表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
「ニィーティスト」  作者: ニィーティス亭 夢★職
57/59

第三章 躍動篇 5-1 NO1ミーティングへの道

「おい啓一、なんだあの「野豚さんのH(ハウス)」とやらは。お前は働きもせず、平日の昼間からあんな悪所に入り浸っているのか? お父さんはとんだ恥をかいたぞ!」


 修二さんは、老妻の乱入など気にせず、個室で大人のDVDをじっくり堪能した後、店前で殿塚夫妻にばったり遭遇し。自分の近隣に対する、知的で清廉潔白なイメージが、お隣の破壊分子の風評被害て誤解されてしまう。その腹いせに入ったパチンコ店で大負けし、あれもこれもぜんぶ啓一のせいだ。逆恨みをし、ぷりぷりしながら帰宅をすると。


 まーやの東名阪ツアーではもう客ではない、「キャスト」に選ばれたNO1の男の名に恥じぬよう。啓一くんは「強化トレーニング」と称して、看板を返すと五千円を受け取り。家までは大きく手を振って、ウォーキング帰宅をし。夜になり、ドタドタと日課である町内5周のジョキングをして戻ってくると、家の前で修二さんと鉢合わせをしました。


「おい啓一、待ちなさい! あのブルドッグ店長が着ていたのと同じ、お前のえんじ色の三つ揃いスーツ。あれは先日、自ら命を絶った、お父さんの会社時代の部下の遺品だからな。三日坊主で死者を冒涜するなんて、お父さんは許さないぞ!」


「え?」


 ケチな親父が自腹を切るわけはないとは思ってはいたが。啓一くんは足早に家に入ろうとしましたが、その声にぴたりと立ち止まり、背後の父の言葉に耳を澄ましました。


「40過ぎて独身、アイドルオタク、アニメオタク。お父さんが知っている漫画とは違う、おばけ胸に、無理になミニスカート姿の、私を犯してください。そういわんばかりの、特殊女子ばかりが出て来る不気味な漫画が大好きな部下でな。彼の同期は繁忙期で忙しい。そこで元上司であるお父さんが老骨に鞭うち、特殊清掃を手配したり。買い取り業者を呼んで漫画やDVD、ケースに入った人形を金に換えて後始末をしたりした。老いたご両親から「我が子の恥」をこっそり処分してくれたお礼。二束三文で叩き売ったお金を差し出されたが。私は家で「長患い」していた息子が、社会復帰の足掛かりであるバイト始めるために必要な、スーツとビジネス道具一式を形見としてもらい受けられないか? 平身低頭して頼み込み」


 長えな、年寄りは、話が。掲示板みたいに三行でサクッとまとめろよ。てか、そんな不吉なスーツやビジネス道具一式を、俺に押し付けるなよ! 啓一くんは立ち止まったままイラっとしましたが、あのスーツにはそんな逸話があったとは・・聞き捨てならないとはこのことです。


「お父さんが一番驚いたのは、押し入れに、妙に出し入れしやすい段ボール箱があってな。開けるとようやくまともな少女が描かれた、趣味のいい表紙で、すべすべした手触りの、英語二文字の漫画雑誌がぎっしり詰まっていた」


 分かった! 分かった! その先はいわんでよろしい! 思いましたが、この機会を逃すと、スーツの謎、持ち主等が分かりません。


「お父さんは中を見て卒倒しそうになった。年端もいかない彩加ちゃんのような幼女を」


 警察に通報しようと思ったが、死者に鞭うつことは云々。修二さんはそう嘆くわりには、


「無職の男同士が車で小学生レイプ旅に出たり」


 ストーリーをよく覚えていたり、若い子もそうですが、エロ全般が好きを匂わせながらも、そこは芝居がかった父親声で。


「啓一、まさかお前の部屋にも、いつ警察に突入されても仕方がない、同じ悪書があったりはしないよな?」


 絵! 単なる絵! リアルでもガチでもないからセーフ! 掲示板ならすかさずそう書き込むところですが。啓一くんは、先ほどまで修二さんが熱心に鑑賞していた、時が止まる大人DVD同様。ぴくりとも動けず。そんなことより、スーツの持ち主の情報はよ!


「啓一、お父さんはお前を信用している」


 こっちはしてねーよ! 保夫叔父さんも、弟の信二も、口を揃えて親父のことをおかしいっていってたし。背後の親より遠くの掲示板仲間か。俺が知りたいのはスーツの持ち主が誰で、どういう死に方をしたかなのに。クソー、こういう時にドリームジャンボ満みたいに、腹話術が使えたらな。


「だが、もしお前がお父さんの信用を裏切るようなことをするつもりなら、その時はお父さんは容赦はしない、覚悟しておけ。啓一、家長としての命令だ。今後一切、家から外に出るな。自分の部屋でずっとひきこもっていろ」


 どう容赦しないんだよ・・てか、なんだよひきこもってろって・・やっぱ親父はまともじゃねえな。ちょ、待てよ! 修二さんはそう吐き捨てると、フリーズしたままの啓一くんを追い抜き、さっさと家に入ってしまいました。


 オートロックでもないのですが、啓一くんもドアが閉まる前に中に入り、もう一度父修二さんを追い抜くと、ドタドタと二階に駆け上がりました。


 啓一くんの部屋には、まーや応援服の隣に、えんじ色の三つ揃いボススーツが。消臭剤をふりかけられ、いつでも着れるように掛けてあります。


 まさかこのスーツが・・せっかくただのファンではなく、共にライブを盛り上げる「キャスト」として、ミィーティングに出席をするのなら。今は「ネットビジネス業」を卒業し。「このスーツを着る仕事」をバリバリしています。まーやは「芸術家」ですから、一般人とは見方の物差しが違います。正社かバイトかなど気にする以前に、その差を理解できるかもわかりません。


 でも、ネクタイをきゅっと絞めて、びしっとスーツで乗り込めば。同じNO1仲間の、あの魚屋のウザいオヤジも、看護師のババアも、もう俺をからかったり冷ややかな目で見たり出来ず。まーやも俺の本気(マジ)を感じてくれるはず。


 思っていたけど。こんな不吉なスーツを着て行ったら、「俺のせいで」ライブ中に「不測の事態」が起きてしまい、まーやと運営に迷惑が掛かるかもしれない。スーツを着ていかなくても、すでに起きた過去も忘れ。


 「安全確認」のために、当日は手製のまーや応援服を着て行こう。


 同じように応援服に消臭剤をふりかけると。啓一くんは「まーや帝国民NO1の男」垢のツイッターを立ち上げ、最近亡くなったこのスーツの持ち主を知りませんか? 写メと共に「拡散希望」でツイートしました。


                       \(゜ロ\)(/ロ゜)/

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