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「ニィーティスト」  作者: ニィーティス亭 夢★職
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第三章 躍動篇 4-2 まーや帝国民NO1ミィーティング スペシャルゲストあり

 ブーン! ブーン!


 啓一ははまだか?! それとも「ニッポンの侍」に恐れをなし、子供部屋に逃げ帰ったのか?!


 闇夜に啓一くんの父、修二さんの素振りの怪音が吸い込まれて行きます。「年寄りの冷や水」を、修二さんは「老骨に鞭を打ち」と思いこみ。俺は「この国」ために、いよいよ「最後の奉公」をする。


 ついに啓一と刺し違える時がきたか。お前が生まれた時、お父さんは「男の仕事」が忙しく。初めてお前の顔を見たのは、確か生まれてひと月後かだったが。お父さんが「男の仕事」を怠けず、飲ます、食わす、私は抱かすをし。ここまで「大きく」してやったお前が。まさか中学もろくに通えない根性なしで。30を過ぎた今も定職につけない、情けないひきこもりになるなんて、お父さんは考えもしなかった。男が外で働き、妻が育てる。放っておけば、気が付くと子供は成人して定職につき。時折、孫を連れて実家に帰って来る。お前はなぜそんな「簡単なこと」が出来ないんだ!



 ブーン! ブーン!


 時折、狂気の沙汰としか思えない珍妙な服を着て、我が家の恥を外にさらしに行く以外。私に寄生し続け、無駄飯を食い。テレビのワイドショーで、三流売文家から、貧困層を洗脳して反日政治家になった、蟻田のガキがいっていたが。ニートひきこもりは、特にすることもないので。一日中インターネットに張りついて、「ネット右翼」を名乗り、ヘイト書き込みに明け暮れいる。


 ブーン! ブーン!


 確かに私も、昔から蟻田のガキ同様。K国やC国、それとそこに住む愚民どもが大嫌いだ。人手不足だかなんだかしらないが、そいつらが我が物顔で我が国をのし歩いている姿を見るたびに。ここは我々日本人の領土だ、お前らのような劣等人種はとっとと出て失せろ! 本国なんて手ぬるい。マシンガンを乱射し、この場で一人残らず地獄に強制送還してやるぜ! そういう衝動に駆られる。それは事実だし、認めざる得ない。だがそういう「愛国思想」を持っていいのは、私のように学業を怠けず、一心不乱に労働して、納税し。私生活では、男の義務たる妻をめとり、日本人の子を作って育てた。己を甘やかさずに「しごき抜いて」。今、こうして悠々自適な老後を送れる、私のような「人生の勝ち組」だけだ!


 ブーン! ブーン!


 なぜ劣等国の愚民どもが、我が国のコンビニで、牛丼店でエラそうにし。私のような今の日本経済を死守した元企業戦士を不快に、絶望的気分にさせるか? それは啓一をはじめとする、「ひきこもり」と呼ばれる、甘え、怠け、無気力の愚の三冠王たる、非国民(ニート)どもが働かないからだ!


 ブーン! ブーン!


 啓一、お父さんは35になったお前が、人生初バイトに出た。その意気や良しである。だがお父さんが企業戦士として、粉骨砕身してお前に与えた、「何不自由のない生活」に対し。お前の今の生きざまはなんだ? お前を雇うくらいだから、やる人間の少ない、馬鹿でも出来る簡単なバイトなんだろう? それをほんの2、3回行っただけで、お前はもうギブアップなのか? 私と母さんが死んだら、お前はどうやって生きていくつもりなんだ?


 ブーン! ブーン!


 最近ではニートひきこもりに対し、「親の責任」を問う声があるそうだが・・ふざけたことをいうな、この売国奴の反日クソ非国民どもが!!


「あーっ!」


 修二さんは興奮しすぎてすっぽ抜け。お隣の殿塚さんの、「危険な発電所即時廃炉」ポスターを直撃した金属バットを、この隙に啓一くんが「大それたこと」をしに逃げ出さないよう。


「鬼はそとー! 福はうちー!」


 真の「ニッポンの侍」が、22年ニートの「一般社会」に対する、自己中心的な自爆攻撃(テロ)を阻止するため。身体を張って外に出さないよう、玄関先を死守している。そのことを啓一くんに猛アピールするため、何度も振り返って家を見ながら、季節外れなことを大声で叫ぶと。


 ブーン! ブーン!


