オレンジの子はまたその左に座った。
そんな感じで時間がたつにつれて教室が人で埋まっていき、集合時間の五分前にはクラス全員がそろっていた。そして、女性の教師が一分前に入ってきた。
「では、これから入学式を始めるために講堂のほうへ移動をします。一番から番号順に二列で移動してください」
二列にならんだクラスを女性教師は連れて講堂がある方へ進む。
入学式が終わりクラス全員が席に着くと先の女性教師が教壇に立った。
「入学式でも説明がありましたがこれから一年E組の担任を務める阿部伊久美と言います。これから一年よろしくお願いしますね。担当科目は魔術で主に古術をやっています。」