 修二さんは急いで金属バットを拾い、元の位置に戻り。玄関先を死守するため、鬼の形相での全力素振りに戻りました。

 

 だっておかしいじゃないか。「親が悪い」なら、なぜ同じ両親、同じ環境で育った信二は。ニートひきこもりと呼ばれる国賊にはならず、文武両道、好成績で一流大学を出ると。父の跡を継いで企業戦士になり。男の義務である妻をめとり、子供を・・修二さんは急にグッと詰まると。素振りの手をとめて、眼鏡を外すと涙をぬぐいました。


 信二はどうでもいい。だが・・修二さんは闇夜を見上げ、孫の彩加ちゃんに、美代子さんに会いたい・・心から思うのでした。孫娘は誘拐して、二階の空き部屋に鍵をかけ、監禁したいほど可愛いし。やっぱりオンナは20代に限る。若い美代子さんの、まだオンナを捨てていない、魅惑のボデー。まるで自分を誘っているかのようなセクシー衣装。


 日曜家族会で美代子さんに接待されるたびに。まるで、企業戦士時代の、夜のザギンでの「クラブ活動」。そのNO1ホステスが、我が家に出張サービスしに来た気になったものだ。それをオンナとしての魅力がなくなった老妻がねたんで、あの騒動をきっかけに絶縁するなんて・・


 何が「承知してくれないなら、私はあなたと離婚して、啓一とこの家を出て行きます」だ!! 啓一はお前の所有物じゃない! 侍魂を見せるための私の人柱だ!


 ブーン! ブーン!


 あんなブスなババアでも、飯の支度や家のあれこれ。今後の私の「介護要員」としても必要だ。出て行かれては俺の老後が不自由になる。それに「夫が悪い」から熟年離婚されて、妻が出て行った。そう世間に誤解されると、せっかくここまで貫いてきた、俺の「勝ち組」としての立場(プライド)に傷がつく。だからこそ、仕方なく断腸の思いで了承したが。


 なあに、夫の愛の鞭たる、鉄拳制裁を振るってでも、老妻を屈服させ。美代子さんにお借りした100万円を現金一括でお返しをして。それを期に、今度は美代子さんと彩加ちゃん家に、私が遊びに行くようにすればいいだけの話だ。


 なにが「ネットで調べたら、「月尻バイトスクール」は親の弱みにつけこんで、大金を巻き上げて子供を監禁し。強制労働で搾取するタコ部屋のようなもので、それをあかの他人の美代子さんが、勝手に申し込むなんて。あの女は犯罪者も同然。今後、一切関わりを断つのは当然でしょう」だ。


 オンナは若くて美人でいい身体をしていれば、プライベートで何をしていようがそのスケの自由。若くて美人でナイスボデーで性格は最悪。私のような「ニッポンの侍」の、「英雄色を好む」にはぴったりの。最高の癒し系あばずれじゃないか。前々からお前が美代子さんの若さと美貌をねたみ、嫉妬していたのは私には合点承知の助、当たり前田のクラッカーだ! 私にだって「世間一般の常識」くらいはある。信二に自分だけ同居をお願いするほど子供じゃない。


 ブーン! ブーン!


 だが、啓一が愚の三冠王。自分の甘え、怠け、無気力からくる、長年のニート生活に嫌気がさし。「一般社会」に自爆攻撃(テロ)を仕掛ける前に。「専門家」に隔離してもらい、「強制労働」をさせて、無駄なやる気を削いでもらえば。金で啓一の「大量殺戮計画」を阻止できるなら。こんな理に叶った素晴らしい「丸投げ」はないではないか。それを自腹で実行しようとした美代子さんは、本当に私思いの出来た嫁だ。


 修二さんは、美代子さんの「計画意図」を、勝手に自分への好意だと誤解すると。


 ブーン! ブーン!


 こうなった以上、「美代子さんの恩義」に報いるためには。男、内海修二、老骨に鞭うって「製造者責任」を取る!


 それはそれで、美代子さんに「都合のいい考え」になり。


 働きもせず、ネトゲとやらに、月に何十万も浪費したあげく。親に暴力をふるうなど言語道断のひきこもり息子を、自ら責任を取って成敗した真の「ニッポンの侍」。役人の頂点まで極め、税金ロンダリングで得た巨額の老後資金を捨ててまで、社会に対し、この国に対し。男として父として「潔く責任を取った」、その気高く美しい姿に対し。


 自分も同じことをしますね。


 毅然といいきった箸下クンの目にうるむものを見た時。僕は年下の君に深い敬意を抱いた。大家族を嫁に丸投げで、自分は仕事三昧で愛人もいた。だからって、そのせいで子供が、ニートひきこもりになり、大量殺戮犯になっていいわけがない。父親の努力、精進に泥を塗る輩。それが我が子だったら、自らが潔く成敗する。それが「ニッポンの侍」の本道だ。それに、一度や二度の妻以外との不倫がなんだ。


 「浮気は男の甲斐性」。


 それは私や箸下クンのような、国のため、社会のために。「男の仕事」をする侍にとっての、ほんのひと時の癒し、当然の権利だ。そのことを正義漢面して批判する輩は、売国奴の反日クソ非国民だ。私は警察の取り調べ、拘置所でのマスコミの面会取材に対し。侍事務次官と。若きマイメン、同志箸下クンに背中を押され、「ニッポンの侍」の一員として、息子を成敗した。胸を張って、堂々と動機として主張するつもりだ。


 修二さんは、まるでこの国が「無法地帯」でもあるかのような、自身の主張、考えに陶酔したような顔になると。


 ブーン! ブーン!


 より激しく金属バット振り抜きました。


 そうして、決行にいたる「仕方のない経緯(いきさつ)」として。35にもなって働かず、バイトも三日坊主。子供部屋にこもって、インターネットにのめりこみ。老いた母親に三食自分の部屋まで運ばせる殿様生活。いやちょっと待て。


 修二さんは素振りの手をとめ、何か「大事なこと」を忘れている。首をひねりました。


 ああそうだ! 「親への度重なる家庭内暴力」だ! 侍事務次官のことをネットで検索した時、あの侍も同じことをいい。「親として当然のことをしたまで」「立派な父親だ。無罪!」。ヤホーのコメント欄には、同じ「ニッポンの侍」たちからの、激励と励ましの声が満ち溢れていたではないか。


 啓一とは同じ家に住んでいても、滅多に顔をあわせないから、家庭内暴力など一度も受けたことはない。なあに、「死人に口なし」「嘘も方便」だ。そうした方が、執行猶予を勝ち取るのに、「使える設定」として、弁護士先生も喜ぶだろう。


 その時でした。


 カチリ、玄関の鍵が開き、ドアが開きました。


「啓一、観念しろ!」


 頭に血が上った修二さんが、迷うことなく金属バットで殴りかかると。


「キャー!」


 啓一くんではなく、老妻の房代さんが悲鳴を上げ、尻もちをつきました。


「馬鹿野郎! 何をやってるんだ!」


 修二さんが思わず老妻を怒鳴りつけると。


「それはこっちの台詞でしょ!! もう夜の12時過ぎよ? いつまで玄関先でバット振っているの?! 近所迷惑だし、「ボケた」んじゃないかって、あたしも心配になるじゃない!!」


 修二さんは、ある意味正論で房代さんに叱られると。


「おい、それより啓一はどうした? 「ニッポンの侍」に恐れをなして、子供部屋で震えているのか?!」


 胸を張って上から目線でいうと。。


「啓一ならとっくに帰ってきましたよ」


「ち、血まみれでか?!」


 遅かったか!! 修二さんがいろめき立つと。


「いえ、汗だくで。ジョギングでもしてきたんじゃないですか」


「おい房代、ちょっと待てよ。そんなのおかしいだろ? 俺が玄関先をずっと死守しているのに、啓一がどうやって外に出られるんだ?」


「あなたがずっと玄関先でバット振ってるから、啓一はお勝手口から出て行きましたよ」


 男子厨房に入らず。修二さんは古い男ですから、料理など一切しません。ですから、キッチンにゴミ出しなどをするための、小さなドアが別にあること。それをすっかり忘れていたのです。


「しまったー!!」


 闇夜に素っ頓狂な叫び声が吸い込まれると、修二さんはその場にへたりこんでしまいました。


                   ( ;∀;)

 

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